番外編

絵画の時間軸と個性のあり方

 どうも番外編です。

 ここでは敢えて言語に縛られずに私が考えた妄想を語っていきたいと思います。

 はじめに語るのは私が投稿しました「でんぱ山にて」という作品の中で語った理論です。どうも私は自分の考えた理論などを説明したいがために物語に無理やり落とし込んでいるようです。なのでしばらくはこうやって適当に語るに限ります。

 では、最初の理論

 「絵画の時間軸という存在に見る個性の表れ」について


 みなさんは普段「絵画」をご覧になられますか?

 絵画といっても様々ですので、ここでは「絵の具を用いた絵」「イラスト」「写真」という三つの分類で考えていただきます。

 写真やイラストはSNSの発達によって見る機会も多くなっていると思います。私もツイッターで綺麗で可愛いイラストはついつい追いかけて時間を忘れてしまいます。では絵はどうでしょう。

 ネットに上がっている写真ではなく、実物として目の前にして見る経験はそう多くはないでしょう。それはアマチュア、プロ、名作と限らずに絵画を見る機会や場所というのが限られていること。さらに言えば絵画に対して興味を抱く人がその他のイラストや写真と比べて少ないためではないかと思います。

 正直に言いますと、絵画というのは少々とっつきにくいものだと思っています。みなさんも義務教育のなかで一年に一度絵を描かされたことかと思います。私ははっきり言ってこのイベントが大の苦手でした。好きでもない絵を無理やり描かされて、しかも校内に張り出される。下手くそな絵をです。これは羞恥プレイですか?と思っていました。

 ですが私も描くのはあまり好きではないありませんが、見る分には十分楽しめます。誰かの作品を見てこの色合いが綺麗、構図が素敵、などと感想を抱くことはできましたが、それ以上のことを思うほどではありませんでした。

 このような印象を抱いていた人も少なくはないと思っています。こうした経験から絵画を好きになれないという方もいるのではないでしょうか。

 そして技術の進歩によって、描く方法はアナログからデジタルへと変化しその好みも変化したと思います。水彩画で描かれる淡い表現も素敵ですが、それ以上にデジタルで描かれるイラストの圧倒的な情報量がもたらすインパクトはすさまじかったと思います。みなさんもスマホでゲームをプレイすることがあればキャラクターやロード画面などで、その美麗かつ繊細で色鮮やかな情報の渦に飲み込まれることでしょう。それはこれまで見てきたどんな絵よりも印象深く残るはずです。

 

 こうしてあなたはネットの深部へといざなわれ・・・。


 っと!?違います違います。

 人それぞれでしょうが、こうした出会いというのはより絵を見ることに対して興味を持たなくなる要因となると考えられます。

 さらに言えばそのお手軽さも一つの要因でしょう。

 写真なんて今ではデータとして保存していつでもどこでも「撮って・見せて・送る」。この三つが簡単に行えるようになり、それが一つの芸術作品という印象は薄れて、個人間でも写真を作品として気軽に見せ合える環境が整ったと言えます。

 イラストというのももちろん機材はいろいろと必要ですが、最悪パソコン一つあれば描けてしまうというお手軽さがより、絵に対するハードルを上げることに繋がってしまったような気がします。

 このように絵を描くという行為は段々と若者の心から離れていってしまっている気がします。まぁ、それもそうかもしれません。わざわざ絵に残さなくても、写真に残せばいい。可愛いも綺麗も幻想も、全てのイラストで描けてしまうのですから、今更風景や人を何時間もかけて描くことに対して価値を見出せないというのも分かります。

 私もその価値を大きく広げることに貢献はできないでしょうが、私なりに考えた「絵を描くこと」の意味を知ってもらうことで絵に対して少しでも興味を持っていただけたら幸いです。

 そんな訳で、「絵画、イラスト、写真」の三つを時間軸という概念から紐解いていきたいと思います。


 ここでいう時間軸というのは、私たちが普段体感している時間の流れや変化というものとして考えていただきたいです。私の表現では理解しずらいとは思いますが、それでもなんとかご理解いただけたら幸いです。

 まず分かりやすい写真から考えます。

 写真における時間軸は私たちと同じものです。よく写真とは「一瞬を切り抜く」作業だと聞くように、写真は私たちの時間軸から一瞬を記録したものなのです。

 ここまではご理解いただけますでしょうか。みなさんが普段小説の内容からキャラの顔立ちや声、周囲の環境音を想像するように、今ここに時間軸というものが存在すると想像していただけるとわかりやすくなるでしょうか。

 さて、写真の次はイラストについてです。

 イラストに時間軸というのもなんともへんてこな想像に思うかもしれませんが、どうかお付き合いください。

 まずイラストに時間という概念は存在し得るのか?という疑問はあるかもしれませんが、イラストというのはキャラクターだけでなく、その背景も同時に描かれることもあり、そこに日光や周囲の状況などの情報から大体の時間や時期というものを感じることができます。あくまで表現の一部ですが、このことからもイラストのなかにもその世界特有の時間軸が存在すると考えても差し支えないでしょう。

 では改めて、イラストに時間軸という概念をくっつけて見てみると、これもまた写真同様に流れる時間の一瞬を切り抜いたものであると考えられます。

 例えば、女性の髪が風に吹かれて後ろになびくシーンを想像してみましょう。

 イラストにおいては作者が描きたいと思った髪の形に描いたまでかもしれませんが、これは言い換えれば作者が撮りたいと思った一瞬をカメラに収めたということになります。

 このようにイラストというのもまたカメラ同様に意図的に一部分を選んで切り取った作品といえます。

 

 最後に絵画についてですが、絵画は少々複雑です。描く対象が写真と同じ現実なので時間軸は共有していますが、写真のようにボタン一つで切り取ることができないのでその完成までに自ずと時間が経過してしまいます。そこが写真やイラストとは違うところでしょう。開始から完成までに時間が空いてしまえばその間に小さな変化はいくらでも起きてしまいます。そうした要素も理解した上で絵を描くことの意味とは何か。どうして目の前の一瞬を切り取るのではなく描くのか。

 それは、変わりゆく景観と自身の欲求とのバランスを図るためではないかと考えました。私はこれこそが個性というものなのではないかと思うのです。

 

 述べましたように絵画は変化する対象を描いていく作品です。変化することを前提とするならばそこに実際にはないものを描くことも可能ではないでしょうか?枯葉の色を実際よりも鮮やかにすることも、泳ぐ魚の模様をより鮮明に描くこともなんだって可能です。それは変化の一部なのですから。

 しかし、自分の描きたいようにやるのだったら、現実の景観をモデルにイラストにしてしまえばいい話です。わざわざその場所に立つ必要なんてありません。

 では、イラストと絵画の違いは何か。

 それはバランスのとり方だと私は思います。

 どんな作品においてもバランスは大切です。それは構図という意味でもありますが、絵画においては現実と自己の欲求のバランスが重要になります。目の前の景色(現実)をそのまま描くのでは写真の劣化版みたいなものです。そこで自身の描きたいと思う景色(欲求)を形にします。しかし、それも行き過ぎればイラストに近くなってしまう。どちらに傾き過ぎても絵画とは違う作品に近づいてしまう。

 だからこそ、バランスが重要なのです。現実と欲求のバランスが。

 そしてそのバランスを人は個性と呼ぶのではないかと思います。

 そうです、個性とは自分の描きたいものを前面に押し出すことではなく、そのバランスをとる中で生まれるものなのです。

 ピカソの「泣く女」などはそのいい例かもしれません(素人目線)。あの作品は一見割れたステンドグラスを修復したようないびつな構図ですが、確かにそこに描かれているのは泣いている女性だなと思えてしまうのですから不思議です。個性200%の作画の中にもしっかりとバランスがあったのでしょう。


 いかがでしょうか。

 絵画における個性とはバランスであり、その微妙な表現の差に個性というものを見るからこそ絵画は今も描かれ続けているのです。

 最後に絵画と人の魅力についてつなげてみます。

 魅力的な人とはいったいどんな人か。それはいろいろな要素を含んでいるでしょうが、私がその一つとしてあげたいのは自己と他者とのバランスです。

 他人の意見に流されることなく、自分の意見を押し通すだけでもない。その両者のバランスの良さが、その人の魅力につながるのではないかと思うのです。

 久々に長々と書いたので果たしてちゃんとまとまっているのかどうか不安ですが、まぁ読んでくださる皆様の読解力に期待して今回はここまでとします。

 お疲れ様でした。それでは

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