お酒は20歳になってから

 俺は女性が苦手だ。

 僕も女性が苦手なんですというお方。

 一緒に現状をどうするか考えようじゃないか。





「行きましょうよ!」


 いや那智さん未成年でしょう?

 俺は今、居酒屋の前にいた。那智さんと共に。

 こうなってしまったのは、、、少し遡ろうか。





「大量でござる!」

「いい買い物したぜ!」

「朋弥さんも辰義さんも買いすぎですよ~」


 アニメショップに行き、そしてタピオカを飲み終わり、俺たちは帰路についていた。

 朋弥と辰義は両手に袋を抱えていた。

 対して俺は荷物もほとんど増えてないので身軽なわけだが。

 オタクとは恐ろしいものである。


「せっかくだし、みんなでご飯に行きません?」


 おー、なんともリア充っぽいお誘い。

 これはあれだな、俺がボッチ酒になる展開だな。


「あー、行きたいけど、今結構お金使っちゃったからなー」

「拙者も、さっきタピオカを飲み過ぎてお腹が…」


 ヨソウガイデース。





 というわけで今に至るわけなんだが、、、

 なぜこの二人になるんだ。お開きでよかったろ。


「せっかくだし、いいじゃないですかー」

 何がせっかくなんだよ。

「そんなんだから先輩モテないんですよ」

 モテなくて結構。余計はお世話だ。

「こんなに可愛い女の子が誘ってるのにぃ」

 自分で言うな。

「先輩ってほんとに男ですか?ちゃんとついてます?」


 おいやめろ?健全にいこうぜ。


 さっきも言ったけど、那智さん未成年じゃん?居酒屋行ってどうすんのよ。あと個人的にはこの近くにバイト先あるから、あまり長居したくないんだけど。

「もー、男見せてくださいよー」


 お?ブツを見せろと?あ、すいません。ほんとごめんなさい。ほんの出来心なんです。さっき自分で健全にいこうぜって言ったくせに、あ、はい、お巡りさん、僕です。


「じゃあ、今日はいいです」


 おー、やっと諦めてくr…


「その代わり!」

 ………何?

「私が20歳になったら、一緒に飲んでくださいね」

 どうしてそうなる。もっと女友達とキャッキャしなさいよ。

「い!い!か!ら!」

 はいはい、わかった、わかったよ、わかりました!

 その時は、ちゃんと朋弥と辰義も連れていくから、それで満足じゃろう。

「………もう知りません」


 おいどこへ行く?なんでちょっと不機嫌?ルート分岐ミスった?いや人生の段階のミスってるわハハ。

 まったく、何がしたいんだ那智さんは。

 ………まさか俺と二人で飲みたかったって?

 ないか。うん、ないない。

 那智さんに限ってそんなことあるわけがない。勘弁してくれ。

 俺は女性が苦手なんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る