ROUTE3 「かいくん」と友達になったよ

 じいぃっ……。


 視線がこわいお兄さんに、思わずぴょこっと前足を出した。


 すると、お兄さんの手がそれを受けてくれた。


 あ、知ってる。これ「おて」ってやつ!


 もう片方の足も、ぴょこっ。もうひとつのお兄さんの手の上に、ちょこん。


 お兄さんのこわいつり目が、急にとろけるような下がり目になった。


「うわー、こいつ可愛い! 美弥ちゃんが作ってくれたぬいぐるみにそっくり!」


 お兄さん、笑顔全開! よかったー、こわくない!


 嬉しくってつい、ぼくの知ってる遊びを始めちゃった。


 お兄さんの手に乗せたまま、両方の前足を三回ぴょんぴょんぴょんさせて、それからばってんにして三回ぴょんぴょんぴょん。


 ついでに後ろ足もぴょんぴょんぴょん。後ろ足ジャンプ大得意なんだ、ぼく!


「うわ、すげー! こいつ、『せっせっせー』知ってるよ!」


 しゃがんだお兄さんと、ぴょんぴょんぴょん、せっせっせーって遊んでたら、なんだか一緒にダンスしてるみたいになっちゃった。たのしー!


甲斐かいさん、楽しそうに何やってるの?」


 お姉さんが、乗り物から降りて近づいてきた。すごく不思議そうな顔してる。


美弥みやちゃん、見てよこれ! すっげー可愛くない?」


「ええと、ごめんなさい……これって、どれ?」


「え?」


 お兄さんは、ぼくとお姉さんをきょろきょろと交互に見比べた。ちなみにお姉さんは、ぼくとは全然違う場所を見てる。


「美弥ちゃん、見えないの? え、お前、ユーレイ……?」


「うん、『くろづるさん』がレイだって言ってた!」


「しゃべった!!!!」


 お兄さん、びっくりしてしりもちついちゃった。


 それから、お互いに自己紹介したんだ。


 お兄さんの名前、「かいくん」っていうんだって。ぼくたち、ともだちになったよ!



●・○・●・○・●・○・●・○・●・○


つぎは

⇒ROUTE7 「みやちゃん」がごはんを作ってくれたよ

https://kakuyomu.jp/works/1177354054897049162/episodes/1177354054897223147

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