第164話 新たな仲間

【お知らせ】

カクヨムコン6への参加作品として、新作を投稿しました!


「絶対無敵の解錠士アンロッカー ~ダンジョンに捨てられたFランクパーティーの少年はスキルの真価を知るSランクパーティーにスカウトされる~」


https://kakuyomu.jp/works/1177354055151436608


《ざまぁ》+《主人公最強》な作品です!


応援よろしくお願いいたします!<(_ _)>



…………………………………………………………………………………………………







 魔族六将のひとり――鉄塊のアイアレンに勝利したが、その代償として俺は魔剣を失った。


 とはいえ、俺はそこまで焦ってはいなかった。

 むしろ、久しぶりにメアリーさんと会えることにワクワクしていた。

 師匠が亡くなってから、メアリーさんはこれまで以上に仕事へ没頭するようになっていった。本人は情熱が再燃したって言っていたけど、きっと寂しさを紛らわせるためなのだろうと俺は思っている。


 そんなメアリーさんは人里離れた山奥に工房を建てて静かに暮らしていた。あそこは夫婦ふたりの出会いの場だし、メアリーさんの性格上、あそこから動くとも思えない。


 というわけで、まずはその工房を訪れてみることにした。


  ◇◇◇


 翌日早朝。


 話を聞いたレイネス家当主マイヤー様は、俺たちのために馬車を用意してくれていた。それもかなり豪華な造り……これなら長距離移動もバッチリだ。


「すいません、こんないい馬車を」

「何を言う。私は君に命を救われたのだ。これでもまだまだ足りないくらいだ」


 そう言ってもらえると、俺も助かる。

 

「君は商人をしていると言ったね」

「はい」

「困ったことがあったらなんでも相談しなさい。君のためならばこの力、いくらでも貸そうじゃないか」


 御三家に数えられるレイネス家からの全面協力――これはとてもありがたい。またひとつ、大きなコネクションができたな。


「それはさておき……アルヴィンくん」


 ポン、俺の肩に手を添えるマイヤー様。

 その顔は笑っているが……目の奥は笑っていない。


「君のパーティーは女の子が多い――というか、女の子しかいないね」

「ま、まあ、いろいろありまして」


 意図して女の子しか入れていないってわけじゃない。


 過去を遡れば、ネモやドルーってメンバーがいた。今はわけあって別行動を取っているが……ふたりとも元気にしているかな?


「一国の姫にオーレンライト家令嬢にワイルドエルフに魔人族……これも君の人徳がなせることかな?」

「い、いや、たまたまですよ」


 さすがにそれは言いすぎだろう。

 

「……ところで、そんな君の目から見て、ザラはどう映る?」

「えっ?」

「どう映る? 特にオーレンライト家のフラヴィア嬢と比べて」

「…………」

 

 もしかして……張り合っている?


「い、一概にどちらがいいか悪いかはなんとも……」

「そうか。――では、これからもっと娘のことを知ってもらおう」

「へっ?」

「お父様、私の荷物はすべて馬車に載せましたわ」


 そういうことか!

 さすがにシェルニよりも年下の子を一緒に同行させるのはまずい気がするぞ!


「アルヴィンくん。ザラと精霊たちの力はきっと君の役に立つはずだ」

「うっ……」


 肩をガシッと掴まれ、力強い瞳でそう訴えるマイヤー様。

 絶対に「NO」とは言わせないという確固たる意志が伝わってくる。

 その横で、瞳を潤ませながらこちらを不安げに見上げるザラの姿が……これはきっと娘の願いを押し通そうという父の考えか。


「……分かりま――」

「君ならそう言ってくれると思っていたよ」


 食い気味に喜ばれた。



 その後、他のメンバーにもザラ合流を伝える。

 シェルニ、レクシー、ケーニルの三人は大喜び。フラヴィアも歓迎ムードだが、後からこっそりと「同じ御三家の人間であるわたくしが言うのもなんですが……本当によろしかったんですの?」と尋ねられ、俺は苦笑いを浮かべるしかできなかった。


 ただ、マイヤー様の言う通り、精霊たちの力は本物だ。

 彼らはザラを守るために動くし……そう考えれば、危険性は薄いのかな?


 ともかく、こうして新たにザラをメンバーに加え、俺たちはメアリーさんがいると思われる工房を目指してレイネス家をあとにした。



 ――って、そういえば、ガナードは氷雨のシューヴァルと戦闘中なんだっけ?

 あっちは大丈夫かな?

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