第六十一話 正邪の剣<三>
鋭い金属音が響き渡った。
「やめろ!!!!」
「桜を傷つけるな!!」
「
怒りの炎が燃える凪の双眼が
「いい加減にしろよ!!」
ギリギリと金属同士が圧迫しながら
「凪君・・。君といい、その娘といい、僕の邪魔をするな!!目障りだ!!!」
「勝手なことばかり言うな!!桜の母親だけでなく、桜の命まで奪おうとするなんて、そんなこと絶対に許されない!!」
凪は刀ごと
二人が睨み合い、再び激しい
「笑わせるな!君にそんなことを言う権利があるのか?」
凪が受け止める。
「あのさァ・・、君は戦で何人殺した!?言ってみろよ!!」
「それは・・。」
凪の脳裏に敵将の首を切り落とす瞬間の記憶が鮮明に
記憶の中の凪が刀を振りかざし、その男の首を
肉を
それでも凪は無心で刀を水平に払う、首が落下する、遅れて物体が地面に衝突する音がする、ゴロンと生首が転がる・・。
さっきまで
ただ、その両目だけが大きく見開かれて最後まで凪を
それらの一連の光景が一瞬のうちに凪の脳裏を横切った。
凪は我に返ると
「答えられないんだろっ!それでも君は君だけの綺麗事を言うの?世の中は矛盾だらけだ!白と黒のどちらか一方で決められない事だらけなんだ!凪君、君はそのことを君自身がよく理解しているはずだ!」
再び、刀と刀の激しい争いが始まる。
凪が叫ぶ。
「俺には守らなければならないものがあるんだ!!俺が戦わなければ国も民の命も守ることができない!!白黒で決められないことだって当然ある!だからこそ考え抜くんだろ!!何を守るのか!何が大切なのか!より多くの民が幸せになるためにはどうすればいいのか!俺のすべてをかけて考え抜いて決めるんだ!!」
「だから!!そんなものはタダの綺麗事だよ!!僕は僕のための正義を突き通す!!」
それでも凪は
「俺は国を守るために戦う!そして、桜を守るために戦う!お前は自分の欲のためだけに多くを
重い金属音が響き、凪が相手の攻撃を受け止める。
「だからさァ!!
「違う!!!」
凪の猛攻が
「違わない!!必要なのは恐怖と破壊だ!!絶対的な力こそ正義だ!それこそが真の力だ!!」
「違うって言ってるだろ!!」
「・・あはは!分からないか!!僕も凪君の言う
今度は
刀と刀が激しくぶつかり合う。
凪の二刀流が
次の瞬間、凪が
凪の後方にいる桜と
「凪くんの大切なものを僕が壊してやろう!!思い知らせてやる!!そうすれば君も僕の気持ちが痛いほど分かるはずだ!!!」
「やめろ!!!」
「娘!!!殺してやる!!!!」
「・・・ぁあ・・。」
桜は震えで体が動かない。
再び桜の真上から
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