第166話 鍛冶職人メアリー
【CM】
カクヨムコン6への参加作品として、新作を投稿しました!
「絶対無敵の
https://kakuyomu.jp/works/1177354055151436608
《ざまぁ》+《主人公最強》な作品です!
最新話はこのあと19:00より公開予定!
応援よろしくお願いいたします!<(_ _)>
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折れた魔剣を修復するため、俺たちはロッド師匠の奥さんで鍛冶職人のメアリーさんを訪ねることにした。
そのメアリーさんは人の侵入を拒む深い森の先に工房を構え、本当に信頼している人にしか剣を造らないという超職人気質の人物だった。
御者は俺が務め、隣にはフラヴィアが座っている。
後部の屋根付き荷台では、シェルニ、ケーニル、ザラの三人が外の景色を興奮気味に眺め、レクシーがその光景を微笑ましく見つめていた。
「本当に辺鄙なところにお住まいですのね。鍛冶職人といえば、王都などの賑やかな都市か、或いはダンジョンのある町や村の近くに工房を構えるのが一般的と聞きましたが」
「職人ではあるけど、商売っ気がないんだよなぁ。気に入らない人にはどれだけ大金を積まれても絶対仕事をしない人だったし」
「つまり、アルヴィンさんはそのような方にも認められるほどの剣士ということになりますわね」
フラヴィアが柔らかく笑いながらそんなことを言う。
「俺としてはあまり自覚がないんだけどな」
「そうですの? 魔族六将を三人も倒し、大国の御三家貴族令嬢を仲間にして旅をしているというのに?」
「うっ……」
改めて言われると、確かに凄いことをしているように思えてきた。
「まあ、ちょっと意地悪な言い方をしましたが……今のままのアルヴィンさんでいたくださいねということです」
「その点については保証するよ」
ガナードを見ていると、特に強くそう思う。
深い森の一角。
人工的に切り拓かれたその空間にたたずむ石造りの工房。
ついに、俺たちは目的地へと到着した。
問題は今もいるかどうかだが、
「おっ? 煙が出ているな」
工房に備えつけられた煙突から白煙が出ていることを確認。人はいる。あとはそれがメアリーさんであるのを祈るだけだ。
「まずは俺が行ってくるよ」
他のメンバーを馬車に待機させて、俺は工房へと歩み寄る――と、その時、
「ここへ何しに来た、若いの」
それはまさに、俺が捜し求めていた人物の声だった。
「メアリーさん!」
「む? おまえさんもしかして――アルヴィンかい?」
「はい! ご無沙汰しています!」
俺はメアリーさんと固く握手を交わした。
「あの時の不愛想な小僧が、随分と立派になったもんだねぇ」
「ははは、それいつの話ですか」
たぶん、メアリーさんの中での俺は、師匠に弟子入りした直後が一番印象に残っているのだろうな。その後はしばらく修行の旅に出ていたし、師匠の葬式のあとも、俺は救世主パーティーとしての仕事があるからと、軽く言葉を交わしただけで別れていた。それ以降はいろいろあって、なかなか会う機会がなかった。
もう何年振りだろうか……。
白髪も増えているし、ちょっと痩せたかな?
「なんだい、今日は随分と大所帯じゃないか」
メアリーさんの視線が俺の向こう側に釘付けとなっていることに気づいて振り向くと、そこには馬車から顔を覗かせる女性陣が。
「しかも全員女ばかり……あんたがそんな好き者だったなんて意外だねぇ」
「いや、それは……」
「まあ、その件については家の中でゆっくりと聞かせてもらおうじゃないか。それよりも本題だが――」
「あ、ああ、はい。これです」
俺はメアリーさんへ折れた魔剣を差し出す。
「……また派手にやったねぇ。あの救世主とかいうクズとやり合った結果かい?」
「いえ、これは魔族六将との戦いで……」
「魔族六将? おかしいねぇ……ちょっと前にキースがここへ来た時は、商人になると言っていた気がしたけどね」
「キースさんが?」
パーティーを追い出された直後、大変世話になったキースさん。彼もまた、メアリーさんが信頼する数少ない人物であった。
「まあ……本業は商人のつもりでいるんだけど……いろいろあって」
「そうかい。その辺も含めて、いろいろと話を聞こうじゃないか。ほら、さっさとあっちにいる可愛い子たちを呼んできな」
「は、はい!」
尻をバシッと叩かれて、俺は馬車へと走る。
昔とまったく変わっていないな、メアリーさんは。
それに、元気そうで安心したよ。
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