XI 予期せぬ訪問者
──俺がいない間は部屋から出るな。
…逃げるって決めたんだから。
はやる鼓動をおさけつけ、意を決してドアノブに手をかけた。
ガチャ、ガチャガチャ
…
「開かない…⁉どうして…‼」
外側から鍵が掛けられているのか、いくらドアノブを捻っても、ドアは開かなかった。
そんな、じゃあ初めっから逃がすつもりはなかったの…?
そうして、扉の前で動けなくなって数分が経った時。
ガチャ
突然、ドアノブが回った。
「え、あんた誰ッスか?」
そこには、赤い瞳の男がいた。
私が固まっていると、男はガシガシと頭を掻いた。
「聞いてねえッスよオンナ連れ込んでるなんてぇ。ってアレ?肝心の旦那はどこッスか?」
目の前の男は何かを考えているようで、ブツブツと呟いている。
処理終わったから報告に来たのにいねぇんじゃ意味ないッスよ~。
んでも、あの人オンナ買うようなタイプじゃなかったッスよね?
うーん。
まあ、いいか。
男は後ろ手で扉を閉めて、その赤い瞳で私の顔を覗き込んできた。
「美味そうだし、オレも食っちまっていいっスか?」
旦那いねーし。オレ東洋人って初めてなんスよね。
、え?
言っている間に、男はジリジリと距離を詰めてくる。
「あっあなた、誰ですか!?いきなり入ってきて、何するつもりですか!?」
後ずさってソファーに倒れ込んだ。
「え~?何って、旦那にも何度もされたことッスよ」
男の指先が、私の首筋を掠める。
服に手が掛けられた。
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