ROUTE13 「かたみさきだいいちしょうがっこう」へ行こう!
「かたみさきだいいちしょうがっこう」
さっきも来た、みゆりちゃんが通う学校なんだ。
今度はおそうじのオバサンはいなくて、代わりに黒い服を着たお兄さんたちが学校の横の路地にずらっと並んでた。
ずらっと並んで、ごろーんと寝そべってた。
「お兄さんたち、なんでみんな寝てるのー?」
近寄ってふんふんとにおいをかいだり、前足や鼻先でからだをつんつんしても、誰もぼくに気がついてくれない。つまんない。
かいくんが困ったように声を上げた。
「うわー、なんだ? きみたち一体――って、その腕章のエンブレムはまさか!?」
「こ、このエンブレムに気づくとは、貴様ただの
「問おう、汝は我ら『
「いや、高校は確かに片水崎だけど、リレーとか関係ありません……」
かいくんは呆れ顔で頭をぽりぽり。
「噂は本当だったんだなー。毎年この時期になると第一小学校のそばで運動会の特訓始めちゃう
「この場所は、リレー特訓にちょうどよいのだ! 児童諸君の妨げにならない時間に限り使用してよいと、学校側の許可もいただいてあるっ!」
「太っ腹な学校なんだなー。で、なんで寝そべってたわけ?」
「寝そべってたわけではないッ!」
ひとりがくわっ! と立ち上がった。こわいよこの人。
「
「あそこまで疾風と一体化した存在を、我らは目にしたことがないッ!」
「まさに黒き
「誰のことだかわかっちゃったけど、あいつにはすでに『神速の帰宅部部長』っつー二つ名があんだよ?」
うおおおおお……と地底を響かせるような重苦しい雄たけびがこだまする。近くの家の窓から、何人かがビックリして顔を出した。
「あの!」「伝説の!」「片水崎高創設以来の!」「なんと
「あーもう、そういうのいいから」
かいくんはぼくをひょいっと持ち上げて、そのまま走り出した。
「もー、変な所で時間食っちゃったな」
そのうちだんだん、ほかとは違うにおいを感じるようになった。
このにおいって。なんだかちょっぴり悲しくて、懐かしいにおい。
たてもののドアが開いて、かいくんとぼくは中に入った。
そこにいたのは、ぼくがずっと捜してたにおい。
みゆりちゃんだ!
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つぎは
⇒ROUTE14 ケンタが消えちゃった!
https://kakuyomu.jp/works/1177354054897049162/episodes/1177354054897258478
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