第六十八話 墨子悲糸
『凪君、諦めろ!君はすでに僕の一部だ!もう逃げられない!!!』
凪は
--俺はお前の一部になんかならない!!!
『ほんと、
--何がそんなにおかしいんだ!?俺は間違ったことは言っていない!!!
『・・間違ったこと?そういうさぁ、自分の正義で僕を
凪の頭の中にギリギリと締め付けられるような鋭い痛みが走る。
--う゛あ゛あ゛ぁぁぁああああああ゛あ゛!!!!!!
凪は痛みに耐えきれず、地面に膝をつきながら左右の
『君、あの
--あ゛あ゛ぁぁぁあああああああああああああ・・・・!!!!
『あのさ、あの娘とさっさとヤッたら?それがお前の本能だろ?』
--な・・、何を、う゛ぁああぁぁああああ・・!!!!
『隠す必要なんてないんだよ!!それがお前の本能だ!!・・僕も
--・・そ、れは、お前の一方的な思いだろ!!!
凪は痛みを
--昴の気持ちを考えていない!!!
しかし、
『相手の気持ちなんて関係ないんだよ!!それが本能だろ?お前だってわかってるはずだ!!!だから、あの娘とさっさとヤれよ!!相手の気持ちとか・・、そんな他愛もないことに時間をかけてさぁ、
『・・・例えば、
--何で、昴が出てくるんだよ!?
凪の頭の中に
『だって・・、君も一度は疑ったことくらいあるだろ?』
--そんなことはない!!
『・・・わからないよ?この世界は多くの不確実性の上に成り立っているんだ!そして、その不確実なものに勝手に価値を決めつけて人間の世の中が成り立つ!・・正しさなんてこの世のどこにも存在しないんだよ!!!』
--違う!不確実だからこそ、相手を知る、相手を想う、互いを認める、互いが歩み寄る!互いが手を取り合って、正しい関係を自分たちで作り上げる!
昴は
『だからさァ、それが正しいとか正しくないとか関係ないんだよ!!不確実性の上に成り立つ世の中の正義なんて、結局は大多数がそう思ってるから正しいことのように見えるだけだ!僕から言わせれば、それは単なる虚構だ!!』
凪は反論する。
--わかってる!!!だからこそ、自分の頭で考えるんだろ!!何が正しくて、何が間違ってるのか、自分の頭で考えて決定する!!どうすれば互いが幸せになれるのか、自分の頭で考えて答えを見つけ出す!!!お前にはそれがわからないのか?!!
『・・・お前みたいなガキに説教なんかされたくないなァ!!!』
凪の頭が限界まで締め付けられ、
--ぐあ゛ぁぁあ゛あ゛ああああ!!!!!や、めろぉぉぉおおおお!!!!
『僕は綺麗事なんかウンザリだ!!!そういう人間たちの
凪は痛みを
--ぐぁあ・・、お、れは、桜のことを・・、大切に、・・・したい!!!!!
すると、一瞬、凪の頭を締め上げる強度が弱まった。
何かに思惑を巡らせるように
『・・・ここまでされて、なぜ認めない?!!』
凪が言葉を振り
--・・俺は、桜の気持ちを、大切に、したいからだ!!互いの気持ちが通い合わなかったら、・・互いの関係に・・意味がないだろ!!!
『・・意味がないだと?』
『何でだよ!?何であの
再び強い力が凪の頭を締め上げる。
--う゛ぁあ゛あ゛ぁぁ!!!・・桜、は、・・俺が、生きる、・・理由、だから、だ!!!
『そんなの・・、そんなの、僕は認めない・・!!絶対に認めない!!!!!』
極限まで締め付けられた頭が、
凪が壮絶な痛みに絶叫する。
--う゛あ゛あ゛あ゛ああああ゛あああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!
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