第37話 スクエの職業とは
「ノラー、あとどれくらいだー?」
部品を探し始めて更に三日が経過した。
「あと一つだ」
この三日で見た目は、ほぼ以前に戻ったノラは、相変わらず美しい。
改めて見ると長く赤い髪に、更に髪より赤い瞳は見るものを魅了するであろう。
そして、細くすらっとしたスタイルの良い身体付きは、芸術の域である。
スクエは少しノラに見つめられるだけで顔を赤くしてしまう。
そして、それを知っているノラは敢えてスクエの顔をニヤつきながら見つめたりもするのだからタチが悪い。
「そういえば、その服どこで見つけたんだ?」
いつの間にかノラはトレンドマークとも言える白衣を身に付けていた。
「あぁ──そこらのリプレスの残骸が着ていてな、綺麗そうだったので拝借しといた」
何の悪びれた様子も無いノラは部品探しを継続する。
「最後のパーツ見つけたら、職業診断出来るんだよなー?」
「あぁ──出来るとも。だからスクエもサボらず探せ」
「はいはい……」
それからも、探し続ける二人はやっとの思いで、なんとか最後の部品を見つける事ができた様だ。
「スクエあったぞ」
「マジか?! ──早く診断してくれよ」
「まぁ、慌てるな」
ノラは自身にパーツを取り付けると何処か変な動作などしていないか確かめる。
「──うん、治ったな」
その言葉を聞いて、スクエがパチパチと拍手を送る。
そして、ノラに対して無言の圧力。
「はは、分かった分かった」
視線に気が付いたノラは苦笑いしながらもスクエに近付く。
「弱い職業でも嘆くなよ?」
「今より強くなれるなら問題ねぇーぜ!」
スクエ自身、今の状態では、ともてもじゃ無いがリプレスに勝てない事を悟っている。
「それで、どうするんだ?」
「別に何もする事は無い。私がスクエに対してスキャンするだけだ」
「そうか──早速やってくれ!」
見やすい様にと配慮なのかスクエは両腕を広げる。
そんなスクエを見て、またもや面白かったのか、笑いながらノラはスキャン始める。
「──ッん? どう言う事だ……?」
ノラの声色と表情が変わる。
「な、なぁ。その反応はいい意味の方か? 悪い方か?」
スクエの問いには答えないノラ。
「こんな事今まで無かったぞ……私の故障か? ──いや、パーツも全て問題なく集めたし……」
何やら診断結果に思う所があるのか、ノラはもう一度スキャンを始める。
「……変わらないか……」
「な、なぁ、もしかして弱いのか……? 二回スキャンしちゃうくらい弱い職業なのか?」
ノラの反応にスクエは冷や汗を垂らす。
「お、俺弱くても頑張って修行するから、早く教えてくれよ……」
焦らす様に黙り込んでいるノラに、スクエは先を施す。
「あぁ──悪い。別に弱くは無い……けど強くも無い……」
「……」
「てか、スキャンが出来なかったと言うべきか……」
「どういう事だ……?」
ノラの曖昧な回答にスクエは首を傾げる。
「ふむ。私がスキャンした結果のスクエの職業は……????だった」
「──ん?」
「私のスキャン機能が壊れているのか、もしくはマインドチップだから、何かしらの不特定エラーが出ているのか、原因は分からないがスクエの職業は????だな」
「なんだよそれ……」
結局自身の力が分からないスクエはその場にゆっくり座り込む。
そんな、スクエをノラは気を使いながら励ます。
「ま、まぁ……ほら、何か分からないが確実に何かの職業では有るんだし、気にしない事だな」
「だけど、何の職業か分からないなら、力が発揮出来なくてロメイ達を倒せないぜ?」
スクエの話も、もっともである。
「ノラはどれくらい強いんだ?」
スクエの疑問にノラが答える。
「ふむ。まぁ、強くは無いな……そういう戦闘目的で作られた訳じゃ無いからな……」
「なら、ロメイやウーヴェ達が来たらどうだ?」
「まぁ、ロメイなら相手に出来るが、二人となると、まず無理だな……」
「どうするんだよ……」
結局二人は良い案を見つける事が出来ず、スクエが以前グロックの事を倒した罠を二人で作る事にした。
だが、ここ一か月以上スクラップ所に住んでいる二人は既にスクラップ場を何回も歩き回っている為、罠に出来そうな山がない事を知っている。
それでも、罠を張らないよりかはマシだからなのか、極力頂上付近に重たい物が乗っている山を探しては罠を作っていく二人であった。
そして一方ロメイ達はと言うと……
「ロメイ、見つかったか?」
厳格な見た目のウーヴェがロメイに話し掛ける。
「い、いえ町中を探し回りましたが一向に見当たりませんし、スラム街にも定期的に様子を見に行来ましたが見つかりませんでした」
ウーヴェとの会話は未だに慣れないのか、常に足元を見て話すロメイ。
「そうか──よし、全員集めろ」
ウーヴェが横に付いている部下に声を掛ける。
「全員ですか? ──一体どちらえ?」
いきなりの指示に部下はウーヴェに行き場を尋ねる。
「スクラップ場にもう一度行くぞ──恐らく人間はそこにいる」
何を持って、人間が居ると言っているか分からないがウーヴェは何やら確信がある様だ。
「明日の朝、全員連れてスクラップ場に行く、用意しろ」
「ハッ!」
ウーヴェの指示で部下が部屋を出る。
「お前も明日は一緒に来い」
「は、はい」
こうして、ウーヴェ達はスクラップ場に向かうのであった。
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