第ニ章 悲しき依頼者
寝室のベッドの上に奈未の身体を寝かせる。
「本当に、いいの?」
駆が問うと、奈未は、少し怒ったように言った。
「何度も、同じことを言わせないで。」
少し強めに言う、奈未の声が震えている。駆は、軽く息をつくと、着ているシャツのボタンを外し出す。
そして、ゆっくりと奈未の身体に、またがると静かに上体を倒していく。
瞳を閉じ、小刻みに震えている奈未に、駆は優しく聞いた。
「初めてなの?」
奈未は、プイッと顔を背ける。
「け、経験済みよ。」
「そう?その割には、身体も声も震えている。」
奈未の顔を自分の方に向け、唇を近付けようとする駆。奈未の長い睫毛が小刻みに震えている。
フッと、口元に笑みを浮かべ、駆は、奈未の額に、軽く口付ける。
「おやすみ。」
そう言うと、駆は、奈未の隣に、ゴロンと横になった。緊張の糸がとけ、奈未は、フッと意識が遠退き、深い眠りに落ちていった。
ー第ニ章 悲しき依頼者【完】ー
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