第十五話 山神の過去
守たち明来ナインは神崎の一発以降、皇帝打線をしっかり抑え、なんとかスリーアウトを奪った。
「山神、さっき向こうの四番と何か話してなかった?」
守は山神の隣に座り、尋ねた。
「そんな深い意味はありませぬぞ。昔の知り合い故、軽い挨拶しただけでござる」
「その割には雰囲気が良くなかったような……」
「山神君、少しだけ話してあげたらどうですか? 連休中あなたが部活に来ていなかったのもあり、皆心配しているんですよ。もっとあなたのことを知りたがってます」
いつの間にか上杉が二人の目の前にいた。二人とも軽くビビった様子だ。
「もちろん、どうしても話したくないのなら仕方ないのですが……」
上杉は、あくまで山神の意思を尊重するように尋ねた。
「別にそんな隠すことでは……神崎氏と拙者はリトルリーグ時代、共に日の丸を背負って戦った戦友でござる」
「なにぃ!?」
守だけではない、その場にいた他のメンバー全員が驚いたようにみえる。
「日の丸……てことは、山神ってリトルの日本代表だったってこと!?」
守の問いに、山神はこくりと頷いた。
意外だが……確かに山神の実力は、明来メンバーや皇帝のメンバーと比べて抜きん出ている。
だが、山神はなぜ名門に行っていない? あの実力ならどの学校でも入れそうなものだが……
「拙者と違い、神崎氏は中学MVPになるまで成長した。今話せるのは、ここまででござる。拙者はネクストに向かわなくてはならないでござる」
ネクスト……?
グラウンドに目をやると、兵藤がバッターボックスへ向かっている。大田と松本はしっかりアウトになってきたようだ。……すまん、見てなかった。守は心の中で猛省していた。
三回表 途中
明来 ゼロ対一 皇帝
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