第5話 お菓子
【藤代くん視点】
ん? んん? んんん!?
白井さんが学校でお菓子食べてるー!?
駄目でしょ流石に!
見つかったら没収されそう……。
「何よ」
「……あの白井さん、学校でお菓子を食べるのはちょっとまずいと思いますけど」
「あぁ、このグミのことね。藤代くんも食べる?」
「……へ?」
……ここで食べたら白井さんと共犯になってしまう。
でも、向こうは学校一の美少女だぞ!?
そんな人からグミを貰えるなんて人生でもう二度とないかもしれないんだぞ!?
「いらないの?」
「……え、いや」
えっ、え? なんかめっちゃ切ない顔してるんですけどー!?
これって貰った方が良いよね? 貰わないと逆に駄目だよね?
「食べない?」
「……た、食べます」
ん? んん!?
このグミ、ハートの形してますけど!?
これって遠回しの告白!?
「あれ? 貰ったのに食べたいの?」
「……いや、これハート」
「ハート? ばっ、ぐっ、偶然よ! 別に一個しか入ってないハート型のグミを藤代くんにあげようだなんて思ってもなかったんだからね!」
このハート型のグミ一個しか入ってないのか……。
そのままグミを食べた。
「美味しいよ」
「よ、良かったわね!」
【白井さん視点】
ふふ、今日は実は学校にお菓子なんて持って来ちゃいけないらしいけど、こっそり持って来ちゃったわ。
私はお菓子も好きなのよ。もしこの世界でお菓子が消滅したら生きていけないわ!
今この教室で見られてるのは藤代くんだけ。
でも、藤代くんに見られたって別に問題ないもんねー!
「何よ」
「……あの白井さん、学校でお菓子を食べるのはちょっとまずいと思いますけど」
「あぁ、このグミのことね。藤代くんも食べる?」
「……へ?」
見たからには藤代くんも逃さないわよ。
一緒にお菓子を食べて、話して、そして一気に仲良くなる!
完璧なシナリオよ!
「いらないの?」
「……え、いや」
どうやら困ってるみたいだけど逃さないわ!
真面目な藤代くんも最高だわ!
「食べない?」
「……た、食べます」
これで藤代くんも逃げられなくなったわね?
ん? 何かグミを見て困惑してるけど、どうしたのかしら。
「あれ? 貰ったのに食べたいの?」
「……いや、これハート」
「ハート? ばっ、ぐっ、偶然よ! 別に一個しか入ってないハート型のグミを藤代くんにあげようだなんて思ってもなかったんだからね!」
わ、私、何やってるのー!? 藤代くんにハートのグミあげちゃった。
それは後からこっそり渡そうとしてたやつなのにー!
は、恥ずかしいわ!
「美味しいよ」
「よ、良かったわね!」
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