第34夜 生きながら焼かれる
16歳の誕生日を過ぎた頃から、同じ怖い夢を何度も見るようになりました。
夢の中で私は寝転んでいて、身体を動かすことが出来ません。
周りは真っ暗で、目の前に四角い窓があり、そこから外の様子が見えます。
その窓から時折知らない人たちが代わる代わる覗きます。
覗く人はお年寄りから子供まで様々です。
何かを喋っているようですが、声は聞こえません。
中にはこちらを見ながら泣いている人もいます。
しばらくするとその窓が閉められ、視界が真っ暗になり、身体がガタンと揺れます。
ゆらゆらと身体が浮遊しているような感覚に襲われ、自分が箱のようなものに入れられ、運ばれているのだと分かります。
そのまま運ばれ、またガタンと身体が揺れます。
そこからは地獄です。
まず、焦げ臭い匂いが鼻につき、急に息ができなくなります。
「火事だ!」
そう叫びたくても声が出ません。
空気が熱く、身体に激痛が走ります。
「熱い!苦しい!死ぬ!助けて!」
と思いますが、身体は相変わらず動きません。
そこでいつも目が覚めるのです。
ある日、母にその話をすると、
「それって火葬じゃないの?」
と言われました。
私が寝転んでいたのは棺桶の中。
窓から覗いていたのは葬儀に参列した人々。
あの熱さと焦げ臭さは火葬で燃やされているから。
今でもたまにその夢を見ます。
見始めた頃と変わっていることと言えば、最近よく周りの人に
「なんか焦げ臭い匂いがする」
と言われることです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます