第五十九話 正邪の剣<一>
湖は嵐のように荒れ狂っていたが、小舟の周りだけは不思議と
湖水は赤黒く染まり、シュウシュウと泡立ちながら酸が溶けるような音がしている。
上空では分厚い雲が埋め尽くし、あたりは薄暗い。
そして、時折吹く風には重たい湿り気が混ざり、不気味に生温かい空気が肌にまとわりついた。
船は一定の速度を保ったまま静かに進んでいく。
「島が見えてきましたね・・。」
双子が前を
舟が岸に近づくと音もなく止まる。
どこかでちゃぷんと水が跳ねる音がした。
「ここに
一行は舟を降りて湖水に沿って歩く。
さほど広くない島は中央に向かって一つの高い山が
火球の衝撃であたりは焼け臭い。
「あそこに何かあるぞ。」
焼けた木々が途切れたその先に開けた場所が広がっている。
そして、その中央に小さな
昴が辺りを見回しながら言う。
「他に何も無いようだし、この
一行が
扉の奥で何かが光っている。
「
昴が扉に手をかけると
「ふぉふぉ、その扉はわしにしか開けられん・・。」
声の主が
「玄武の爺さん・・、この
老法師の姿をした玄武が
「・・・
「
「ふむ・・。じゃが、その灰のひとつまみを
玄武が
「さあ、
そして、玄武が二つの
『
『新月の
玄武の言霊が荒涼たる湖に響き渡った。
すると、
そして、
「さあ、桜姫殿、鏡を手に取りなされ。」
「・・はい。」
玄武に促された桜が鏡に手を伸ばそうとする。
「・・これが、
しかし突然、
「桜ちゃん、危ない!!」
間髪入れずに、鋭い刀の
破壊音とともに
小虎が低い
殺気が狂気となってあたりの空気を掻き乱していった。
首と体が蛇で
「久しぶり・・。ああ、そういえば・・、この前会ったばかりだったねぇ。」
「
男たちが刀を引き抜き身構えた。
小虎が
「・・わしも昴殿に力を貸そうぞ!!」
老法師が
昴が
「昴・・、そんな怖い顔をしないでよ。君の美しい顔が台無しだ。」
「うるせえよ!」
しかし、
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