第4話 地獄の終わり

 父にムチで打たれたあと、無理やり食物を食べさせられたが、結局後で吐き出してしまった。

 そして、痛みにより眠ることすら出来ずに1日が終わる。


2日目の朝


「うぅううぅぅ・・・」


 僕は夜通し痛みにより呻いていた。

 手は鎖で縛られているため、痛い所を触れることすら出来ない。

 痛いのか痒いのかすら分からず、ひたすら耐えるだけの時間が過ぎていった。


「いたい・・・なんで・・・なんで・・・・・」



  カツっカツっカツっカツっカツっ・・・


 聞きたくなかった足音が聞こえてきた。


「いやっ、嫌だ!!」


 僕は昨日の恐怖が蘇り反射的に叫んでしまう。


「来るなっ!来るなぁぁぁ!!!!」


 しかし足音は止まらない。

 足音はどんどん大きくなり、やがてその人物が目の前にやってくる。


「ははは、今日も元気そうだな。それでこそ壊しがいがある。」


 狂ってる。そう思うも声が出せない。

 恐怖で声が出ないのだ。


「今日は昨日よりも楽しいぞ?」


 その歪んだ笑顔が恐怖心をさらに煽る。


「ほら、笑えよ」


 バチンっ!!


「ぎゃあぁぁぁぁ!!」


 そう言われた瞬間、昨日同様にムチを振るわれた。


「いい声だ。今日はお前の爪を剥がしに来たぞ?」


 そんな宣言をされた。


「やだ、やめて…やめて…やだ!!!」


 ガチャガチャガチャガチャ


 暴れようとしても、鎖で繋がれているため、鎖の擦れる音がガチャガチャと鳴るだけだった。


 父はそんな事は構わず、沢山置いてある器具の中から何かを持ってくる。


「せっかくだ、目隠しをしてやろう。」


 そう言ってすぐ、僕に目隠しをする。

 抵抗しようとしても鎖のせいで出来ない。


 ただでさえ暗かった視界が真っ暗になり、痛みと父の声とで発狂しそうになる。


 むしろ、発狂したかった。


「やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ。」


 僕はただひたすらやだと叫ぶしか無かった。


 すると突然


 バチン


 そんな音が聞こえた。

 次の瞬間、右足の親指に激痛が走る。


「ぎゃあぁぁぁぁ!!痛い痛い痛い!!!!」


 爪を引き剥がされたのだ。


「ぎゃあぁぁぁぁ!!がぁぁ…」


 間を開けず、人差し指、中指、薬指、小指に痛みが走る。



 そのまま今日1日、目隠しをされたまま両足の指、両手の指の爪を全て引き剥がされた。


 そして今日も無理やり食事と水をとらされた。

 それだけでなく、血塗れになった自分の爪も口に入れられた。


(もう死にたい・・・)


 痛めつけられるだけ痛めつけられ、父はどこかへ行ってしまう。


 僕はもう限界だと思った。


(死ねたら痛みも無くなって楽なんだろうなぁ。)


 そんなことを考えていたら痛みを忘れて意識を失ってしまう。。



 バチャ!


 何かを頭から掛けられて目が覚める。

 まだ死ねていなかった。


 目隠しがされているせいで何も見えなかったが、声だけが聞こえてくる。


「何寝てんだよ。」


 父の声だ。

 その一言だけ聞こえて静かになる。


(やっと解放されるのかな・・・)


 ついつい希望的観測をしてしまうがそんな事はなかった。


 グチャっ!!バキっ!!


 自分の足元からそんな音が聞こえた。


「がぁぁぁぁ・・・」


 今までに無いほどの激痛が走る。


 足の指を潰されたみたいだ。



 1つずつ…1つずつ…そして2つ・・・


 どんどん指が潰されていく。

 痛みにより意識を失っても、すぐに痛みで覚醒してしまう。


 結局片足全ての指を潰されてしまった。


 このままでは失血死するだろう。そう思えたが、父は傷口を焼いて無理やり止血する。


「――があぁぁぁっ・・・」


 そのまま痛みで気絶する。



 そんな拷問の日々が5日続く。


3日目

 指を切り落とされ、それを食べさせられた。

 吐いたが吐けなかった。全身が痛い。気持ち悪い。


4日目

 片足を切れない刃で切断された。

 痛い上に自らの肉、骨が切断される鈍い音が頭から離れない。

 既に発狂していたかもしれない。


5日目

 痛みも分からなくなって反応が無くなる。

 何をされたのかも分からない。





――なんで僕だけがこんな目に遭わなければいけないんだ。

 なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで――


 次第に痛みを忘れて絶望から憎しみへと変わっていった。


 殺してやる殺してやる殺してやる!

 あいつを殺してやる!!!


 父への憎しみに支配される。


 しかし、それは叶わなかった。







 なぜなら今日














 ノコギリで首を切り落とされて僕は死んだ。




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死ぬほど強くなる?スキル『デスルート』に殺される僕 六道奏 @estely219

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