第8話よっちゃんミスしてない?

僕は無事に転生した。〇歳児、名前はまだ知らない

今の僕は何もできない。

それに下半身は濡れてて臭い、多分漏らした。


「おじゃーー!!」


だけど泣くことしかできない

意識もハッキリしない

眠たくて仕方がない

けど臭くて気持ち悪い


「hFAtzm mkjarzl」


誰かが気づいてくれた


「lkoyslce? gxlcaeddm gqCoe gjpBotGyt」


言葉が全然わからない

でも優しい声なのはわかる


「nndAtpj」


そう言って下半身に巻かれてるものがとられ、尻を拭かれた。

もうなれた 僕は赤ん坊

もう眠い

寝よ


「fejnwwai dkwtgj mmxjPg」


頭を撫でられるのはすごく安心する




目が見えるようになり言葉も少しわかるようになった


「あら dntpxjmn」


話しかけてくる女性はお母さんだ。少し灰色(ほぼ銀)の混ざった白髪でかなり整った顔をしている。肌はシルクのように滑らかで、目は少し垂れ目で夕暮れ色をしている。眉の形も綺麗な曲線を描いてる。


「ごはんjna napgkslm」


そして僕の体は持ち上げあれ、母親の胸に近づけられる

……なにも言わない思わない僕はあかんぼう……

お母さんはかなりスタイルがいい……




今は一人でお昼寝の時間


「ああ〜うぁ あぁう〜〜あ」


泣くだけじゃなく言葉も出るようになり意識もハッキリしてきた。

少し前まで泣くことしかできなくてかなり困ったけどね

それと⦅ジョブ》の恩恵はさっぱり感じない。

でも⦅スキル》は使えるみたいだ。

まずは⦅把握》で周りの物に流れてる魔力?を感じ取る。

あの真っ白な地面と比べると非常にイージー。

そのあと把握した魔力に⦅同調》を使い、自分の魔力を周りの魔力に合わせる。

そうしてその魔力を周りに流していき、また⦅把握》を使いその範囲までの空間を全て把握した。

一度把握すれば⦅同調》を解除しても把握し続けることができる。


「あっう あぁうあーう〜〜あ(あっ、ちっこいのが来る)」

「nijsme起きてる? 」


そう言って顔を突いてくるのが、多分僕のお兄ちゃんだと思う。

髪色は黒の強い灰色、肌は白で目の色は宝石のタンザナイトに似ている。顔はクール系のかっこよさがある。お母さんにはにてない、父親似かな?


「あっああうあー(もっと優しくお願い)」


そしてお母さんと誰か知らないデッカいのが近づいてきた。


「ルートevusnax、マーリンeglantxnj bgnvj」


お母さんは優しくお兄ちゃん(ルート)に話しかける。

お母さんはルート兄さんを優しく撫でてから僕に微笑みかけて、


「マーリンkjavbgnt起きてるのね」


容姿と雰囲気、言葉遣いから聖母様に見える


「nlatngjna ksnrbsx kjbgngkap」


お母さんはそういうと僕を抱え上げられ、誰か知らない知的なイケメンと対面する形になった。

ルート兄さんに似てるのでお父さんかな?

知的イケメンは僕を見てかなり驚いていたけどすぐに気を取り直し顔を突いてきた。


「ああっうあー」


そこは撫でるとかじゃないお父さん!


「(……このお父さん絶対天然入ってる)」


そんな感じで幼い頃の日々を過ごした





「マーリンどこー」


僕は二歳になった

今ルート兄さんと一緒に鬼ごっこをしているよ。

でも僕はスキルを使い、周りに気配を同調して隠れている。

多分このまま昼ごはんの時間になって僕の勝ちで終わると思う。

今日のおやつはルート兄さんの分ももらえそうだなー

と思いながらある問題について考えていた



それは


「シノテキニメヒテ ノメヒテリコ ニメソユニネニテ」


お母さんは相変わらずの聖母スマイルで僕たちにそう話しかけてきた。

全然言葉の意味がわからないけど、(席に座ってご飯を食べましょう)みたいなことを言ったのかな?ニュアンスからして

三歳僕より年上らしいルート兄さんは少しだけ考えながら


「コテヒナメヒ ニメニニテヨ」


と返事をした。

お母さんとその隣に座ってるお父さんは満足そうにルート兄さんを見てるのできっと正しい回答だったんだと思う。

ルート兄さんはホッとしていた

一応僕もルート兄さんの真似をしておく


「コテヒ ナメヒ? ニメ ニニテヨ?」


発音が全然わからないよ。

お母さんはルート兄さんと僕の頭を撫でながら


「ルートよく勉強できてるわね、すごいわ。

マーリンも少しずつ覚えていきましょうね」


そう言って僕たちを食卓に促す。



食事をしている時もいくつもの言語でお母さんと一緒にお父さんは喋りかけてくる。

ルート兄さんはかなり頑張って理解しようとしているけど、僕はスキルをフル活用し、ニュアンスを捉えて言葉を返したり、早く言葉を覚えれるように頑張った。

家族内の会話にここまで苦労するとは思わなかったね。



この家族は家の中ではいくつもの言語を使う習慣があるらしい。いや決まりかな。

家や家具から見ても貴族ではなく平民であることは間違いないし、家があるのは深い森に囲まれた村で僕が希望した通りの転生先なんだけど、なんでこんなことになっているのか。

村の中にある他の家をのぞいてみたことがあるけど、普通に僕が一番最初に覚えた言語で会話をしていた。

うちが特殊なだけみたいだ

お母さんもお父さんも何者なのだろうか ?

あんなにいろんな言語を操るなんて普通の平民じゃないよね



今は同日午後3時でおやつの時間、品はアップルパイだ。

ルート兄さんとの約束どおり本来ルート兄さんが食べるはずだった3分の1を僕がもらうことになった。

この村は深い森に囲まれてるので林業と果物が主な資金源としている。だから割と果物は手に入るらしい。

そして今お母さんは洗い物をしている。


男三人でおやつを食べているんだけど、僕とルート兄さんの前には紙の束が置かれている。

書かれている問題を解きながらのおやつタイムだ。

お父さんは僕やルート兄さんの質問に答えながら雑学や常識を話してくれる。

普段お父さんは寡黙であまり喋らないけど、表情はかなり変えてくれるのでわかりやすい。

あえて言葉にはしないと言った感じの人だ。

お母さん曰く


「エル(お父さんの名前、フルネームはエルヴィンス)は口下手で自分から話す時にうまく言葉にできないの。でも言葉を返す時とか文章をそのまま口にしたり、なにかを説明する時は、何を話せばいいかわかるからスラスラ言葉にできるのよ。 可愛い人でしょ」


とのことだった。

仲がよろしいことで、息子としては大変嬉しいです



今日の紙の束と言う名の問題集は文字の練習プリントだった。

ちなまにこの世界には教育施設がちゃんとあるらしく

ほぼ全ての村や町には人口にあった規模の施設があり、国が隠居したい知識人や、子供に物事を教えたいと言う学のある人を派遣することになっている。

意外とどの国もこれをちゃんとやっているらしくて、これができてない国は周りの国からそんなこともまともにできない国という烙印を押されてしまう。


そしてそんな国の統治ではあまりに民が不便だ。

よし助けよう!と戦争を仕掛ける大義名分が成立するらしい。


だからどの国も自国の威信と存亡をかけて徹底してやっているとのことだ。ちなみにこれはお父さんの役に立つ雑学コーナーで聞いた。

とてもわかりやすく冗談交じりに話すのですぐに理解できて覚えられる。

ちなみにシェーラ母さんは王都の教育施設を首席で卒業している。周りからあれこれ圧力や強引な勧誘に疲れてこの村に教育者として逃げてきた過去があり、その頃よくこの村来ていた博学の父と頭がいい同士よく話が合って仲が深くなり今に至るということらしい。

この家の英才教育はそんな背景から来ている。



ちなみにお母さんはこの後、村の教育施設に行き十二歳までの子供に手習いを教える。

教育者は結婚後も続けることができる職業らしく給料もいいらしい。首都の高等教育施設の教育者になると高級官僚と同じくらいの給料がもらえるし、雇用制度はかなり柔軟にできてる。

その分試験が難しく、お母さんのように高等教育施設卒業後すぐに試験に受かることは非常に稀とのことだった。


「(お母さん能力高すぎではないだろうか)」


生まれが田舎の方であり身内も早くに亡くしたお母さんは、村の教育者からの推薦で首都の高等教育施設に行き一人で生活していたらしい。

そして成績は抜群に良かったらしく、周り 特に同性からかなり嫌われていたとよく僕に話してくれる。

この後エル父さんとの出会いの話になり惚気が始まるのでなんとも言えないけどね。



おやつを食べ終わりプリントも済ますと、エル父さんがいるときは剣か魔法術の練習。いないときはお母さんと一緒に初等教育施設についていくことになる。

剣の練習内容はルート兄さんとエル父さんの動きを見るだけ。だって僕はまだ二歳だからね。

ちなみに剣と魔法術の練習は朝と夕方、一日二回ある。

そしてこの家は三歳から実際に木剣を使っての練習が開始されるらしい


「……本当にこの家はただの平民の家なのかな?」


魔法術の練習は七歳になるまでは体の魔力を感じる練習やコントロールする練習が主で、実際の魔法は使わないらしい。

理由はコントロールを失敗すると死ぬリスクがあるから。

実際に魔法術の練習で失敗すると、エル父さんがそばにいても間に合わないくらいに魔力の管が損傷して、魔力が全て流れ出てしまう事があるんだとか。



ちなみにエル父さんは今でもよく仕事で家を空けることがある。

それで僕の出産に立ち会えなかったらしい。

今でも思い出すたびに僕とお母さんに謝罪をしてくる。

そして家を空ける時にはルート兄さんと僕に


「私が家にいない間シェーラ(お母さんの名前、フルネームはシェヘラザード)を頼んだ。

私が家にいないからとシェーラに近づこうとする男がいたら必ずシェーラを守ってくれ。そして私にそのことを報告してくれ。わかったな。」


普段口下手なエル父さんがここまでの長文を言葉にするほど不安で仕方ないらしい

まぁシェーラ母さんは美人だから心配になるのも仕方ないと思うけどね。

そんなエル父さんをシェーラ母さんは椅子に座った状態のまま微笑んで


「そんなに心配しなくても大丈夫よ、離れていてもわたしはあなたを想っていますよエル」


そしてハグとキスをするのがいつもの流れである。

ちなみにシェーラ母さんが座ったままなのは、分かる人だけがわかればいい事情がある。

ルート兄さんは気づいてなく、目の前の親のラブラブ振りを見て恥ずかしそうにしている。

僕も少しだけ恥ずかしい。



最初、夜にスキルの練習をして気づいた時はものすごく慌てた。

ルート兄さんや僕は二歳くらいになるとシェーラ母さんやエル父さんとは別の部屋で寝ることが増えていく。

そして両親だけで寝る時は、両親はスキンシップを一日も欠かさない

僕も実年齢の割に落ち着いてる方だとは思うけど気になってしまう年頃なので一応確認だけしてしまう。

確認するとすぐに止めるようにしてる。流石の僕でもそこらへんはわきまえてる。


「ルート兄さん、家族仲がいいって素晴らしい事だよね」

「そうだねマーリン、ちょっとだけ恥ずかしいけどね」


今日も平和な日常が過ぎていく


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