第三十九話 大蛇の復活<三>

なぎ大蛇オロチへ向かって激走する。

視界に双子を確認すると叫んだ。


「白丸!!黒丸!!心臓だ!!!あいつの心臓を狙え!!!」


襲い狂う大蛇オロチの頭をかわして叫び続ける。


「あいつのとぐろの中心に心臓がある!!!」


「承知!!!」


双子が叫び、襲ってきた大蛇オロチの頭を叩き割る。

三人が大蛇オロチに突っ込んでいく。

しかし、八つの頭が次から次へと凪たちを襲い、斬っても斬っても大蛇オロチの頭が再生する。


「くそ!!切りがない!!!」


黒丸が舌打ちをした。

しかし、続け様に蛇の巨体が振り落とされる。


「うあっ!!」


白丸が足をすべらせて体勢を崩す。

大蛇オロチがすかさず体当たりを仕掛ける。

黒丸が兄をかばって蛇の頭を叩き斬る。


「兄上!無事ですか!?」


「黒丸!!後ろ!!!」


兄の叫び声に弟が振り返る。

すぐそこまで牙をいた大蛇オロチの群れが迫り狂う。


「この化け蛇が!!!」


兄が弟の手を思い切り後ろへ引くとそのまま大蛇オロチに立ち向かって疾走しっそうする。


「私も行きます!!!」


弟も巨大な蛇の群れに立ち向かう。

双子が次々と大蛇オロチの頭を叩き割っていく。

しかし、その頭は次々と再生する。


「くっ!!このままだとらちが明かない!!!」


凪が襲ってきた大蛇オロチの巨体を叩き落とす。


大蛇オロチの体が再生して前進できない!!一体どうすれば・・」


凪は大蛇オロチの巨体と戦況をにらんだ。


--・・そうか!!


「白丸っ!!いぬの方向へ旋回せんかい!!!黒丸は虎の方向!!!俺は真正面から突っ込む!!!」


凪が双子へ向かって叫んだ。


「俺の言っている意味がわかるな!!!?」


御意ぎょい!!!」


双子が左右二手に別れ、凪が中央を激走する。

大蛇オロチの頭が次々に振り落とされては大地に激震が走る。


双子が左右に大蛇オロチを引きつけ、切り返し中央に向かって走り出す。

大蛇オロチは双子に喰らいつかんと猛烈な速さで迫り狂う。

白丸が黒丸の上を飛び越え、黒丸が白丸の引きつけた大蛇オロチの真下を滑走かっそうする。

双子の引きつけた大蛇オロチがぶつかり合いながら、互いの胴体が絡み、締め付け合う。


別方向の大蛇オロチが凪を目掛けて体当たりを繰り返す。

凪が刀で頭を叩き割り迎撃する。

後方で双子の引きつけた大蛇オロチが絡まり鋭い悲鳴を上げる。

凪が中央を突破。


--あれだ!!!


大蛇オロチの心臓を見据えた凪が左腕の剣を振り上げる。


大蛇オロチーーー!!!俺はお前を倒す!!!!!」


凪が怒号を上げ、その心臓を目掛けて左腕をぶち込んだ。


「!!!!!!!!!!!!!!!!」


大蛇オロチが絶叫を上げる。

ドクドクと動く大蛇オロチの巨大な心臓に凪の剣が突き刺さる。

黒い血飛沫ちしぶきが勢いよく流れ出す。

しかし、のたうち暴れる大蛇オロチの鋭い尾が凪を強烈に叩き払った。


「ぐあぁぁあああああっ!!!!」


鈍い音とともに凪が投げ飛ばされ、大地に叩きつけられる。

後方では絡み合った大蛇オロチの胴が締め付け合いながらブチブチとちぎれ落ちる音がする。

ちぎれた胴体から再び頭が生えてくる。

双子が叫んだ。


「なんなんだ、こいつ!!!不死身か!!?」

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