第14話 手がかり

 俺を捜していたという女の子。

 父親に連れていかれて姿を消したらしいが……なんだかその子が気になって泊まっていた宿屋の部屋へと来たわけだが、


「さすがに何もないか」


 まあ、そう都合よくはいかないか。

 シェルニとケーニルも手分けしていろいろと探してくれたが、彼女の身元が分かるような物などは残っていない。


「ディンゴさん、他にその子のことで気づいた点はありますか?」

「なんだよ、妙に肩入れするじゃないか。……まさか、おまえそっちの趣味が――」

「気になるだけですよ。あまりにも不自然なところが多いので」

「まあ、それもそうだな」


 魔界での戦い以降、商人としても名前が知れ渡り、それはそれで嬉しいのだが……こういうのはよからぬ存在も呼び込む原因にもなっている。俺自身が気をつけていれば問題はないが、周囲を巻き込んでしまう可能性も危惧された。


 ……本当に父親と一緒に帰ったのならそれでいいが、もし違っていたら大変だ。

 王都へダンジョンの報告にも行かなくちゃならないけど、そちらは一旦後回しにして女の子を捜そう。


 宿屋を出た後、俺たちは周囲に聞き込みをしていく。

 すると、すぐに有力な情報がもたらされた。


「それくらいの親子なら、さっき町外れの方に向かっていきましたよ」

「どんな感じだった?」

「女の子の方は俯いていて元気がなかったですね」


 おいおい……気になる証言じゃないか。

 目撃した場所を教えてもらい、そちらへ移動すると――確かに、親子連れがいた。

 とりあえず、声をかけてみるか。


「すいません。少しいいですか?」

「あん?」


 振り返ったのはなんともガラの悪そうな金髪の男。

 しかし、そいつは俺の顔を見るなりドンドン青ざめていく。

 ……どうやら正解のようだ。


「そっちの子はあなたの娘ですか?」

「い、いや、その……」

「俺はこの町で商人をやっている者だが、どうも俺を訪ねてきてくれた女の子がいるらしくてね。その子が泊まっていた宿屋の店主によると、父親と名乗る男と一緒に出ていったらしいが……何が目的で俺を捜していたのか気になっていてね。もしかしたらと思って声をかけさせてもらったんだが――」

「商人?」


 俺が商人だと知ると、女の子は顔を上げる。

 彼女の目に飛び込んできたのは、腰に携えた魔剣だった。


「魔剣使いの……商人!?」


 途端に、女の子の目の色が変わる。

 やはり……この子が俺を捜していたという女の子か!






※お待たせしました。

 もう少し短いスパンで投稿できるようにしていきたいです……(願望)

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