第二十四話 二番手ピッチャーを決める件
皇帝野球部がグラウンドを離れた後、明来野球部はミーティングを行った。
守と不破は、配球について上杉から沢山のアドバイスを貰っていた。
明来では選手同士で意見を出し合う時間もミーティングに設けている。
今回のミーティングで最も意見が出たのが二番手ピッチャーの確立だった。
理由としては夏が始まるにあたり、勝ち抜く為には守だけだと消耗が激しすぎる点が挙げられる。
また今日のように疲労や精神面の限界が来ている中、投げさせ続けることへの負担を軽減させる為だった。
「だが……そうすると適任は誰だ。ピッチャーだからある程度ストライクを見込めないと」
兵藤が疑問点を投げかけている。
皆が頭を悩ませている。
「山神っちはどうよ? 球は速いし、コントロールも毎回ビビるぐらい正確だし」
確かに……青山の発言に他のメンバーも納得している。
「ダメです」
上杉が真っ向から否定し、山神投手案を認めなかった。
「えー……なんでっすか監督。山神っちだったらゼッテー投げれるっしょ」
「青山君の見解通り、ピッチャー適正は高いです。しかし山神君には常にセンターラインを守って貰いたいのです」
上杉としては、二番手で投げるよりもショートで守り続けて欲しいとのことだった。
確かに山神ほどのショートを使えなくなるのは痛い。
「そ、それなら氷室君はどうでしょうか? 氷室君も肩が強いですし」
風見が珍しく発言をした。
皆が驚きながら風見の顔を見ている。
「確かに……氷室なら面白いかもしれないな」
「氷室も送球は安定している。風見のいう通りだ」
兵藤と不破も、風見の意見に賛同した。
「氷室君、いかがですか? 君がピッチャーをできる様になるとチームは大変助かるのですが」
「監督……分かりました。全力で頑張ります」
氷室が第二ピッチャー案を承諾した。
氷室が投げる時はサードが空くので、代わりに守はサードの練習も取り入れることになった。
最初守は、左利きという理由で無理だと言っていた。
ただ今の守備陣から他の選手をコンバートさせるのは厳しいと上杉は話した。
その為、ピッチャーとしての守備力も高い守をホットコーナーに置きたいという上杉の考えを守は了承したのだった。
ミーティングの最後に、上杉は守に向かって話しかけた。
「今日で色々と方向性を決めました。しかしこの夏最大のキープレーヤーは千河君、あなたですよ」
守は気を引き締めた。
泣いている暇はない。
東雲も言っていたピッチングの幅……夏までに絶対広げてみせる!
守は自分の中で気合を高めていた。
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