【GM用】シナリオ

※テストプレイ終了後そのまま公開したので、後日加筆修正予定(5/24時点)。


オープニングフェイズ

シーン1:見知らぬ電話 PC①

あなたはいつも通りせわしない1日を終え、自宅へ帰って来たところである。今日やった講義の復習をしたり、明日の準備をしたりしているかもしれない。すると、珍しく家電が鳴り響く。スマホが普及したこの時代に家電へかかって来るのは、大体が迷惑通話である。案の定あなたがナンバーディスプレイを確認すると全く知らない電話番号である。無視を決め込もうと思ったのだが、何となく電話番号をwebで検索してみるあなた。すると、その電話番号は国の関係省庁の一つを示した。

怪しく思いながらもあなたは受話器を取る。


???「こんばんは、文化財保護センターの葉佩はばきと申します。PC①さんのお宅でよろしいでしょうか…?」

葉佩「実は本センターの維持が立ち行かなくなりまして…。明治時代に弊施設と預かり契約をして下さっていた方々へ、刀剣預かりの依頼を行っているのです。」

「刀剣は維持費が嵩み、物置と揶揄される当世の風潮では、管理がしきれないのです…。」


→YES

葉佩:「ありがとうございます!!補正予算案成立後、当施設の運営が再開されるまでの約3ヶ月間、よろしくお願いいたします…!」

「あぁ、刀剣の手入れについてはご安心を!彼は自分で飲食も手入れも出来ますので!!」


→NO

「うーーーん…困りましたね…。引き受けられないと言われても、彼は既にあなたの許へ向かってしまったので。」


センター職員の葉佩との会話を終えたあなた。そのタイミングでインターホンが鳴る。あなたは警戒しながらも来訪者をインターホン越しで確認する。目が合った瞬間、その男性がニッと笑う。こちらが見えている様な行動に気付いた時、その高身長の男性はあなたの前で跪いて首を垂れている。


???:「こんばんは、束の間の主よ。」

「俺の名前は神々廻国広、先程職員が伝えた刀だ。」

「今回の問題解決に力を貸して欲しい。」


真剣にあなたを見つめ、述べるその姿勢に、あなたは少なくともこの刀物じんぶつがふざけているわけではないと理解できるだろう。己を刀と語るこの男性と、不思議な共同戦線が始まる。


シーン2:刀を鍛えるということ PC②

幼い頃、高祖父は良く先祖の話をしてくれた。

なんでも、先祖はそこそこ名の知れた刀鍛冶であったという。ひとたび刀を鍛えれば、周囲の疫病はたちまちに消え失せ、刀剣を迎え入れた家庭は平穏に生活が出来た、そんな具合の話である。幼いあなたは夢物語の様な話を聞いてどう思っていたかはわからない。また、成長した今になっては、その話をした高祖父も鬼籍である。

なぜこんなことを今になって思い出すのか、そんな思いを抱きながら業務を片付けていると、支部長のPC③から新たな任務についての連絡が来る。支部長によるとその案件は、刀剣の盗難及び破壊被害についてというものであった。しかも、本件で被害に遭っているのはキミの先祖が打った刀剣ばかりであるという。刀を鍛えるということ、それは守りたい何かを護る手段を神から賜ると言ってもいい。そんな刀剣が、そう、誰かの想いから作られた縁が傷つけられている。一種宿命づけられた任務へ向けて、存在しないたすきをグッと握りしめた。


シーン3:縁の結び PC③

代々この家系の人々は、良くも悪くも色々なモノを惹きつけやすい質であったという。それは支部長になってからも変わらず、この支部には様々な伝説が存在する。特にあなたの家系は刀剣と関わりが深く、祖先が刀剣に助けられたという話も残っている。そんなあなたのもとに、所有刀者本人ではなく剣を執拗に狙う犯行、化け物を見たという情報が入って来る。刀剣ばかりを狙った本件は、常なる事案と異なっていることから、UGNでは面倒なジャームが関わっていると判断するに至る。


シーン4:生きる伝説 PC④

この街は良くも悪くも様々な伝説が集まり、闊歩している。勿論オーヴァードであるあなたも伝説に成り得る可能性を秘めている。先日の紅い落雷に関する調査をしているが、オーヴァードであるあなたは、直感的に本件は常のものとは異なる気配がしているだろう。


日々多少のイベントは付き物でなのだが、今日は特に驚くべき事が起きている。そう、今あなたの前には都市伝説が立っている。


???:「やぁ少年(嬢ちゃん)、ここはもう直ぐ戦場になる、離れていたほうが良いぞ。」


→言葉に従う場合

???:「よしよし、俺を信じてくれて嬉しいよ。縁があればまた逢おう。」

そう言って微笑んだ長身の男性は、あなたが瞬きをしている間に消えてしまった。


→言葉に従わない場合

???:「そうかぁ、そりゃ知らない男に言われたって従わないよなぁ…。でもお願いだ、命は大切にしてくれ。」

彼がそう言うと、否と答えた筈の自らの口からは是を表す言葉しか出なくなる。


誰だかわからない筈なのだが、その特徴的な見た目はこの街に住む者なら皆知っている。紅い落雷と共に現れた禍々しい何かから、濡鴉色のポニーテールをたなびかせた高身長の男性が助けてくれた、という都市伝説である。何百年も前からこの街を守護して来たというその伝説は、今も変わらずここにあり――。

そんな場面に遭遇したあなたのスマホへ連絡が入る。それは新たな任務を告げるUGNからの集合要請であった。


ミドルフェイズ

シーン5:集合

全PC強制登場を求める。場所はUGNの息がかかっている安全な所であればどこでも良い。このシーンはPC間の顔合わせやロイス枠埋め等をするシーンである。


PC達がロイスを結び終えた段階で、情報収集シーンに移行するため、シーンをカットする。場合によってはここで以下の情報項目を開示し、行動指針を立てさせるのもよいだろう。


◆A-1刀工、越坂部国広とは

◆B-1刀剣破壊について

◆C-1太刀 神々廻国広とは


また、ここで刀剣男士の神々廻国広が情報収集の手助けをしてくれるとアナウンスを入れる。お助け技能は以下の通りである。


«濡鴉の守り人»神々廻国広

[情報:全て]に対し、判定ダイス+3

浸食値を1D10振り、再度情報技能判定を行っても良い。この時の情報判定方法は、神々廻国広に力を借りる前に振った際の一番大きい値へ、

神々廻国広に力を借りた後振った際の一番大きい値を足して計算すること。

例)

神々廻国広のお助け無し[5,4,6] 一番大きい値は6

神々廻国広のお助け有り[5,3,7] 一番大きい値は7

この2つの数値を足した[13]が情報判定の値となる。


情報収集パートは〇-1から情報を開示して行くこと。

追加開示情報は以下の通りである。


◆AC-1護審刀

◆A-2要緊急対策ランク


シーン6:情報収集パート1

◆A-1刀工、越坂部国広おさかべくにひろとは

[情報:UGN10]

刀工、越坂部国広は堀川派の一流派であると考えられる幻の刀工である。というのも、かなり昔に存在した様なのだが、子孫とされる血筋も既に刀工を廃してしまっている。この刀工が鍛えた刀剣は折れず、曲がらず、良く斬れるという点以外でも優れているとされる伝説がある。濡鴉色の刀剣はただの刀剣ではなく、人の縁を守護する生きた鋼であると―――。


◆A-2要緊急対策ランク

[情報:知識8]

政府が秘密裏に専門家との会議を経て独自に設定している指標である。この指標に該当する案件はどれも国を脅かす危険を孕んだ案件に変わりはない。ランクはB⁻~SSSまでの約7段階である。この指標が使われ始めた時期は不明であるが、刀剣の盗難・破壊に関する本件は最高ランクのSSSと設定されている。


◆B-1刀剣破壊について

[情報:UGN7]

本件がUGN内で問題として取り上げられだしたのは極最近である。というのも、政府や関係者各位全ては、破壊活動にジャームが関わっているなどとは勿論知らない。そもそも、現代においてワーディングを使用する関係上、限られた人物しかオーヴァードを知らないのである。そんな最中にUGNが本件を知る要因になった事件がある。それこそ、本支部前身の創設に関わる幻の刀工、越坂部国広作の刀剣ばかりが被害に遭っていると判明したからである。


◆C-1太刀 神々廻国広ししべくにひろとは

[情報:知識9 or 噂話10]

太刀 神々廻国広とは、重要文化財に指定されている刀剣である。見た目は美しい普通の刀剣であるのだが、PC達やエネミーには人の身を得た彼がはっきりと目視出来る。濡鴉色の長い頭髪を一つに結い上げポニーテールにしている。結い紐は山吹色。PC達には友好的である。また、この情報を開けた段階で、他の全PC達は神々廻国広のロイスを獲得する。ロイスはポジティブを推奨する。


◆AC-1護審刀ごしんとう

[情報:知識12]

通常の護身刀とは違う刀剣である。何かを護るという点は変わらないが、護審刀が護るのは人の縁の先にこれから発生する未来の審神者の命である。勿論、現代人の命を軽視しているわけではない。物事は全て発生から経過、そして未来へと縁が帰結している。その縁を護審刀は永い間護っているのである。ここにいる神々廻国広もその内の一振りである。


シーン7:ミドル戦闘(VS春日)

全PC強制登場。情報収集を続けるPC達へ近づいてくる者がいる。神経質そうなその男は、こちらを目視すると苦虫を嚙み潰した様な顔をしてワーディングを展開する。UGNに属している人間であれば良く見知った顔である、そうその男はFHの春日恭二である。


春日:「クソッ…今回は想定外の事ばかり発生する…。お前たちには眠ってもらおう!」


ミドルフェイズ戦闘を開始する。

エネミーは春日恭二1体。エネミーとPC達の距離は同エンゲージとする。

勝利条件は春日恭二を一度戦闘不能にすることである。春日恭二は戦闘不能になった後[蘇生復活]で復活し、[瞬間退場]で退場する。トドメを指す必要はない。


春日:「これだから想定外は嫌いなんだ!!」

「俺は帰らせてもらう!!!」


シーン8:情報収集パート2

情報収集を続けるPCたち。先程撃退した春日恭二が落としていった資料を見て、神々廻国広が、「やっぱりな…。」と呟く。


神々廻国広:「みんなには俺が知っている情報も話したい。相当に不味いことが起きている。」


そう言って彼は以下の更なる情報を開示するだろう。


◆D-1時間遡行軍について

◆E-1«改斬者»を名乗る者


前情報収集パートと同様に〇-1から情報を開示して行くこと。なお、本パートではラスボス戦ギミックである、審神者による救援に必要なEX情報を開示する。進行不能状態に陥らないよう、絶対に忘れないで欲しい。

追加開示情報は以下の通りである。


◆DE-1破壊の行軍計画とは

◆D-2歴史修正主義者とは

◆E-2【改斬】

◆EX審神者


◆D-1時間遡行軍について

[情報:噂話9]

神々廻国広によると、時間遡行軍とは歴史修正主義者によって使役されているとされる謎の兵団である。現代においてその正確な出現は掴めておらず、一部の感覚が鋭いオーヴァード達がギリギリ感知出来るか否かという状況である。また、本刀剣関連の実行犯もこれらではないかと仮定されている。噂レベルではあるが、紅い落雷と共に発生したという目撃情報が存在する。また、彼らは常に靄の様な物に覆われており、こちらから干渉することは出来ず、分析班の報告によると、攻撃も通用しないだろうということが想定されている。


◆D-2歴史修正主義者とは

[情報:裏社会12]

神々廻国広によると、時間遡行軍を編成し、時間遡行を繰り返しながら我が国の歴史への攻撃を行っている思想集団の様である。しかし、現代では正確なことは不明。追って調査を要する。


◆E-1«改斬者»かいざんしゃを名乗る者

[情報:裏社会10]

かの者の行った犯行において、破壊されず存続した刀剣は極僅かである。というのも、«改斬者»は圧倒的な炎で刀剣を溶かし切ってしまうからである。鋼と炎では、圧倒的に鋼が不利であることは明白だ。この犯行から、UGNは«改斬者»をサラマンダー由来のジャームと仮定し、他ブリードが存在するか否かの確定を急いでいる。


◆E-2【改斬かいざん

[情報:UGN7]

改斬とは、造語である。改斬者を名乗る者が残した数十枚のA4サイズの犯行声明文などによると、縁を改めて斬ることを示している様である。最近判明したこの行為の問題点は、ただ縁が斬れるということではないということだ。正しくは、被害に遭った刀剣に関連するデータ、及び、当該刀剣の持ち主が存在していたという事実までも無かったことにしてしまうという点が問題視されている。この重大な歴史改変が最近まで発覚しなかったのは、その性質によるものだ。

改斬により縁が失われたことで、被害に遭った人物がこの世界にと、周囲の記憶改竄が成され、情報を掴むことが出来ず初動捜査が大幅に遅れたという訳である。


それにより、決して少なくない数の人々の存在が消失しており、重大な歴史改変事項に該当すると判断せざるを得ない状況であった。未曾有の歴史に対する攻撃に、政府は要緊急対策ランクSSSと設定したことも頷ける。


◆DE-1破壊の行軍計画はかいのこうぐんけいかくとは

[情報:UGN12]

春日恭二が落としていった資料に記載されていた計画である。極秘裏に進められたFHと時間遡行軍を名乗る思想集団の合同計画の様だ。本計画概要資料によると、FHらは本UGN支部の創設に関わる要人を改斬することにより、UGNが存在しない未来を作ろうとしていたことがわかる。その資料にはPCたちの祖先の名前が記されている。


ここまでの情報全てを開け切った時、以下の情報を神々廻国広経由が、PC達を信頼できると判断した体で追加すること。この情報判定を成功させると、ラスボス戦闘シーンへお助けNPCとして審神者と刀剣男士を登場させることが可能になる。この情報を獲得せず最終戦へ突入する場合、お助けNPCは3ターン目からの参戦になるが、情報を獲得した場合は1ターン短縮し、2ターン目に審神者と刀剣男士が参戦する。


】審神者の参戦が3ターン目以降かつ、PCのバックトラックが2人以上失敗した場合、お助けNPC到着までに神々廻国広を酷使する為、ラスボス戦終了後に神々廻国広が折れてしまう。


◆EX審神者さにわ

[情報:UGN15]

【審神者】とは、刀剣男士達を束ねる主。眠っている物の想い、心を目覚めさせ、自ら戦う力を与え、振るわせる技を持つ。

西暦二二〇五年。「歴史修正主義者」を名乗る時間犯罪者達が時間遡行軍を編成、我が国の歴史を修正しようと時間遡行を繰り返しながら攻撃を開始する。対峙する時の政府は時間遡行軍を追伐するために、「審神者」なる者を派遣し、すべての歴史の守りとした。

しかし、歴史の混乱を防ぐため派遣は最小限とされ、その介入方法も厳しく制限された。

対する時間遡行軍は未来から無限に兵力を輸送し、過去に送り出していた。号して八億四〇〇〇万という。これまで八島が産んだ人よりも多い軍勢である。

勝敗は誰の目にも明らかであったが、ただ、時の政府には一つ勝算があった。それは、審神者なる者の『物の心を励起する技』。眠っている物の想い、心を目覚めさせ、自ら戦う力を与え、振るわせる。


審神者なる者は過去へ飛ぶ。


いにしえの精神と技の結晶である刀剣から生まれた最強の付喪神「刀剣男士」と共に歴史を守るため――。

(刀剣乱舞絢爛図録より)


【トリガーシーン】

シーン9:(以下、NPCのモノローグである。筆者の誠に個人的な趣味をブチ込んだので、ここは適宜カットしていただいて構わない。)


永い時を生きるなかで、「足りない、足りない」と様々なモノを渇望する人間の声を絶えず聞いて来た。そういう類の人間は例え何かを手に入れても、決して満足することは無い。欲望に身を焦がし、対象の事物に執着したとしても、真に欲する物は絶対に手には入らない。そういう理があるのだ。


「故に、私を欲し、手に入れ、服従させようとする汝の野望は叶わんよ。」


人間に必要とされるだけで歓喜に震える様な、純粋無垢な時代はとうに過ぎ去ってしまった。私は己で考え、護るべき縁を見つけたのだ。


ここまでの刃生じんせいは、余りにも永い旅路だった。さながら巡礼を行う修行僧の様な日々であった。この旅に意味はあるのかと悩む時期も確かにあった。だが、その果てに護るべき赤子を見つけたのだ。護るべき者を見つけた私に、最早迷いはない。


「私の中に神の名を見る者よ、汝は人の身に余る業を積みすぎた。それは崩さなければならない。」


巡りゆく季節と時の果て、語り継がれる我が物語を披露しよう。


「濡鴉の縁、容易には斬れまいぞ。」

イメージBGM:「神の名前に堕ちる者」


クライマックスフェイズ

シーン10:ボス戦(百目鬼豪炎戦)

情報を集め終わったPCたち。待ち合わせて情報共有をしていると、街はずれの方角から、ワーディングの展開を感知する。ワーディングを頼りにPCたちは現場へ急行することになる。街はずれの廃工場、そこがワーディング展開の中心地であると突き止め、その場へ到着する。すると、次の瞬間、紅い落雷が発生し、そこからゆらりと不気味な何かが5体現れる。


スッと神々廻国広はPCたちを庇う様に前に出る。


神々廻国広:「ほぅ、時間遡行軍とは…ビンゴだな。」

「皆気を付けてくれ、この先にいるのが本件の星で違いない。」

「ここは俺の領分だ。後は任せたぞ。」


有無を言わさぬ彼の言葉に、PCたちは頷き先へ進むしかないだろう。力強く微笑む彼を尻目に、先へ進むあなたたち。


歩みを進めると廃工場の広い空間に辿り着く。そこは積み上げられた瓦礫の山が広がっており、頂上から独りこちらを見下ろす男がいる。


???:「お前たちさえいなければ…お前たちさえいなければ!!俺の手にあいつが握られていたんだ…!」


激しい憎悪に威圧されたPC達は衝動判定を行う。

衝動判定 意志:9

衝動判定に失敗した場合、バッドステータスの暴走を得る。その後全PCは浸食率を2D10上昇させる。


瓦礫の山から見下ろしていたその男が、業火を纏って下りて来る。


???:「何もかも、俺の劫火で焼き尽くしてやるよ…こんな世界、俺が消し去ってやる…!」


クライマックスフェイズ戦闘を開始する。

勝利条件は、エネミーの全滅。エネミーとは«改斬者»百目鬼豪炎どうめきごうえんの計1体を指す。


◇2ターン目突入後、戦闘メインプロセス開始前にイベントが発生する◇


百目鬼:「敵が俺だけだと思っているなら、随分気楽な連中だなァ!!」


そのセリフと共に紅い落雷が発生し、時間遡行軍が6体エネミーとして参戦してくる。情報収集フェイズで開示はしているが、PCたちが忘れているかもしれないので、以下の情報を再度アナウンスすること。


〔時間遡行軍はPCたちへダメージを与えられるが、PCたちではダメージを与えられない。〕


また、2ターン目に戦闘開始前に分かれた神々廻国広がPCたちと同エンゲージへ参戦する。


神々廻国広:「待たせたな皆。あちらもどうやら本気で潰しにかかって来ている様だ。」

「…だが、俺とてノープランで歴史改変へ挑もうとは思ってはいないさ。」

「さぁPC①、俺を手に取って戦うんだ。心強い縁を掴んでやる――。」


勝算がある様な心強い笑みを浮かべながらそう言うと、神々廻国広はぶわりと周囲へ桜の花弁をまき散らし刀本体へ戻る。以後PC①は刀の技能有る無しに関わらず、太刀・神々廻国広を扱える様になる。判定値は以下の通りだ。


――――――――――――――――――――

[太刀・神々廻国広]

種別:白兵 技能:- 命中:+3

攻撃力15 ガード値:5 射程:至近

購入/常備化:購入不可/不可


マイナーアクションを使用し、メインプロセスに行うこの武器を使用した攻撃のクリティカル値を-2する(下限値5)。この効果はシナリオに2回まで使用出来る。また、神々廻国広とロイスを結んでいる場合、判定に用いる技能を使用者の一番高い能力に技能置換可能。


その太刀から溢れる暖かい記憶の息吹により、使役者は受けているバッドステータスを解消する。

――――――――――――――――――――


太刀・神々廻国広を手にするイベント以降、未来からPC①の子孫の審神者が刀剣男士を連れて救援に来る。これにより時間遡行軍は刀剣男士が対処をする為、PCたちのエンゲージから離脱する。


なお、審神者たち支援部隊の参戦タイミングは以下の条件によって変わる。



【A】EX情報を解放した場合

【B】いずれかのPCが2回以上HP1以下

【C】EX情報を解放せず戦闘が3ターンに突入した場合、


【A】→2ターン目の戦闘プロセス開始前、PC①が神々廻国広を手にした直後


【B】と【C】→3ターン目の戦闘プロセス開始前に参戦


(以下審神者たち救援部隊参戦時に読み上げる文章)

PC①が太刀・神々廻国広を握ると同時に、PCたちの後方へカンッと拍子木を打った様な音と鈴の音がし、大きな格子戸が出現する。音と扉の出現にPCたちを含め、エネミーも思わず攻撃を止めそちらを注視するだろう。


審神者:「お爺(婆)ちゃん、助けに来ました!!」

「時間遡行軍は任せてください、そちらはお願いします!」

「救援部隊、敵・時間遡行軍を殲滅せよ!」


百目鬼:「いつもいつもお前たちは邪魔をする!!!!目障りだ!燃やし尽くしてやる!!!!」


撃破後ボスセリフ

百目鬼:「俺の炎が、消える、だと…?」

「そん、な…、この心を焦がす炎は、幻だった、のか…。」



オプションシーン:未来への帰還

(このシーンはPC①の子孫である審神者が刀剣男士を引き連れて帰還するシーンである。バックトラック前の最後のロイス枠埋めに利用したり、エモを追加したりという要素で使って欲しい。)


戦闘が終わり、未来から救援に来た審神者と刀剣男士も一息ついている。すると審神者は何かの端末で連絡を取り始めた。その間も刀剣男士は周囲へ必要最小限程度の警戒をしている。何となく彼らを見ていると、刀剣男士もこちらを見て軽く会釈をする。その内の1振り、背丈の高い神主の様な見た目をした刀剣男士が話しかけて来るだろう。


???:「こんにちは、主のお爺様(orお婆様)と支部の皆さん。今回はどうにか間に合って良かった!」

「私の名前…? うーん…伝えても大丈夫だろうか主?」

「! わかったよ、主が許してくれるなら。私の名前は石切丸、良かったら加持祈祷をしようか?」


穏やかに語り掛ける様に話す石切丸のもとへ、もう一振り刀剣男士が近づいて来る。


???「カッカッカ、此度の戦はなかなかに興味深いものであったな。拙僧もまさか遠い兄弟に遭遇出来るとは思わなんだ!」


その太陽の様な笑顔に、PCたちは彼が神々廻国広と縁がありそうなことが何となくわかるだろう。山伏の様な格好をした刀剣男士は、神々廻国広を見つめて楽し気に満面の笑みを浮かべた。


神々廻国広:「今回は救援に来て貰えて本当に良かった。俺だけではどうにも出来なかったし、PCたちと巡り会えたのも良い縁だった。本当にありがとう。」


一仕事を終えた様な、多少疲労を浮かべたものの晴れやかな顔をした神々廻国広に、PCたちも事件の終結を確信するだろう。


一言二言PCたちと会話をした後、審神者たちは迎えの格子戸型ゲートで未来へ帰還するだろう。爽やかな空と穏やかなそよ風がPCたちの周りを吹き抜けて行く。

イメソン:Fuji(141hp) /輪廻の瑠璃世界



◇運命のバックトラックタイム◇

全てのPCがバックトラック判定に成功し還って来た際は、そのままエンディングフェイズへ進行する。

ただし、ジャーム化しキャラロスとなったPCが1人以上いる場合、人数に応じて以下のバッドエンドを読み上げる。


Bad End1:身を焦がす劫火

(このBad Endはジャーム化したPCが1人の時に読み上げるシーンである。2人以上ジャーム化した場合は、これに追加で神々廻国広の刀剣破壊シーンの2も読み上げること。)


最終決戦のあの時、あなたは百目鬼豪炎の炎に魅せられてしまったのかもしれない。ありもしない炎にチリチリと心が焦がれる様な感覚に襲われる。

あなたの大切なものが次々と燃え堕ちる悪夢の様な情景、そしてその空間に独り佇む背を向けた人物。瞬間的に激しい憎悪に駆られ、その人物を殺そうと走り寄るあなたへ振り返る男(or女)。


「お前自身の願望を否定するなよ、ここまで堕ちて来い。俺(or私)が受け止めてやる(あげる)。」


歪んだ笑みを浮かべ、光を宿さない瞳でこちらを見つめる人物。それはあなた自身であった。獣に心を浸食され過ぎてしまったあなたは、既に還って来られない所まで堕ちてしまったのだ。それを自覚した瞬間、全てがどうでも良くなってしまうだろう。


「燃やし尽くそう。俺(or私)なら全てを消し去れる。」

「俺(or私)を必要としないこんな世界、劫火で包んでやろうぜ。」


紅く染まる視界、蠢く異形の軍団――。そう、あなたは破壊の御子、または旗印として歴史修正主義者という思想集団に迎えられたのであった。

イメソン:ぬゆり/フィクサー


Bad End2:旅の終わり、響く金属音(神々廻国広の刀剣破壊シーン)

(このシーンはPCが2人以上ジャーム化した場合に追加で読み上げる最悪の結末である。実際に卓を回す際には読み上げられないことを願いながら執筆している。)


共に戦った人の子が縁から滑り堕ちて行くのを感じた。そして、その直感は我が身の終わりも告げる。

ヒビの入ったわたしたちは脆い。音を立てて崩れて行く。


神々廻国広「遥か遠き我が旅路も潰える、か…刀生とは、かくも儚き――。」


護れなかった縁の残滓を抱きしめ、残されたPCたちを見やる。皆満身創痍だが生きている。

神々廻国広は弱く微笑むと、あなたたちへ手を伸ばし何かを告げようとするだろう。しかし、その音は伝わることなく目の前で一握の鋼に砕けて、砂の様に飛散した。例え彼が物であったとしても、生きているならばいつかは死んでしまう。


――――ままならぬものだな、こころというやつは。


音にならなかった筈の、そんな声が聞こえた気がした。



エンディングフェイズ

シーン11:舞台で踊るなら全力で PC④

UGNと協力して取り組んだ本件は、元凶を撃破し、大団円という結末を迎えた。痛快な事件解決を経ても、組織には属さず協力するというあなたのスタンスはこれからも変わらないだろう。


事件終結後、数週間が経過し、支部長クラスや幹部エージェントを除き、本支部が落ち着きを取り戻した。丁度その頃、少し騒がしくも良く見知った唯一無二の友人があなたを訪ねて来る。


友人(PCと同性推奨):「今回も無事問題解決したんだって?」

「さっすがPC④だな!俺(or私)の自慢だわ~!」


けたけたと楽しそうに笑いながら、あなたの友人は今回の武勇伝を聞きたがるだろう。それを受け、彼(or彼女)へ今回のあなたの活躍を面白おかしく話す。


そんな時、あなたはささやかで幸せな日常を守れたことをふと実感するだろう。誰もが自分自身の描く明日を持っている。それを他者が身勝手に奪うことなど、都合よく出来やしないのだ。人生という大舞台で踊るなら全力で演じてみよう。その演目における主役はあなたにしかこなせないのだから。

イメソン:ユリイ・カノン/おどりゃんせ


シーン12:理想を未来へ描け PC②

あなたの先祖が鍛えた刀剣が破壊されるという憂き目に遭った本件が解決し、その後直ぐに関係各所を回っていたため、久方ぶりの休日にドッと疲労を感じるあなた。自宅、またはUGNの息がかかったカフェの席でウトウトと眠ってしまう。すると、カン、カンと断続的に小気味良い金属音が聞こえる夢を見るだろう。


???:「今回も見事な出来だ…。おう、そこにいる君もここから覗いてみると良い。」


顔はよく見えないが何故か微笑んでいる様に感じる人物に手招きされ、工房の端から中を覗き込むあなた。そこには、一人の刀工を囲んで少し離れた所から、様々な見た目の男性が嬉しそうに眺めているという場面があった。


???:「これはな、私たちの刀生の始まりの場なんだ。あの真ん中で刀を鍛えている刀工こそ、君の遠いお爺様であり…私たちの生みの親、越坂部国広さ。」

「周りにいる者たちを見てみなさい。彼らはね、越坂部国広によって生み出された刀を見守る付喪神だよ。」

「今日は特別な日でね。君はどうやら良い縁に導かれたらしい。さぁ、新しい刀が生まれるぞ!」


その言葉を受け、あなたはもう一度刀工を見やる。刀工は嬉しそうに鍛えた刀を見つめると、独り言をこぼす。


越坂部国広:「君はこの街で人々の縁を護る刀になるんだよ。銘はそうだな…神々廻国広……うむ、良い名だ!」


途端に産声を上げる刀剣。それはまさしく永きに渡りこの街を守護して来たあの神々廻国広の誕生であった。ふと刀工がこちらを向いた瞬間、一気に意識は覚醒し夢から覚める。周りをきょろきょろと見回しても寝落ちしたままの状態で変わりない。そんな時、ふわり、と風が頬を撫でて行く。


我々を護ってくれてありがとう―――。


そんな言葉が聞こえた気がした。

イメソン:Orangestar/空奏列車


シーン13:未来あしたを掴む PC③

生きる伝説と共闘をするなんて経験をしてから数ヶ月。あなたはいつも通り支部長としての職務をこなしていた。未来からの歴史改変という前代未聞の攻撃を受けた本支部は、当該事件が終結した頃から様々な専門家が興味を示し、現在刀剣及び歴史修正主義者等についての研究が始まっていた。その関係であなたを含め、上級エージェントも先月から報告書執筆デスレースに強制参加をするという憂き目に遭っている。


それがやっとほぼ終わりを迎えた今日、先程まで隣のワークスペースで報告書の確認作業をし、最終校正していた職員が困り顔で支部長室を訪ねて来る。


職員:「でもこの未来って約200年後位の話なんですよね…?僕らじゃどうしようも無いですよねぇ…。」


あなたはその言葉を受けて、職員と暫し談笑するかもしれない。


刀剣男士と時間遡行軍―――。

この話は遠い未来の話、そう割り切ってしまえばそれまでの話ではある。しかし、なんてことの無い日常の連続が遠い未来へ繋がっているということも変わらない事実なのだ。


とっくに飲み干し、氷だけ残ったグラスがカランと音を立てる。何となくその音につられる様に、窓から外を眺める。暮れる夕日を見ながら、我々オーヴァードを知らない一般人や子供の穏やかな風景を遠くに感じる。彼らが楽しく笑って過ごせる日々がこれからも続きます様に。


人々の縁を護る、そんな言葉を思い出しながら―――。

イメソン:takamatt/トキヲ・ファンカ


シーン14:星が標となる旅路 PC①

ひょんなことから神々廻国広を預かって約3ヶ月。刀剣破壊事件も解決し、自宅でのんびりしていたあなたのもとへ電話がかかって来る。


篠木:「こんばんは、文化財保護センターの篠木しのぎと申します。全国を駆けずり回っている葉佩から言伝を頼まれましたので、連絡いたしました。」


丁寧な口調の篠木という男性が言うには、予算集めの為に全国を駆けずり回る葉佩によって無事センターへの予算が下りることになったという。


通話が終了した後、あなたはこの刀ともお別れなのか、という、少し寂しい様な気持ちが湧くかもしれない。そんなあなたに神々廻国広は微笑むと、これが今生の別れではない、と言う。まだ返還まで数日ある為、あなたはその間に彼とどこかへ出かけて思い出を作るということも可能である。


――――――――――――――――――――

数日後、約束の3ヶ月が終わり、神々廻国広は文化財保護センター管轄の個人宅へ戻る日を迎える。


神々廻国広:「俺は今までもこれからもこの街と共にある。だからそんな寂しそうな顔をするんじゃないよ。」

「束の間ではあったが、世話になった!」

「これからも達者で暮らすのだぞPC①。俺はどこからでも見守っている。」


満面の笑みを浮かべた彼は、あなたが瞬きを2、3度すると目の前から瞬時に消えてしまった。だが、不思議と先日感じた寂しさは無いだろう。


どこからでも見守っている。そんな心強い言葉と、太陽の様な笑顔が思い浮かぶ。人生の標となる様な輝きを胸に――。

イメソン:ナユタン星人/太陽系ディスコ


FIN…


経験点

・«改斬者»百目鬼豪炎を倒す。+5

・神々廻国広を折らずシナリオクリア。+5

・Eロイス「ありえざる存在」を獲得した。+2

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