お酒はほどほどにしなさいよ…

 俺は女性が苦手だ。

 お酒が入ればなんとか話せなくもないが、まずもって女性とお酒を飲む機会がほぼない。

 あったとすれば、それはそれは、大変なことに巻き込まれているに違いない。





 頭が痛い。

 風邪とかではなく、確実にお酒のせいだ。

 碓氷さんに家に呼ばれ、ほぼ無理矢理お酒を飲まされた俺は、そのままつぶれてしまい、碓氷さんの家の床に横たわっていた。

 芋焼酎のストレートに始まり、ビールを瓶ごと押し込まれ、そりゃさすがにこうなるわなぁ、という感じだ。

 当の碓氷さんも、俺の横で寝てしまっていr…。


 おっとぉ?


 俺は自分の目を、状態を疑った。

 なんと、俺の手と碓氷さんの手が繋がれているではないか。

 どうしてこうなった?

 何この展開?

 このあとどうしろと?

 神様は俺に何をさせようとしているんでせうか?

 そして何が問題かって、この状況になるまでの記憶がない。

 まぁ、あれだけ飲んだんだから、覚えてないのも無理ないかもしれないが、いくらお酒を飲んでいたからって、俺が女性と手を繋ぐだろうか?

 ……………。

 まさか俺じゃなくて、、、

 いやないな。

 ないない。

 今日会ったばっかなのに、そんなことにはならない。

 自慢じゃないが、俺だぜ?

 自分で言ってて悲しくなるが、そういうことだ。

 さてと。

 どうしようか。

 無理に手を離して起こすのも悪い気がするしな。


「う~ん」


 おっと、まじか。

 ここで、碓氷さんふが声を発する。

 起きたわけではないと思うが、まずいな。


「誰?」


 あ、目覚めた。

 目覚めてしまった。

 まぁ、それならそれで仕方がない。

 起こさないようにする必要がなくなった分、楽ではあr………。


「きゃあああああ!」

 え?ちょっ!?


 碓氷さんは、俺を確認するや否や、叫びながら問答無用で平手打ちをかましてきた。

 酒の影響もあり、無様に食らう俺。

 いってぇ………。って、うぉ!?


「無抵抗の女に手を出そうなんて、男としてどうなんだ?」


 頬を抑えながら倒れていた俺に馬乗りになる碓氷さん。

 え?誰?キャラ変わってない?


「……………悠馬?」

 ですけど、何か?

「あ!ご、ごめん!!いつもの癖で、つい…」

 『いつもの』?

「いや、その、お酒に酔って、知らないうちに手を出されそうになることは、よくあるからさ、抵抗するのが癖になってるというか…」

 勇敢に立ち向かえるのは褒めてやりたいが、まずそういう状況にならないようにした方が良いのではなかろうか?

「まぁ、それはそうなんだけど…」


 あはは~、とバツが悪そうに頬をかく碓氷さん。

 とりあえず降りてくれない?


「……………」


 碓氷さん?

 って、ちょっと!?

 馬乗りになっていた碓氷さんは、そのまま俺に覆いかぶさってきた。

 おいおいおい、まてまてまてまて。

 ………あれ?もしかして?

 うん、寝てる。

 …は?この態勢で?

 勘弁しれくれよ。

 さすがに布越しとは言っても、この態勢と大きさでは、意識しなくても胸の感触が伝わってくる。

 おいゴッド、あんた俺に一体何をどうしてほしいんだ。

 俺は女性が苦手なんだよ。

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