第5話 新たなダンジョンへ

 王都から戻った翌日。

 俺たちはザイケルさんの案内で新しいダンジョンへとやってくる。

 道中まではこれまで何度も訪れたことのある景色が続いたため、みんなで懐かしみながら進んでいった。


「そういえばこんな感じだったわねぇ」

「うんうん! 今からすっごく楽しみ!」


 特にダンジョンへよく探索へと出ていたレクシーとケーニルはウキウキだった。

きっと懐かしいんだろうなぁ……レクシーは元々だけど、ケーニルの方はまだ冒険者歴が浅く、今回の遠征で世界のさまざまなダンジョンを探索し、経験を積んできたから、かえって新鮮に映るのかな?


「ダンジョンといえば、世界にはいろんなダンジョンがあったわよね」

「ホントに」

「ほぉ……ちなみに、もっとも印象に残ったダンジョンはどこなんだ?」

「それはやっぱり、あそこよね。――農場のあるダンジョン」

「あれには驚いたよねぇ」

「ダンジョンに農場……それは確かにインパクトが強いな」


 ザイケルさんも話に加わり、ダンジョン談議に花が咲く。

 ギルドマスターという立場上、ダビンクから離れるわけにはいかないのだが、ザイケルさんの性格上、もっと世界を歩き回ってみたいのだろう。だから、レクシーとケーニルの話に興味津々なのだ。


 ――けど、今日はそれどころじゃない。


「ザイケルさん、例のダンジョンですが」

「っと、すまなかった。今日はこちらがメインだったな」


 新しく発見されたダンジョンについて、ザイケルさんからもう一度詳しい話を聞く。


「このダンジョンだが……ハッキリ言ってほとんど何も分かっていない」


 ……何度聞いてもよく分からない説明だった。

 それだけ、謎の多いダンジョンということなんだろうけど、ここまで情報がないとどうしようもないな。だからこそ、帰ってきたばかりの俺たちに白羽の矢が立ったのだろうけど。


「とにかく、中へ入って調べてみよう」

「そうですわね」

「怪我をしたら、私の回復魔法にお任せください!」

「精霊さんたちも力を貸してね」


 フラヴィア、シェルニ、ザラの三人も準備万端。

 

「さて……俺も負けていられないな」


 魔剣を手にし、ザイケルさんに見送られながら、俺が先行してダンジョンへと入っていく。

 入ってからの第一印象は――至って普通のダンジョンであった。


「特に目立っておかしな点はなさそうだな」

「そうね」

「でも、油断は禁物だよ!」


 冒険者経験の長いレクシーとケーニルはさすがによく分かっている。当然、俺たちも気を引き締めて一歩一歩進んでいく。

 すると、徐々にダンジョン内の空間が広まっていくことに気がついた。

 天井が高くなり、左右の幅も大きくなる。

 この先に何かが潜んでいることを感じさせた。


「みんな……気をつけて行くぞ」


 全員にそう呼びかけつつ、前進していき――ついにその場所へとたどりつく。


「っ! こ、これは……」


 目の前に広がっていた光景に、俺は驚愕する。

 そこには、ダンジョンとは思えないほど広大な草原があった。

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