第3話 久しぶりの王都
新たに出現した氷結のダンジョン。
その調査を依頼された俺たちだが――その前に、ブライス国王へ帰還の挨拶をするべく王都を訪れた。
「相変わらず、にぎやかですわね」
「朝市が終わってまだ間もないですからね」
御三家に数えられる名家出身のフラヴィアとザラは、うちに来る前からすでに何度も王都を訪れているため、今さらこの程度の人混みでは大きく反応しない。同じく、実はローグスクという国のお姫様だったシェルニも同様で、まったく気にする素振りさえ見せていない。
一方、ワイルドエルフのレクシーと魔人族であるケーニルは、未だに多すぎる人混みには慣れていない様子。
特に、ケーニルは元魔王軍ということもあって、まだ警戒をしている人もいる。お店のあるダビンクではすっかり冒険者たちと顔馴染みになったが、王都ではそうもいかないらしい。どこか緊張した面持ちだ。
馬車を預け、人の多い中央通りを抜けると、やがて城が見えてくる。
城門前まで着くと、俺たちの存在にふたりの門番たちが気づいた。
「ア、アルヴィン殿!?」
「戻られていたのですか!?」
「ああ、ただいま」
魔王討伐以降、城では俺の顔が知れ渡るようになり、おかげで入城もすんなりできるようになった。
それどころか、城内を歩いていると頻繁に声をかけられるようになる。まさかここまで影響が出るとは思わなかったな……俺としてはブライス王子に国王となってもらえるよう地味に徹していたつもりだったが、どうもそのブライス王子――いや、今は国王か。ともかく彼が俺をプッシュしてくれているらしい。
ついには国王専属の商人になってもらいたいという申し出を受けたが……実は保留しているんだよな、それ。
すべての戦いが終わったら、みんなともっと広い世界を見て回ろうと思っていたし、その間は完全休業するつもりだったのだ。言ってみれば、バカンスに近い形だな。
ブライス王は「いつまでも待つ」と言ってくれていたが……果たしてどうだろう。
そんなことを考えながら廊下を歩いていると、懐かしい顔と再会する。
「アルヴィンさん!? それにみなさんも!? こちらに戻られていたんですか!?」
エルフ族の騎士であり、ともに魔王軍と戦ったヒルダであった。
魔王軍との壮絶な戦争終結後、一度はエルフの森へ戻ったヒルダだが、人間社会を学ぶべく、今はこの国の騎士団に所属しているらしい。
みんなもヒルダと再会できて喜んでいるが――中でも一番喜んでいるのは同じエルフであるレクシーだろう。
「元気だった?」
「レクシーの方こそ」
手を取り合い、にこやかに話すレクシーとヒルダ。
ひとしきり喋った後で、ハッと自分の任務を思い出したヒルダ。
「国王陛下に会われるのですよね?」
「そのつもりだよ」
俺が即座にそう答えると、ヒルダは「ふふっ」と小さく笑った。
「陛下は『客人が来たようなので招くように』と仰っていましたが、まさかその客人がみなさんだとは……」
あえて誰が来たのか告げなかったあたり、陛下のイタズラ心が見え隠れしているな。王子の頃から、クセのある人だったし。
ともかく、ヒルダとも合流し、俺たちは国王の待つ王の間へと向かうのだった。
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