第五十六話 甘えん坊<後編>
塚から少し離れた森の中に
そこは大きな岩がくり抜かれた穴蔵になっている。
青龍は小虎を抱えながら昴の膝の上に座る。
「昴さん!みんなで焚き火をするのって楽しいね!」
「ふふ、楽しくてよかった。青龍は甘えん坊だからね。」
昴が優しく頭を
「昴さんのおうちにも何回か行ったよね!
しかし、青龍が「ぁ・・。」と
そして、
「・・あの時は、京に置かれた守護塚に何者かの結界が張られちゃって中に入れなかったんだ。だから・・、
「青龍・・、それはもういいんだ。俺もおかしいと思って後で調べたらあの日の夜に守護塚が荒らされていたことがわかった。・・恐らく、
「
「
昴が続ける。
「それに、このままだと
昴は一度言葉を区切って焚き火の炎を見つめる。
「・・朝廷の
昴が悔しそうに視線を落とすと青龍が昴の頭を撫でた。
「昴は、桜を守るだけじゃなく国も守りたいんだろ?何となくわかってたけど・・。」
「・・・一人娘の親でもあるし、宮仕えをする職業人でもあるからね。それに、俺は安倍派陰陽寮の
「だけど、陰陽道の二大派閥は、元は一つの陰陽道から生まれたものだったよな?それがどうして対立しているんだ?」
凪の問いかけに昴が答える。
「そうだよ、元は一つだった。だけど、時が経てば最初にあったはずの
昴は続ける。
「
昴の話に聞き入っていた青龍が続ける。
「・・・昴さん、・・あのね、僕は本当は昴さんを守りたいんだ。だけど、僕には何もできないかもしれなくて怖いんだ。」
すると、白丸と黒丸が優しく話しかける。
「確かに、
「白丸お兄ちゃんと、黒丸お兄ちゃんはどうしてそこまで思えるの?」
「我々は若様をお守りすると自らの心に誓いました。誰が何と言おうと我々の命は若様そのものなのです。そして、若様は桜姫や伯父上、国の民を守ろうとしている。そうであるならば、若様の守りたいものすべてをお守りするのが我々の使命です。だからこそ、我々は
そして、桜が青龍に語りかける。
「私も
「僕の本当の気持ち・・。」
青龍が昴に抱きつきながら何かを考える。
小虎が青龍に
「
小虎がナアナアと鳴いた。
凪が青龍に語りかける。
「俺も最初の戦に出る時はすごく怖かったよ。だけど、その中で気付くこともたくさんあった。だから、勇気を持って前に進むことはきっと無駄にはならないよ。」
「・・凪お兄ちゃん。」
青龍は凪の言葉に何かを考えてから前を向く。
「・・・わかったよ。僕も本当は戦いたいんだ。みんなと一緒に戦いたい。」
その瞳が力強く前を向く。
「僕も戦う。僕には白虎も
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