第240話 隠れ家を探せ!
「痛くて辛い思いをしたくなければ……分かるな?」
前に出たリーダー格の偉丈夫。
そして、取り巻きの男たち。
全員がニヤニヤと薄ら笑いを浮かべながら俺たちを眺めている。
フラヴィアとザラを危険な目に遭わせるわけにはいかない。
俺は魔剣へと手をかけた。
「おいおい、この人数を相手に戦おうっていうのか?」
「見当違いですわね」
「あん?」
割って入ったフラヴィアの言葉に、リーダー格の男が眉をひそめる。
「あら、ご理解いただけなかったかしら? ――アルヴィンさんを相手にするのに……たった六人は少なすぎるでしょうという意味ですわ」
「ぶわははははっ! こいつはおもしれぇジョークだ!」
男たちは一斉に大爆笑。
……フェリオの差し金だとは思うが、俺のことを何も聞いていないのか?
「だったらその実力を見せてもらおうじゃねぇか!」
リーダー格の大男が手にしていた斧を振り上げる。
「命の有無は問われてねぇんだ! 真っ二つの状態で差し出してやる!」
殺意満々の男が放つ一撃――が、「バキッ!」という鈍い音とともに、男が愛用しているらしい斧は粉々に砕け散った。
「!? なんだと!?」
訳も分からず、一瞬にして武器を失ったことで、男はパニックとなった。周りの取り巻き立ちも同様に慌てふためいているが――そろそろ退場してもらおうか。
「《焔剣》……」
俺は魔力で生みだした炎を魔剣にまとわせると、男たちに放つ。
「「「「「あっつぅ!?」」」」」
男たちは大慌てで噴水までダッシュし、そのまま飛び込んだ。
「あ、熱そうですね……」
「ザラさん、覚えておきなさい。ああいうのを自業自得というのですわ」
「な、なるほど! 勉強になります!」
ま、まあ、反面教師としては優秀だったよ、あの人たちは。
「それにしても、あのようなチンピラを向かわせるなんて……相手はなりふり構っていられないという感じですわね」
「逆に言えば、向こうも追い込まれているってわけだ」
あと……さっきの連中の件で確信した。
フェリオは間違いなくこの町のどこかにいる。
「……思ったより、早期の決着になりそうだ」
「そのようですわね」
どうやら、フラヴィアもフェリオの気配を感じ取ったようだ。
「魔力の残滓を追ってここまで来たが……詳しい場所までは特定できそうにないな」
「で、でも、さっきの人たちが戻って来ないことで襲撃が失敗したとフェリオさんが悟ったら、逃げてしまうのでは……?」
「そうだな……その事態だけは避けたいところだ」
ザラの指摘はもっともだった。
フェリオはタイタスみたく無計画に突っ込んでくるタイプじゃない。自分の分が悪いと踏めば、姿をくらませるのは間違いない。
だったら……やはり早いところフェリオを見つけなくては。
でも、この町の一体どこに――
「うん?」
周囲を見回していると、ある建物が目に入った。
「あれは……教会か?」
町外れにある教会。
ここから距離はありそうだが、それでもかなり大きく映る……隠れ家にするならうってつけの場所だな。
「アルヴィンさん?」
「あそこにある教会……ちょっと調べてみようか」
俺はフラヴィアとザラにそう提案し、町外れの教会を目指して歩きだした。
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