第十一話 赤天狗<前編>
夕闇が辺りを支配しはじめていた。
空には
「我々に何の用だ!?そこを
双子が
「これはこれは、威勢のいい白狐と黒狐ですね。」
天狗は
刀と鞘の
「僕は凪君に用がある。退いてもらうのは君たちの方ですよ。」
馬の
次いで黒丸が横につく。
「若様をお守りするのが我々の役目!刀を仕舞い、そこを通せ!」
「嫌だと言ったら?」
天狗が喉の奥を鳴らして笑う。
「お前を
「斬れるものなら。」
言いながら唐突に天狗の髪がぬらりと伸び無数の蛇に変わると、双子を目掛けて襲い迫る。
「うお!なんだ!?」
「兄上!!相手は
「問答無用ということか!黒丸!いくぞ!!」
双子がほぼ同時に刀を抜き、天狗を目掛けて駆け出した。
手に持った刀は襲いかかる蛇をなぎ払い続け、黒い
「狐はなかなかにすばしっこいねぇ!」
双子と天狗の刀が激しい応酬を繰り返す。
それと同時に、天狗の蛇が容赦無く襲いかかり、白丸と黒丸が叩き落とす。
「くっ!蛇の数が多い!!」
「黒丸!間合いを詰めるぞ!!」
双子が視線を合わせ同時に駆け出すと、蛇を斬り刻みながら天狗へ向かっていく。
天狗と距離が縮まった瞬間、白丸が刀を振りかざして宙を舞った。
黒丸が天狗の下から切り上げるように刀を振るう。
「小狐どもが!
金属と金属の激しくぶつかり合う音が響き渡る。
天狗は黒丸の刀を振り払い、上から振り下ろされた白丸の刀も振り払った。
その瞬間、天狗に
「隙あり!!」
すかさず黒丸が天狗の
鈍い音が響き、一瞬の静寂に包まれる。
「おのれ・・、小狐め!!」
天狗が
めり込んだ刀を黒丸が引き抜こうとするが
その隙を見逃さない蛇が黒丸の腕を絡めとる。
「黒狐こそ隙ありだ!!」
「ぐぁっ!」
無数の蛇が黒丸の体を
「黒丸!!」
兄は弟に絡みついた蛇に斬りかかる。
それでも蛇が次から次へと弟の首元を目掛けて締め上げていく。
天狗が叫ぶ。
「白狐!よそ見をしていると危ないよ!!」
「何!!?」
白丸が振り向くと、天狗が間合いを詰めて刀を振りかざしていた。
天狗の刀が兄へ振り下ろされた瞬間、
「白丸!!」
凪が斜め後ろから走り込み、白丸を
しかし、それと同時に天狗から伸びる蛇が黒丸の体を締め上げて地に思い切り叩きつける。
黒丸が呻き声をあげる。
「白丸!一旦離れろ!!」
凪は白丸に向かって叫ぶと、
「黒丸、無事か!!?」
「若様、申し訳ありません・・。」
黒丸は血が流れ出る腕を押さる。
すぐに凪が背後の殺気に気付く。
「だからよそ見は危ないと言っているでしょう!?凪君!!」
「っ!」
振り返ると凪に迫った天狗が刀を振り下ろした。
凪が右手の刀で何とか振り払うが、相手の猛追してきた勢いのまま再び刀が振り下ろされる。
--くそっ、このままだと
「・・・やっぱり君だったのか。」
ニヤリと笑った天狗が凪の左腕を
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