第六十二話 正邪の剣<四>

すばると双子たちの間に大蛇オロチが立ちはだかり、否応なく巨体を叩きつけてくる。

昴が巨大な蛇の頭を叩き落とす。

両側から迫る別の巨体を双子の刀が斬り裂いていく。

大蛇オロチはのたうち回るが、その首がすぐに再生する。


とぐろの中心にある心臓を狙わないとダメだ!!」


昴が新たに襲ってきた蛇の頭を叩き割った。

二体の巨体が迫り狂う。

白丸が一体を叩き切るが、異様な動きで猛追する別の一体に喰われそうになる。


「白丸!」


妖刀白虎が大蛇オロチの胴に突き刺さる。

しかし、のたうち回る蛇の巨体に弾き飛ばされる。


「うあぁ!」


容赦無く蛇の一体が倒れた昴に喰らいつこうとする。

その時だった。

大蛇オロチの巨体に体当たりする大きな影が現れた。


青龍せいりゅう!!」


青龍が天を切り裂く鋭い雄叫びをあげ、再び大蛇オロチに強烈な体当たりを仕掛ける。

凄まじい勢いで体をぶつけられた大蛇オロチ咆哮ほうこうする。

青龍の尾が一振りされると蛇の巨体を切り裂く神風が巻き起こる。

真空の風が鋭い衝撃波となって大蛇オロチを攻撃する。

それでも、八体の大蛇オロチが次から次へ昴たちに襲いかかる。


「本当にこいつら腐ってるのかよ!強すぎる!!」


四方から襲いかかる蛇の巨体を双子が叩き落とす。

昴が一体の蛇の攻撃をかわして、もう一体の腹わたをえぐりとる。

けれど、大蛇オロチの体はすぐに再生する。

双子が叫ぶ。


「ダメだ!斬ってもすぐに再生しやがる!!」


巨大な八岐大蛇ヤマタノオロチが獲物を見定めると、ぬらりと動いて一斉に襲い掛かった。


「白丸!黒丸!諦めるな!!行くぞ!!」


「承知しました!!!」


昴と双子が大蛇オロチに向かって激走する。

次々と襲ってくる蛇の攻撃をかわしながら突っ込んでいく。

大地が削られ激震が走る。

白虎が飛びかかり、玄武が大地の斬撃ざんげきで蛇の体を切り刻む。

青龍が蛇の巨体を締め上げていく。

しかし、一体の大蛇オロチが青龍に喰らいつく。


「!!!!!!!!!!!!」


青龍がもだえ苦しみ、鋭く咆哮ほうこうする。

昴が叫ぶ。


「青龍!今行く!!」


すると、頭上で巨大な炎の塊が大蛇オロチを目掛けて強烈な火炎攻撃を仕掛ける。

双子が叫ぶ。


朱雀すざく!!」


朱雀が青龍に喰らいつく大蛇オロチに烈火の攻撃を叩きつける。

蛇の巨体が激しく燃え上がり、緩んだ隙に青龍がその場を逃れる。

朱雀が両翼りょうよくを羽ばたかせる。

凄まじい炎の嵐が複数の大蛇オロチを飲み込む。

しかし、一体の大蛇オロチが体当たりで朱雀を叩き飛ばす。

すぐさま複数の蛇が朱雀を喰らわんと襲いかかる。


「こいつ!!!」


昴が蛇の頭を叩き割る。

青龍が体当たりで複数の巨体を吹っ飛ばす。

昴が叫ぶ。


「白虎!!青龍!!朱雀!!玄武!!大蛇オロチの四方を囲め!!!」


四神しじんが雄叫びをあげた。


「白丸、黒丸!!俺たちはあいつの心臓に突っ込むぞ!!!」


御意ぎょい!!!」


昴たちが激走する。

四神しじん大蛇オロチの四方から攻撃を仕掛ける。

白虎の剛腕が強烈な打撃で蛇の頭を叩き落とす。

青龍が真空の衝撃波を巻き起こし、朱雀が猛烈な火炎流を浴びせる。

玄武が大地を鋭く隆起させて蛇の巨体を突き刺していく。


「あと少しだ!!!」


昴が前方の大蛇オロチの心臓に焦点を定める。

その後ろから双子が激走する。

一体の蛇の巨体が昴たちを目掛けてその頭を振り下ろす。


「くそっ!!」


白虎が地を蹴り蛇の頭に喰らいつく。

蛇が己の頭ごと大地に叩きつける。

しかし、白虎の鋭い牙が獲物を捕らえて離さない。

白虎を目掛けて複数の大蛇オロチの頭が体当たりを仕掛ける。

青龍が鋭い尾で叩き払い、朱雀が滑空状態で素早く旋回し烈火の翼で大蛇オロチの頭を斬り飛ばしていく。

玄武が大地の怒りを隆起させ、蛇の巨体を喰い止める。

三人が突っ込んでいく。


大蛇オロチ!!!!!!!!!!!!!!」


大蛇オロチの巨大な心臓部が眼前に迫る。

昴が刀を思い切り振り上げ、大地を蹴る。

続けて双子も激走する。


「黒丸!!!我々もこのまま突っ込むぞ!!!!」


「言われなくてもそのつもりです!!!!」


妖刀白虎が真上から振り下ろされ渾身こんしんの一撃をぶち込む。

双子の刀も力一杯に叩き込まれ、大蛇オロチの心臓を深くえぐる。

大蛇オロチの巨体が苦しみに咆哮ほうこうして何度も体を叩きつける。

三人が何度も刀を振り上げて大蛇オロチの邪悪な心臓を攻撃する。

しかし、昴が異変を感じ取る。


「・・これは!!?」


ドクドクと動く心臓は以前より勢いが増している。

えぐられた心臓の肉が互いに引き寄せ合い、無数の蛇によって縫合ほうごうされていく。


「以前より呪力が回復しているのか???!!」


すると、大蛇オロチの巨大な尾が昴を叩き払った。

昴が弾き飛ばされる。


「伯父上!!」


白丸が昴へ駆け寄って体を支える。

すぐに大蛇オロチが昴たちを目掛けて巨大な頭を振り下ろす。

白丸が迎撃するが別の一体が喰らわんと猛攻を仕掛ける。

黒丸が二人をかばって蛇の頭を叩き落とす。


「ああ!!くそ!!!」


再び昴と双子が大蛇オロチの心臓を目掛けて突っ込んでいく。

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