第四十四話 迷子の童<番外編・二>
「こらっ!坊主!ジタバタするな!!」
「んぁ?なんだぁ?この音は??」
ガマが辺りを見回す。
「ふぉふぉ。ガマよ、そのへんで許してやってくれんかのぉ。」
声の主は少し離れた岩の上に座していた。
手には琵琶を抱えている。
「なんだよ!
すると、玄武がガマを
「ふぉふぉ。お前さんは人間の
「・・・。」
ガマはしばらく黙ってから昴を離す。
「・・・ちっ!ほらよ!」
「うわぁ!」
無造作に放り出された昴が地面に倒れると、そばへ玄武が歩み寄る。
「昴殿、大丈夫かの?」
「いたた・・、助けてくれてありがとう。おじいさんはだれなの?」
「ふぉふぉ。ワシか?ワシはガマの言う通り『玄武のじじい』じゃよ。ふぉふぉ。」
「玄武のおじいさん?」
すると、機嫌の悪そうなガマが割って入る。
「玄武のじじい、俺様に何の用だ?」
「この童を助けに来たんじゃ。童を離してくれたお礼にお前さんの望みを叶えてやるぞ。ふぉふぉ。」
「何なんだよ!」
「まあまあ、そう怒らないことじゃ。ふぉふぉ。ここのところ、お前さんが街で悪さをしていると聞いてのぉ。・・まったく、普段は大人しいお前さんがどうしたというのじゃ?それに、お前さんの悪さのせいで
「んなこたぁ知ったこっちゃねぇよ!どうせ俺様はこのまま死じまうんだ!悪さくらいしたってバチは当たらねぇよ!!」
「何か不満でもあるのじゃろう?話してみなさい。」
ガマはしばらく黙ると口を開く。
「・・人間どもが俺たちの川や沼を汚しやがったんだ・・。俺たちの
「ふむ、そういうことじゃったのか・・。」
玄武の後に昴も続ける。
「ガマのおじさん・・、そんなことがあったんだ・・。」
すると昴が何かを
「それなら、僕が川や沼地をキレイにしてもらえるようにお父さんに言ってあげるよ!僕のお父さんは陰陽師なんだ!」
「・・ふん、坊主にそんなことができるのか?だって陰陽師だろ?どうせ呪術で俺たちを殺そうとするんじゃねぇのか?」
「ううん、僕のお父さんはそんなことしないよ!陰陽道では不吉な予兆があれば原因を探って
「ふぉふぉ、そういうことじゃな。」
「はーん、坊主・・、中々賢いじゃねぇか。・・って、よくわからねぇけど、どうせ死ぬんだったら最後に望みをかけたいってもんだ!坊主、お前に任せてもいいか?」
「うん!ガマのおじさん!僕に任せてよ!!」
「ふぉふぉ、では、昴殿が父上殿に会う時にこの刀を持っていきなさい。」
玄武が昴の手に一つの刀を差し出す。
「お、重いね・・。これは?」
「これはの、妖刀白虎じゃ。そして・・、昴殿のお供としてこの者を
すると、玄武の後ろから小さなふわふわの白い生き物がひょっこりと顔を出す。
「うわぁ!!ふわふわでかわいい!!」
昴が駆け寄って頭やお腹を撫でる。
そして、そのふわふわの中に顔を突っ込んだ。
「ふぉふぉ、気に入ってもらえて何よりじゃ。この者は四神の
小さな白虎が可愛らしく鳴くと昴に
「おじいさん、ありがとう!白虎!よろしくね!!」
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