第278話 モンスター軍団襲来!

【お知らせ】

いつも「魔剣使いの商人」をお読みいただき、ありがとうございます!


その本作ですが、今回のお話からいよいよ最終章となります。

ここから始まるアルヴィン最後の戦い――お楽しみ!


※詳しくは近況ノートにて!


…………………………………………………………………………………………………





 ダビンクの町を突如襲った異変。

 闇色に染まり始めた雲を眺めていると、遠くからモンスターの襲撃を知らせる叫び声が轟いた。


「ア、アルヴィン様!」


 異常事態を察知したシェルニが店から出てくる。


「フラヴィアとザラが心配だ……ちょっと見てくる!」

「私も行きます!」

「だ、旦那!? それにシェルニの姐さんまで!」


 ネモの声を振り切って、俺とシェルニは走りだす。

 何せ、さっき耳に入ったモンスターの存在を知らせる叫び声――あれは間違いなく、フラヴィアとザラが向かった店近くから聞こえてきた。もしかしたら、すでに交戦中なのかもしれない。


 大急ぎで向かう中、突如目の前にあった家屋の外壁が吹き飛んだ。


「なっ!?」


 行く手を阻むように、俺たちへ瓦礫が降り注ぐ。


「危ない!」


 咄嗟に、シェルニがシールド魔法を発動してくれたおかげで事なきを得たが……一体なんだったんだ?


 埃が舞い上がる中、姿を現したのは――オークだった。

 それも三体。


「な、なぜこんなところにオークが……」


 疑問を浮かべている俺に向かって、大きな斧を装備したオークたちが雄叫びをあげながら襲いかかってくる。


「《焔剣》――フレイム・ブレイド!」


 武器を装備して数を揃えたところで、通常種のオークごとき敵ではない。

 いつものように魔剣で蹴散らすと、俺たちは先を急いだ――が、オークたちを倒した先に広がっていた光景を前にして、一瞬足が止まる。

 

 ダビンクの町はモンスターで溢れかえっていた。

 冒険者たちは武器を取り、女性や子どもを逃がすために戦っている。


「こっちにゃ! ギルドの中なら安全にゃ!」


 聞き慣れた声に反応して振り返ると、リサが逃げ惑う人々に対してギルドへ避難するよう呼びかけ、誘導していた。


「リサ!」

「! アルヴィン!」

「ザイケルさんはどうしたんだ!?」

「パパならモンスターを倒すって大勢の冒険者を引き連れていったにゃ! その中にフラヴィアとザラもいたにゃ!」

「なんだって!?」

「騎士団に使いを送ったけど、いつから分からないから、自分たちでやれるだけ食い止めるつもりにゃ!」


 ザラは魔法使いの名門出身であり、ザラは幼いながらも一流の精霊使い――そこらの冒険者よりずっと戦闘力があるふたりではあるが……なんだろう。底知れぬ不安感が俺を襲った。

「アルヴィン! パパへの加勢をお願いするにゃ!」

「もちろんだ!」


 俺はリサに笑顔で答える。

 すると、少し不安そうにしていたリサの表情がパッと明るくなった。

 状況が好転したわけではないが、少しでも安心してくれたのならよかったよ。


「アルヴィン様、私もおともします」

「ああ。頼りにしているぞ、」

「はい!」


 嫌な予感がして、俺とシェルニはザイケルさんに同行したというフラヴィアとザラを追いかけた。北門を抜けた先にあるダンジョンへ潜っているレクシーとケーニルも心配ではあるが、あのふたりも強いし――特に魔人族であるケーニルがいるなら心強い。


 行く手を遮る雑魚を片付けながら、前進を続ける。

 それにしても……とんでもない数だ。

 一体どこから湧いてくるんだ?


 そんなことを考えながら進んでいる――突如、強烈な魔力を感知する。


「!?」


 その凄まじさに再び足が止まる。

 

「アルヴィン様?」

「! な、なんでもない。急ごう」


 一体、あの魔力は……?

 気になるところだが、今は町の人々を守りつつ、フラヴィアとザラの安否を確認することに全力を注ごう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る