第11話 新しい発見

 ダンジョンを出た俺たちは、状況をザイケルさんに報告。

 国王陛下にも伝えておかないといけないため、明日は王都入りをしなくちゃな。


「あぁ~、やっぱりダンジョン探索はいいよねぇ~」

「体を思いっきり動かせるもんね!」


 レクシーとケーニルの冒険者ふたり組は、久しぶりに本業としての活動ができて喜んでいる。旅の間もダンジョン探索をしていたが、やはり勝手知ったるホームグラウンドでの探索はまた違うのだろう。


「明日は王都かぁ……行ってみたいお店に寄れるといいのですが」

「あっ、私も行きたいお店があります!」

「でしたら、国王陛下の報告が済んだら行きましょうか」

「「はい!」」


 シェルニとザラの年下ふたり組と接しているフラヴィアを見ると……本当に仲の良い姉妹を見ているようでほっこりするよ。


 さて、ダンジョンでの探索を終え、報告を済ませてギルドを出た頃にはすっかり夜も更けていた。


「今日はさすがに食堂で済ませるか」


 俺がこう提案すると、全員から「賛成!」の言葉が返ってくる。

 面子が大人だけなら酒場でもいいのだが、お酒の飲めないシェルニとザラがいるので普通の食堂へと移動。


 店に入ると、


「いらっしゃ――おおっ! 魔剣使いの旦那か! いや久しぶりだなぁ!」


 店主が気さくに声をかけてくれた。

 そういえば、まだここへは挨拶に来ていなかったっけ。


「お久しぶりです。相変わらずお元気そうで」

「元気なことくらいしか取り柄がないからねぇ。みんなもお揃いということは、しばらくこっちに?」

「そのつもりです」


 

 俺たちはテーブル席につき、料理を注文。しばらくして店主自らが料理を持ってきてくれたのだが、そこで意外な話を聞かされる。


「旦那の帰りを待っていたヤツが、この店にも何度か来ていたよ」

「俺の帰りを?」

「大体は引き抜きだろうよ。あんたの名前は今やこの大陸だけにとどまらない。先日もセラノス王国って国にある商会の使いと名乗るもんがあんたを訪ねてきたよ」

「セラノス王国……聞いたことはありますね」

「なんでも、国の新しい幹部候補としてあんたを招きたいって話だったぞ。確か、王聖六将と言ったかな。――もっとも、あちらさんは他にいい人材を発見したみたいで、その連絡を受けた後ですぐ帰っちまったよ」

「へぇ」


 王聖六将……大層な名前だけど、仮に俺がその場にいたとしても断っていただろうな。

 今はのんびりと商人としての実績を積みたいし。


「中には変なヤツもいたぞ」

「たとえばどんなヤツなの?」


 ケーニルが関心を持ったようで、身を乗りだしながら尋ねる。


「そうだなぁ……十歳前後の幼い女の子が、あんたから買いたい物があると言っていた」

「女の子?」


 十歳前後って……そんな幼い子がひとりで俺のもとを訪ねてきたのか?

 ――なんだか、妙な感じがするな。

 新しい厄介事じゃなければいいんだけど。

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