Ⅶ 監禁生活の始まり






「は?」





ついさっきまで時が停止していたように思えるが、私がやっと口に出した言葉はこの通りである。




目の前の悪魔はその間一言も音を発さなかった。



この第一声に対し彼はまた不思議そうに私を見ている。


何かおかしいことでも言ったか、と言いたげな顔で。





「お前、養って欲しいと言っていただろう」





養って、って……



____「あぁあ。誰か、金持ちでハンサムなイタリアーノが私を養ってくれないかなあ」





あ、





面倒を見るとは、つまり、同じ家で暮らして、世話をしてもらうってことだよね?え?



イタリアの男は皆こうなのか。



出会ったばかりの、しかも出会った時は素面ではなかったし、そんな、ああ、これだから……。







いや、頬を染めている場合だろうか。



この男は嘘をついて私を騙して、やっぱり臓器を売るつもりなのではないか。



介抱してくれたとか、養ってくれるとか、そうは言っても結局、現在私がこの男に拉致されていることには変わりないのだ。


今の状況は、かなりやばいのではないか。





真っ赤から真っ青に変わる私の顔を、また不思議そうにそっと撫でて、彼は部屋を出ていった。



今日はゆっくり休むといい、そう残して。





そんなことを言われても、今のところはまだ自分の体内にある臓器の心配で、休むどころではない。



そういえば、今が何時かもわからない。




出ようにも出口はここだけだし、今彼はこの家にいる。きっとすぐバレるだろう。


そしたら早々に臓器を引きずり出されるかもしれない。



でも、彼の目は、私を見る男の目には、恋人を愛おしげに見る慈愛が確かにあったように思う。



一体、どうするのが正解なのだろう。




逃げられない、怖い、でも、彼の言葉は、瞳は……






…………

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