第165話 ガナードVSシューヴァル
【お知らせ】
カクヨムコン6への参加作品として、新作を投稿しました!
最新第11話を本作と同時公開!
「絶対無敵の
https://kakuyomu.jp/works/1177354055151436608
《ざまぁ》+《主人公最強》な作品です!
応援よろしくお願いいたします!<(_ _)>
…………………………………………………………………………………………………
アルヴィンたちがアイアレンを倒すためにレイネス家領地内の鉱山で激闘を繰り広げていた頃――同時に、魔族六将のひとりであり、六将最強の呼び声もある氷雨のシューヴァルを倒すべく、救世主ガナードたちが向かっていた。
シューヴァルは森の中に居城を構えていた。
そこへ、エルドゥーク王国騎士団が雪崩込み、かつて聖騎士ロッドでさえ倒せなかった六将の首を狙った。
結果は――騎士団側の大惨敗に終わる。
シューヴァルは配下のモンスターを一匹も連れず、ただひとりで城を守っていた。それに対し、騎士団側は千人近い兵を投入して挑んだのだが、手も足も出ず全滅。
――いや。
この戦いでは、騎士団側に切り札とも言うべき存在がいた。
それこそが聖剣使いガナード率いる救世主パーティーである。
「はあ、はあ、はあ」
ガナードは困惑していた。
聖剣の力が戻っていないとはいえ、自分たちがここまで一方的にやられるとは思ってもみなかった。
ふと、周りを見渡せば、そこには地面へ横たわる仲間の姿があった。
タイタスも。
フェリオも。
リュドミーラでさえ、シューヴァルに触れることすら叶わず、あっという間に倒されてしまった。
だが、全員死んでいるわけではない。
シューヴァルは楽しんでいるのだろうか、トドメを刺さずに放置していた。
ガナードは再び視線を戻す。
目の前にいる最強最悪の敵は、澄んだ瞳でこちらを見ていた。
「愚かなり、救世主」
心底退屈そうに、シューヴァルはため息を交えながらそう言った。
紫色の肌。
頭には二本の角。
そして黒目に金の瞳。
ケーニルと同じような特徴を持つ魔人族であった。
「勝敗など、やり合う前から分かっていたはずだ。何故戦うのか……」
「う、うるせぇ!」
声を張り上げ、無理やり自分を奮い立たせる。
ガナードの頭にあるのは平和だとか人々の幸せだとかではなく、ただどうやってこの場を切り抜けるか、その一点に絞られている。
――例えば「仲間を殺せば助けてやろう」と命じられたとしても、ガナードは助かるためならば、と嬉々として聖剣を仲間の地で赤く染め上げるだろう。
当然、ガナードのそうした生への執着をシューヴァルは見抜いている。
シューヴァルは思った――この男は使える、と。
「救世主ガナード……おまえは生き延びたいようだな」
「あっ? 当たり前だろうが!」
言葉は強気でも、心はすでに俺かかっていた。
その証拠に、聖剣を握る手はガタガタと震えており、剣先が安定していない。
恐怖心を見抜いたシューヴァルは
「ならばなぜ私と戦う」
「何……?」
シューヴァルの言葉に、ガナードは眉をひそめた。
「こちらと敵対行動をとらなければよかったのだ。全面降伏し、我ら魔王軍の力となって戦うと誓えば」
「!? 裏切れっていうのか!」
「ならば再び問う。――救世主以外で我ら魔王軍に勝利できるほどの存在が人間側にあるとでも?」
「…………」
ガナードの脳裏に一瞬アルヴィンの姿が映る。
だが、すぐにそれを振り払った。
アルヴィンへの敗北を認めたことになると思ったからだ。
「おまえがこちら側へ来れば、欠けた魔族六将のイスをひとつくれてやる。それから、我らが勝利した後、相応の領地をおまえに与えよう」
「!? て、てめぇにそんな権限が――」
「ある。私は魔族六将の中でも少々特異な存在でね……どうだろうか。君にとっても悪い話ではないと思うのだが」
「…………」
ガナードは葛藤していた。
シューヴァルの誘いに乗れば、もう二度と人間世界で暮らすことは叶わない。だが、だからといって、聖剣を持つ自分以外が魔王を打ち倒せるとも思わない。
やがて、ガナードはひとつの結論に至る。
「俺は――」
――ガナードの出した答えは、このあとで世界に大きな混乱をもたらすことになるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます