第六章

第六十九話 魂の淵源<一>

強烈な光の柱が左胸の五芒星ごぼうせいからほとばしる。

私の体を駆け巡る光の熱量が、出口を探して暴れ狂い、抑えきれない力の一端が解き放たれた。


「!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


私は力の反動で吹き飛ばされる。

光の玉が憂流迦ウルカの八つの巨体に貫通し、次々となぎ倒していく。

それでもすぐに蛇の体は再生する。


--・・力の強さが、さっきまでと違う!!体の中で何かが暴れて制御できない!!!


血が全身を駆け巡り、体中が焼けるように熱い。


--私一人では、立っていられない!!!


おうちゃん!!!今は黄竜こうりゅうの力を使わない方がいい!!!さっきもその力を使ったばかりなんだ!!無理に使いすぎると桜ちゃんの体が耐えきれなくなる!!!」


「・・すばる様、それでも私は戦わなくてはならないのです・・。私に眠る黄竜こうりゅう様の力で憂流迦ウルカの暴走を止めなければ・・。」


昴様が駆け寄って蹌踉よろめく私を抱きかかえようとするけれど、光の熱量が寄せ付けない。

まばゆい光が辺りを真っ白にした。


「!!!!!」


再び、私の五芒星ごぼうせいから光の玉が解き放たれる。

蛇の巨体が斬り刻まれていく。

憂流迦ウルカたまらず身をうねらせると、放り出されたなぎ様が大地に叩きつけられる。


「アノ小娘ガ!!!!!余計なことヲ!!!!!」


憂流迦ウルカが絶叫し、邪悪な巨体ごと宙に舞い上がると、私を鋭くにらみつけた。


「邪魔する奴はブッ殺ス※$!!!!!」


私は意を決して巨大な憂流迦ウルカ対峙たいじする。


憂流迦ウルカ!!あなたは間違っています!!!殺し合いは誰も幸せにしない!!こんなことをしても、あなたは幸せになれない!!」


「黙レ!!小娘がァ!!!ボクがすべてを破壊シテ新世界ヲ創造する絶対神ニナル!!!!!」


「それは違う!!破壊は何も創造しない!!創造とは、人と人が手を取り合うことで生まれるものです!!それが生まれるということです!!あなたの言う破壊からは何も生まれない!!!」


「ウルサイ!!!お前に何ガ分カル%0※1!!?」


憂流迦ウルカが怒りの矛先ほこさきを私に向け、邪悪な波動が襲い迫った。

私は咄嗟とっさに印を結ぶ。

すると、左胸の五芒星ごぼうせいから光の壁が放射された。

鋭い邪気の波動と光のぶつかり合う爆音が響き、大地が揺れる。


--ダメだ・・、体が張り裂けそう・・、力の焦点を上手く合わせられない!!


途端に憂流迦ウルカの凄まじい衝撃波が壁を突き破った。

昴様が私を抱えて地を蹴り、間一髪でかわす。

それでも私は声を振り絞って自分の言葉を続ける。


「私たちが生まれる起源、それは魂と魂が巡り合う奇跡から始まるのです!!それが生命の起源!!あなただって、数多あまたの奇跡が連なってこの世界に生を受けた命の一つなのです!!それが生命の創造です!!私たちが何かを創造するということは、こんな争いを起こして殺し合うことではない!!!」


憂流迦ウルカは怒り狂う。


「ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!ウルサイ!!」


私の心は折れない。

私はひるまずに叫び続ける。


憂流迦ウルカ!私はあなたには負けません!!だから、何度でも私の想いを言霊ことだまにしてあなたに伝えます!!私たちは手を取り合って協力し、お互いを想い共感し、笑い合い、悲しみを分かち合う、そうやって共に歩んでいける魂を持っています!それが人間の智慧ちえというものなのです!!それが人間の本当の姿です!!あなただって私たちと同じ人間だった!!だから、お願い!あなたのその美しい心をもう一度思い出して!!!」


「ウルサイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!」


憂流迦ウルカ激昂げっこうして牙をき出しにする。


「黙レェ!!!ソンナものは空想論ダ!現実ヲ動かせナイなラ何も意味ガナイ!!欲シイものは力で奪い取ル!!ソレがゲンジツだ!!!!!」


怒りが収まらない憂流迦ウルカが、自らの巨体を次々に大地に叩きつけて轟音ごうおんを響かせる。


「オマエに本当ノ生きル意味ヲ教えてヤル!!!!!!!!!!」


憂流迦ウルカ!!私の話を聞いて!!!」

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