第2話

「ハハハッ馬鹿でぇ、ざまぁみろwww」

というわけなんだ・・・と話した矢先、わが悪友ジュンのこの歓迎ぶりである。

「そう言ってられるのも今のうちだぞ、お前も同類」

「いや、俺まだ3日あるし。これから燃焼すればオールOK!」

そういう問題じゃないっつーのと通話を終え、僕はベッドに倒れこみ、大きなため息をついた。

「成人検査、か。」

今までの生活を振り返ってみると、月2回の健康診断をはじめ、自分の行動には酷く選択肢が少なかった。

もう少し正確に言えば、派手に行動する度に選択肢が減っていったのだ。つまり、なるべく豪華に生きたいから自らの行動に制限をかけてきたのだ。

そして、翌日の成人検査を通して、自らの死ぬまでの人生設計が形成されるという。

生きるということは歯車になって朽ちるということらしい。


幼い頃は、自分の人生は自分で決められるものだと信じて疑わなかった。

父から聞かされた話。

今は遠き水の星、人がまだ土を踏みしめて生きていた頃の柏木家の夢物語。

異国に足を踏み入れては痕跡を残し、また未開の地へと旅立っていった人間達の冒険碌。

人類が地球からコロニーへ移住した際に失われたそれらを探し出し、冒険家一族として再起すること・・・これが僕、レオ柏木の夢だった。

これが僕の歩みたかった人生・・・の筈なのに・・・。

「ははっ・・・もう子供じゃあるまいし、馬鹿げてる・・・か。」

そういえば父は今頃どうしているだろう。

家を出てからもう3年になる。

「人類の悲願を叶えるための方法を見つけたんだ。」だから、成し遂げるまで待っていてくれ・・・と言葉を残して。

「なぁ。もう俺、成人するよ。そしたらさ」

進路によっては、帰れることも少なくなるかもしれない。

二度と会えなくなってしまうかもしれないのだ。


明日から子供で無くなる自分に思い、悩み、夜が更けていく。

そして、災厄の日が始まるのだった。


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