第七十〇話 魂の淵源<二>

「小娘ェェ!!僕に命令するナ!!!」


八体の憂流迦ウルカがギラリと鋭い視線を私に向けた。


「生きるっていうのは己ノ汚さヲ知るコトダ!!!けがれ腐った魂ヲ認メルコトダ!!!!!!!!!!!」


私は握ったこぶしに力が入る。


「それでも、あなたにだって痛みを感じる心があるはずです!!!」


「イタミなどとっくニ忘レタ!イキルためには痛みヲ超越シナケレバナラナイ!すなわち、心ヲ捨テルコトダ!!!」


八つの首が奇妙にうねって、ぬらりと私を見下ろした。


「コノ絶望の世界デ生キタイなら邪魔者ヲ殺せ!!抵抗する奴は力でジ伏せる!!強イものダケが生キ残る!!ソレが絶対的な力ダ!!弱者はイラナイ!!!」


「いいえ!いらない命などありません!!魂の優劣など誰にも決められない!!それこそあなたにも決められない!!」


私は揺るぎない自分の言葉をつむぎ出す。。


「魂は生かすものであって、生かされるものなのです!!それが人間同士の生きる絆!!だから私たちは互いに手を取れるのです!!」


すると、憂流迦ウルカの殺気立った鋭い邪目が私を射抜いた。


「ソンナ綺麗事ヲ言ったってオマエは僕ヲうらンでイル!!!」


その非情な言葉に心が締め付けられて、悲しみが込み上げてくる。


「・・そうです、私はあなたを怨んでいます。あなたは母様の命を奪った・・、それは私とすばる様にとって悲惨な現実です・・。」


ふいに記憶の片隅から母様の最期の言葉が聞こえてくる。

憂流迦ウルカは私に罵声を浴びせ続ける。


「不条理なコノ世には犠牲ナンカいくらでもある!!怨ムなら復讐しろ!!奪われたラ奪い返セ!!!」


「けれど、報復は新たな争いを起こすだけです!だから、こんなことは————」


憂流迦ウルカが容赦無く私の言葉をさえぎった。


「浅はかな女メ!!結局、お前みたいナ非力な人間には何もデキナイ!!潰シ合いの世界では力こそガ絶対ダ!!力ガ無ケレバ理想など実現デきナイ!ソレが分かラないオマエは虫螻ムシケラ同然の弱者だ!!!」


私は折れない。


「いいえ!私は弱くはありません!!!だって私は生きると決めたから!!!」


私は全身全霊で叫ぶ。







「私の魂は誰にも奪わせない!!私は自分の使命を果たすために最期まで生き抜く!!!!!!!!」







そして、自分の強い意志を告げる。


「あなたが破壊をやめないと言うのであれば、私はあなたの暴挙によるこれ以上の犠牲は絶対に許さない!!もう誰の生命いのちも奪わせない!!!私は自分の力を信じて黄竜こうりゅう様を呼び覚ましてみせる!!!」


「ホザくナ!!!信じたっテ奇跡ナンカ起きナい!!夢なんか見てモ意味ガない!!お前は現実ヲ何もワカッテイナイ!※$※!!!!!!」


憂流迦ウルカがさらに語気を荒げる。


「絶対的な力こそが現実ダ!!!お前ノ魂ごと黄竜こうりゅうを喰イ殺してヤル!!その力の全てヲ奪い取ってヤル!!!ボクがスベテの頂点ダ!!!!#$l■※!!!!!」


「私はあなたには決して負けたりしない!!!!!」


「邪魔くさい小娘ガァァァァァァァ!!八裂キにシてヤル!!!!!」




昴様が私をかばうように前へ出て、憂流迦ウルカに訴えかける。


憂流迦ウルカ!それ以上はやめろ!!!すでにお前の意識のほとんどが大蛇オロチまれかかってるぞ!!!お前こそ目を覚ませ!!!」


「ウルサイ!!誰もボクに命令すルな!!僕はスベテの力を手に入れる!!ボクが絶対神にナル!!すべてヲ完成させてヤル!!!!!」


憂流迦ウルカ大蛇オロチに言い放つ。


「さぁ!大蛇オロチ!!!僕の残りの意識諸共、スベテをオマエにくれてヤル!!!!!僕ヲお前ソノモノにシロ!!!ボクガすべてヲ破壊シテヤル!!!^"01■■△§※??a@邪0101※※※0阿獄國ビ¢阿阿阿阿ァァァァァ!!!!!!!!!!」


憂流迦ウルカが呪いの言葉を絶叫すると同時に、昴様が叫んだ。


「やめろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」





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