第4話お楽しみの時間だよ
十時間程の説教?の後、僕は記憶を残すことを選択して違う場所に送られた。
というか神様君と一緒に行く事になった。
ついた場所では先に記憶を残すことを選択した二十人程の人が驚いた表情で周りを見ている。
神様君が言ったようにある程度の時間はあまり関係なかったようだ。
新しい空間は前の空間とは違い真っ白な空間だけではなく、光輝く球体が数えきれない程あり、文字がびっしり書かれている黒色の大理石のような石でできた特大の石板があった。
そしていつのまに移動したのだろうか?その石板の裏側から神様君が出てきてなにやら話し始める。
「みんなおまたせ!
ここは《ジョブ》と《スキル》を選択する空間さ!
輝いている球体が《スキル》。触れれば名前と効果がわかるから片っ端から触れていってね。同じ名前と効果の《スキル》がいっぱいあるから取り合いにはならないと思うよ!
石板に書かれているのが《ジョブ》だよ!
こっちは全部個数が決まってるから複数人の希望が重なったらじゃんけんで決めてね。もちろん勝った人が獲得する権利を得るよ。
あと気をつけて欲しいのが《ジョブ》と《スキル》の名前の横に数字があるんだけどね。
この数字はぼくたち神様からの祝福、まぁコストかな。希少な《ジョブ》や便利な《スキル》になるほどかかるコストは高いよ。
祝福量は百だからそれに収まるようにしてねー」
説明が終わると同時にこの空間にいる人たちは石板に移動して《ジョブ》を見だした。
《勇者》《剣聖》《大賢者》《賢者》だとか《錬金術師》《魔王》まである。
効果は大体 《ジョブ》限定魔法を使えるようになるとか、聖剣や魔剣を使えるようになるとかだ。
よくゲームであるような攻撃力 防御力 体力 スピード 魔力量 対魔力 幸運などの数値でわかる書き方は一切なかった。
この事を誰かが神様君に聞いたら、説明はこんな感じ。
「あちらの世界での《ジョブ》とはあちらの世界の人々の集合無意識によって判断され、ふさわしいとされた人に神様から与えられるという形で、その《ジョブ》に就くことができるんだ。
だからジョブに就くことで得られる効果は何々ができるようになるとかそういう感じなんだよ。
まぁつまり、聖剣を使えてかなり強い魔法も使えるものが勇者になれる。逆に勇者ならそれらができるよねってゆう裏技みたいなものなんだよね、今僕がやろうとしていることは。
でも結構あることなんだこれがさ。
将来的にそこに行き着くだろうと神様が判断したらそこまでの力がない時にその《ジョブ》について一気にその段階にいくとかね。
数値がないのは単純に数値には表せないからさ。
体力一万の人と体力十の人がいるとするよね。それでナイフが心臓に刺さったとする。
刺したら二人とも死んでしまうんだよ。
だって生きてるからね、心臓が止まれば命は消える。
血が出たら出ていっただけ体の動きは鈍くなるし、個人差はあるけど血の量が十万と十ほど差があることなんてあり得ないでしょ。
だから体が丈夫になるとか 傷の治りが早くなるとか、筋肉密度が上がるとか 体内魔力量が増えるみたいな抽象的な書かれ方をしているんだよ。
でも書き方的に分かりづらいけど効果は実際にかなりすごいよ」
それを聞いて僕は《剣士》を選ぶことにした。
だってよくわからないし 正直どうでもいいからね。
誰も選ばないだろうし、複数個あるから《剣士》にした。
そんな周りでは早速じゃんけんの大きな声が聞こえ始める。喜びと興奮、悲しみの声は数分間続いた。
神様君は不思議そうに僕を見ていたので手を振ると、振り返してくれたのでホッコリする。
スキル選びは長引いていた。
なんでも鑑定は必須だーとか 不老不死があるぞーとか
あーだーこーだ、あっちにあったこっちにあったとか、皆元気に走り回っては考え、また走るを繰り返している。
僕はそんな熱気に追いやられるようにして神様君のところに行き、神様君と喋っていた。
「すごいねみんな、止まらないね」
「普通はああなると思うよ.あれが楽しみで殆どの人はこっちを選択したようなものだからね。
変わっているのは君さ、飛紙君。普通はより希少な《ジョブ》が欲しいし便利な《スキル》を手にしたいと思うものだよ。
これからの人生に直結することだし、もう手に入れる機会もないかもしれないしね。」
神様君はみんなを見ながらそう言い、僕に問いかけてくる。
「飛紙君はどうしてすぐに記憶を残す方を選択をすることができたんだい?《ジョブ》にも《スキル》にもそこまで関心はないんだろ?」
「魔理でいいよ神様君」
まだ走り回っているみんなを見ながら 僕は言葉を続けていく
「出来るだけ多くのことを見て知りたいと思ったんだ。
次死んだら魂を真っ白にされるとはわかっているんだけどね。それでもそれまではより多くのことを見て知っておきたいんだ。
それにこっちの方が面白そうだったしね」
神様君は納得したように笑い
「魔理はやっぱり変わっているよ。でも魔理らしい良い理由だね」
と言ってくれる。やっぱり神様君は優しい
僕以外のみんなはすでに《ジョブ》と《スキル》を決めたらしく、次々とどこかに飛ばされていった。僕以外の最後の一人を飛ばし終えた後、神様君は少し呆れた顔で
「魔理はゆっくり選んでいくつもりだろうけど、《スキル》は出来るだけ早く選んでくれると助かるかな。
実はこれあっちの神様からの借り物なんだよ。
だから早く返したいんだ。」
「了解神くん」
と返事をして近くにあった球体を両手で一つづつ取った。
「もう良いよ神くん!あと好きなだけここにいて良いんだよね?」
神くんは複雑な顔をしながら
「ついに様がなくなったよ……まぁ今更な感じがするけどね」
と呟いてから
「うん大丈夫だよ! ある程度ならみんなの同じくらいの年代に送れるから。じゃあぼくはあっちの神様に借り物を返してそのまま通常の仕事に取り掛かるからね。
魔理が準備でき次第ぼくを大声で呼んでくれたらすぐにくるからさ、それまでまたね魔理!」
「またね神くん」
そして真っ白の空間には《剣士》飛紙 魔理 ついで謎の《スキル》二つがあるだけとなった。
「ちょっと寂しいね」
そして思いついた。僕は天才かもしれない。
息を吸い込み腹に力を入れて叫ぶ。
「神くーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ん」
すると、すぐに神くんは真っ白な空間に現れた。
ちょっとだけ息を切らして汗もかいている。
「ずいぶんと 早いね、もう 準備が できたの かい?」
少し詰まりながら喋りかけてくる神くんに僕は
「ううん全然、まだスキルの名前も知らないよ」
神くんは訳がわからないという顔をしてから
「じゃあどうしてぼくを呼んだんだい?」
僕は少し照れたような顔で
「一人だと暇になっちゃってさ。神くんと話したいなーって思って呼んじゃった。あはははははは」
それを聞いた時の神くんの表情は面白かった
今までとこれからを含めてトップ三に入る面白さだったよ。
神くんは深呼吸してから笑顔を作り僕の肩に手を置いて
「次また同じようなことでぼくを呼んだら絶交するからね☆」
と言い残して姿を消した。
「…あの顔はマジだなぁ」
僕は深く反省した。
反省した僕はスキルを確認することにする。
適当にとってしまったのでどんなスキルかは全然想像できないけど少しワクワクする。ガチャガチャを回す気分だ。
右手な
《把握》 2
自身の把握する力を強化する
「…………Oぅ」
咄嗟に反応できなかったのも仕方ないというものだろう。しかし事態は僕の意思に反して進んでいき、《スキル》《把握》は僕の体に溶けるようにして入ってきた。
「……ほぉ〜〜 こういう風に入ってくるのか」
今度はちゃんと反応できた。今この場に僕以外がいないのだとしてもリアクリョンは大事だ 。
僕は既になにも握ってない右手を見ながら神くんの《スキル》説明を思い出した。
「《スキル》とは技能のことさ!《スキル》は《ジョブ》職業と違って自分の中で生まれ育ち固まって一つの結晶になるんだよ。
だからあっちの人々の集合無意識による判定はないんだよね。
それにね、一番の違いは人同士で受け渡しができることなんだ。勿論ちゃんとした場所で、かなり複雑な手順を踏まないといけないんだけどね。
《スキル》使用方法は《スキル》 によるかな。
自動的に効果が出るものと 自分の意思によって効果が出るものがあってね。例外もあるけどそれはここに無いから除外するね。
自動的に効果が出るものは《腕力上昇》とか《治癒力アップ》とかかな。勿論自分の意思で効果が出ないようにすることもできるよ。
自分の意思によって発動するのは《鑑定》《念話》とかかな。
あと《スキル》にレベルアップという概念はないよ
そのスキルを持っていたら理論上は最初からその効果を存分にに使えるんだ。
それでも人によって差ができるのはただ単に効果をちゃんと引き出してないからでね。
人によって引き出す時の感覚が違うからそこは頑張っておくれよ。
ランクアップっていうか突然変異みたいなこともあるけど、これも例外中の例外でほぼありえないかな。
自分以外の外から何かしらの力が加わった上でその《スキル》の変化に体が耐えれた場合のみの現象なんだよ。
まず起こらないし 、起きた場合でも9割は耐えられなくて死んでしまうしね!」
話を戻す。
僕が手に入れた《把握》は手動なんだと思う。
なんとなくだけどわかる。
僕は右手のひらを見ながら⦅把握》を使う。
「パッと見ただけでシワがどれだけあるとか、どんな形かをなんとなく把握することができるようになった。」
足元の真っ白な地面を見れば
「おおー!!さっきまでパッと見、真っ白な地面としか思わなかったのに今ではちょっと見ただけで、平らな凹凸のない真っ白な地面と把握することができるようになった!………………。」
ちょっとだけ待ってほしい
あと少しでいつもの僕に戻るから
あと少しだけ時間が欲しいんだ
僕は深く息を吸い込みゆっくり長くはきだした。
「スウゥゥーーーーー はぁぁぁーーーーーーー」
僕は落ち着きを取り戻すと、そしてわざと声に出す形で
「そうだこの《スキル》はもとからある自分に備わっている技能じゃないんだ!神くんからの贈り物だ!
この《スキル》で何かがマイナスになるわけじゃない
んだから!」
よし完全にもち直したよ。
「それにまだ僕には《スキル》があるしね!」
左手の
《同調》2
何かに自分を合わせることが上手くなる
「……………………………o…………oo………oh………OHーーMYGOD!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!神くん助けてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
思わず叫んでしまった。
飛行機事故で死ぬ時もここまで叫ぶ事はなかったのに。
そしてこれは絶交になるやつか!!!
そんな考えが頭をよぎった僕の目の前には、綺麗で明るい印象を受ける色合いと絵柄の手紙がおちていた。
差出人を確認すると神くんで、内容はこうだ
「魔理へ、《スキル》については君と別れる前にちゃんとコスト以下かどうかを確かめるために確認しているよ。
これでいいのか確認しようとも思ったけど魔理の晴れやかな顔を見て無粋な事は言わずにカッコよく別れようと思ったんだ。
あまり便利な《スキル》ではないけれど大丈夫さ!
魔理なら上手く使いこなすとぼくは信じているよ!
魔理の友達より」
神くんらしい優しい手紙だったけど、僕の心に浮かんだ神くんは少し笑っていた「ぷふふ…」って。
僕はそんなはずないよね、と呟き《同調》の効果を実際に確かめることにした。
しかし周りにそんな合わせることが出来そうなものがなかった。だって何もないもん。
僕は少しのフリーズtimeを取ってから、一旦このスキルは置いておくことにした。だってこのままじゃ何も進まないしね
最後に《ジョブ》の確認
《剣士》1
剣を使う者 剣に道に足を入れた者
一般人よりも剣をうまく使える
わかってはいたよ。だって僕が選んだからね。
他人と争うのがめんどくさくて絶対に争うことのない《ジョブ》として《剣士》を選んだんだから
(ちなみに《剣聖》70 の場合は
剣の道を極めし者 聖剣・魔剣・神剣を扱える可能性がある。
その剣の腕はその他諸々とは一線を画す。
身体能力も非常に優れており、物理方面の力では勇者を超えることすらある
「………どうしてこうなったのかな
……………責任者は何処?
…………………僕かぁ……」
真っ白な空間で飛紙 魔理は一人で途方に暮れていた
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