異世界で竜を食用にするため養殖することにした

梶倉テイク

プロローグ

 世界で一番、美味しい料理とは何だろうか。


 霜降り肉の最高級ステーキか?

 キャビアやフォアグラなどの高級食材を使った料理か?

 あるいは虫などを使ったゲテモノ珍味と称されるようなものだろうか?

 もしかしたら、お母さんのハンバーグやカレーかもしれない。


 だが、俺はその全てに否と言おう。

 どれもおいしいのは認める。どれもこれもその人間の中ではきっと世界で一番おいしい料理だ。

 それでも俺はその全てに否と言おう。



 世界で一番、美味しい料理とはなにか。

 それは竜を使った料理だ。

 ドラゴン。そう竜だ。


 そんなもの空想上の存在だって?

 ああ、確かにそうだろう。現代日本どころか地球には逆立ちしたって、そんなものはいない。

 わかりきったことだ。


 ならばなぜ俺がそんなものを挙げたのかって?

 それはこの世界にはいるからだ。ここは地球ではない別の世界だ。

 この世界には竜がいて、エルフがいて、獣人がいる。

 地球にはいなかったあらゆる生命がいる。


 俺は九条レイ。

 地球生まれの日本人。

 俺は今、異世界でドラゴンの養殖をやっている。

 すべては何よりもおいしい竜を食べるためだ。


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