第8話 凪沙の誕生日 後編


「凪沙入るぞ」


トントンと扉をノックし、部屋へと入る。

当然のように、凪沙はベッドで寝ていて、着ぐるみのようなピンク色のもふもふしたパジャマを着ている。

いつも思うが、部屋に入っても起きない凪沙は無防備すぎて心配になる。


可愛い寝顔で寝ている凪沙。ほっぺを指で触るとぷにぷにしてて、柔らかい。


「ん...💤」


少し声を出したが起きる素振りは全くない。

これは凪沙がお腹空くまで待つしかないかな。

気持ちよく眠ってる凪沙を起こしても悪いので俺は床に腰掛け、しばらく寝させてあげることにした。


★★★


「ん...」


凪沙はお腹が空いたのか体を少しずつ起き上がらせる。


「あれ、さっちゃんがねてる。めずらしい」


私はゆっくりとベッドから降りて、座りながら寝ているさっちゃんの寝顔を見つめる。

さっちゃんの寝顔を見ていると癒されて自然と笑みが溢れる。手を頭に乗せ、ゆっくりと撫でる。


「いつも、ありがとね...さっちゃん」


いつもの感謝の意味を込めてそう言うと、さっちゃんは目を覚ました様子。


「な、凪沙!?急にどうしたんだ」


起きると凪沙に頭を撫でてもらってる。ただすごく心地良い。幸せな気持ちになる。


「ううん、なんでもないよ。さっちゃんお腹空いた、下降りよ」


「待って、凪沙。凪沙に渡したいものがあるんだ」


俺は横に置いていた袋からメロンパンとネックレスを凪沙へと渡す。


「これ」


「プレゼント、?」


「凪沙への誕生日プレゼント」


「さっちゃん...うれしい」


俺のプレゼントを見ると少し涙を浮かべながら微笑を浮かべる。


「メロンパンは冷めちゃったかもしれないけど、凪沙が喜んでくれて俺もうれしいよ。ってな、凪沙!?」


いきなり凪沙に抱きつかれて驚く。ほのかな甘い香りと凪沙の温かい体温を感じる。華奢な身体な凪沙の全てで包み込まれる。


「ありがと...。こんなうれしいプレゼント他にないよ...。さっちゃんからもらえる、それがすごいうれしい、、ありがとね...」


「凪沙...」


「💤」


「おい、凪沙。起きろ」


「💤」


どうしようか、抱きつかれながら寝てしまうとは思わなかった。


俺は凪沙に抱きつかれながらも手を動かし、袋からをあけ、メロンパンを凪沙に食べさせる。いつも学校で凪沙にしてることだから慣れている。

凪沙の口元にメロンパンが行くと、口が開いた。


「このメロンパンすごいおいしい...」


「今人気のメロンパンらしいぞ」


「今までで一番おいしいね...」


「それはよかった」


「もう一つのプレゼント開けてみてくれ」


「うん、何が入ってるんだろ...楽しみ」


凪沙はネックレスをの箱を取り、開ける。


「わぁ、このネックレス...。メロンパンだね」


「凪沙好きだと思って」


「好き...」


「よかった」


「さっちゃんからネックレスのプレゼントもらって...。私たちなんか付き合ってるみたいだね...」


「む、昔からの付き合いだろ」


「付き合お、さっちゃん...」


「え?」


「さっちゃんいなきゃ私、生きていけない...から...これ..ずっと大切にするね...💤」


「俺も凪沙と...って凪沙?」


メロンパンを食べて満足したのか、そのまま大事なところで凪沙は寝てしまった。


「凪沙、誕生日おめでとう」


俺はそう言い残し、優しく凪沙の頭を撫でた。


気持ち良さそうに寝ている凪沙を起こす勇気はなかったのでベットまで運び俺は下へと降りた。


「凪沙寝ちゃいました」


「そうなのねえ、せっかくだし、2人で夕食食べましょ」


凪沙母の手作り料理は豪華で凪沙の誕生日なので張り切って作ったのだと思う。

凪沙が居なくて凪沙母は少し泣いている。


「凪沙ね、今日自分の誕生日だと知らなくて、私がおめでとうって言うまで気づかなかったのよ」


凪沙何も知らなくて、心配になる。


「それくらい、マイペースで周りに興味なくて、凪沙は自分じゃ何も出来なくて、だから、さっちゃんがいてくれてうれしい。この先も凪沙をよろしくね」


「そんな...。こちらこそよろしくお願いします」


「ありがとね...」


凪沙母と色んなことを話し、ご飯を食べ終えた俺は帰り支度をする。


「今日はありがとうございました。ご飯すごくおいしかったです。また明日来ます」


「それは良かった。さっちゃん誕生日だし、お家泊まってもいいんだよ?」


「いえ、凪沙を起こしても悪いですし、また今度にします」


「わかったわ、今度泊まってね」


「はい。ではお邪魔しました」


「気をつけて帰ってね」


そうして、凪沙の誕生日は終わりを迎えた。後々、LINEでも凪沙に「ありがと」と言われ、すごい幸せの気持ちになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

学校一の美少女がいつも隣に寝ているので全ての身の回りの世話を引き受けることにしました 神崎夜一 @guiltycrow

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ