第ニ章 悲しき依頼者
「……駆くん。恨みを晴らしてくれるサイトがあるらしいの。」
「……………。」
それを聞き、駆は、口を閉ざした。奈未は、震える声で呟く。
「どうしたら、そのサイトに、アクセス出来るの?
知ってたら……教えて欲しい。」
駆は、瞳を閉じると、静かに言った。
「聞いた話なんだけど。そのサイトって、闇のサイトらしいよ。そこにアクセスするには、幾つかのパスワードがあるらしくてね。パスワードを解かないと辿り着けないって。……それに、サイトにアクセスして、依頼をしたとしても、多額な報酬がいるんだって。」
「…そうなんだ。私、頭悪いし、お金もないから……無理だね。」
クスッと悲しく笑った奈未に、駆は言う。
「復讐なんて、やめた方がいい。…くだらないから。」
その声が少し冷たく聞こえ、奈未は、駆の横顔を見つめた。
駆は、スッと立ち上がり、窓辺に立つ。月明かりの中、遠くを見つめる駆は、どこか寂しげだった。
「今夜は、うちに泊まりますか?一人じゃ、心細いでしょ?」
「……ありがとう。」
駆の言葉に安心したのか、奈未はソファーに倒れ込み、瞳を閉じた。
駆は、寝室から毛布を持って来ると、そっと奈未の身体にかける。
そして、自分は寝室へ向かおうとした駆は、パッと手を取られ、奈未を見た。
「………一緒に寝て。寒いの。」
奈未の言葉を聞き、彼女の髪を優しく撫でる駆。
「それって………どういう意味?」
訪ねる駆に、奈未は、小さく言った。
「…言わなくても分かるでしょ?女に、最後まで言わせるつもり?」
「奈未さんの正直な気持ちが聞きたいんだ。……後で、奈未さんが後悔しないように。」
「後悔なんてしないわ。……抱いて欲しい。」
その言葉を聞くと、駆は、奈未の身体を両手で抱き上げ、寝室へと向かった。
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