第十八話 伝説のつづき
「助けるっていってもどうやって・・。
「ああ、
「はず?」
昴は凪の問いかけに何かを考えるように黙ってから再び口を開く。
「そのための
--俺と桜の気持ち次第・・?どういうことだ?
すると、館の
「凪、その話はまず私からしよう。」
主がゆっくりと立ち上がり息子の前まで近づいてくると、その手に一巻の絵巻を渡す。
絵巻の表装は、白地の和紙に銀箔で
「これは、我が
凪が絵巻の紐を
「はい、これは大蛇伝説の絵巻。
「そうだ。」
主が同意した後にさらに凪が続ける。
「ただ、この伝説は武家や公家の者であれば誰もが知るところですが・・。」
「確かに、凪の言う通り誰もが知っている英雄譚だ。」
主が一度、言葉を区切る。
「・・だが、その話にも続きがある事を凪は知っているか?」
--続き・・、
凪は視線を留めずにその続きを思い出そうとするが出てこない。
--続き?
「知らなくて当然だ。そこから先はこの家の家督を継いだ者のみに言葉で伝えられる、
館の主は一度息を吐く。
「その剣は
「その剣というのは・・・。」
「そうだ。凪、お前の左腕に宿った剣こそ災の前触れ、
凪は息を飲む。
--俺の、左腕が、災の前触れ・・。
凪は父親の話を聞きながら
『
--あいつは
「災というのはもしかして。」
「そうだ、
主が凪を見据える。
「
凪は左手で
「・・
「凪、お前はこの話を聞かされてどう思った?」
凪が父親の方へ顔を向ける。
「父上、俺の左腕にあるものが
館の主が咳払いをしてから話す。
「このことが口秘である以上、息子であっても簡単に話すことはできなかった・・。私はお前に理由もなく、その左腕の剣のことを隠すようにしか説明できなかったことを詫びる。悪かったな。」
「いいえ、父上、そのようなことはありません。理由が分からなければ自分で探すまでです。勿論、剣の真実については今日まではっきりとは分かりませんでした。ただ、自分がこの剣の力を正しく使えば国のためになることも、それを考える機会を与えられていることも分かっていました。」
父親が目を細めて笑った。
「お前はその剣を生かすことができる。事実、先の戦でもその剣を上手く利用して窮地から逆転の勝利をものにしている。さらに、私の言葉に従って剣の使用を最小限に留めている。その剣の破壊力は凄まじいものがあるだろう。だが、力だけで事を為すことはできぬのだ。お前は剣の力だけでなく、自分の頭で考え戦況を理解して戦を
「父上・・。」
主の言葉を聞いた凪が敬意を込めて深々と頭を下げた。
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