第14話城塞都市防衛戦 その8

「ん?」

 地下で、リリ達と相談していると、地上で何か揺らぎを感じました。その直後、爆音と振動が辺りを襲います。

「な、なんですか?」

 レーヤが叫びます。

「何があった?」

「領主の館で、爆発がありました」

「守備隊がいた場所ですよね?」

「何となく、リーヤにあった物と、同じ気配を感じましたの」

「呪いの楔ですか?」

「ここの守備体調、救助に行かないと決めたから、爆発したかな?」 

 リリが、状況を推測します。

「そんな馬鹿なこと、できるのですか?」

「楔を打ち込んだ人間の、命令に背けば爆発。これくらいなら、簡単に設定できる」

 と言う事は、レーヤに楔を打ち込んだのも、あの王女様ということになる。

「レーヤは、王女にに恨まれる事したのか?」

「そんな事、ある分けない。私、平凡な荷物持ち」

「レーヤの場合は、証拠隠滅かもしれぬ」

「証拠隠滅?」

「レーヤの空間収納、中身の魔道具が、色々とおかしい」

「どういうことです?」

「偽装を見破る魔道具や、ギフトを判断する魔道具が多い。これらは貴重」

「王女が危険なギフトを所持している可能性」

「それを危惧して、リリに集めされた?」

「違う。集めていたのは第一王子。軍部に対抗していたのはそっち」

「た、確かに私は、王子様の直属の部隊の下級兵士でした。でも、王女様と接触した事ありませんよ?」

「むぅ・・・どこかで接触しないと、楔は打ち込めない」

「それなら、軍服が怪しいですよ」

「軍服?」

「最初、変な波動を感じたのは、見につけている物でした。解体しても、気配が会ったので、おかしいと思ったんだ」

「そ、それなら私を丸裸にする必要、あったのですか?せめて、下着を残すとか!」

「丸裸?」

 その事を知らないリリが、こちらを睨む。

「念のため?」

「そう、それはずるい」

「ずるい?」

「貴方だけ、レーヤの裸を見た。私も見たい」

「リリ様、何でそうなるのですか?」

「えいz!」

 恐ろしいほど、繊細な魔法が発動される。切断の魔法。それに触れたら、鋼鉄でも真っ二つと言う切れ味を誇る高等魔法。それが複数発生して、ギリギリ肌に触れることなく、全ての服を切り裂く。

「うん、成功」

 目的を達成して、リリは満足そうだった。

「なんで!」

「照れているレーヤ、可愛い」

「うぅ、スティッ君、助けてください」

 恥ずかしさから、部屋の隅でしゃがみこむレーヤ。可哀想だが、代わりの服など持っていない。

「再生」

 リリが魔法を唱えると、斬り裂かれた服が元に戻る。ただし、斬り裂かれた場所で再生したので、地面に落ちる。

「あうあう、どうせなら、着た状態に戻してください」

「ほら、ここで着る」

 わくわくと、リリはその様子を楽しんでいる。レーヤが助けてと、目で合図を送っているけど、私にはどうする事もできません。せめて、その様子を見ないように、目を閉じるだけです。

「うぅ・・・」

 リリの行動は、色々と謎がある。話を聞いた限りでは、過去の記憶と今の自分との融合の過程で、色々と複雑らしい。これに関しては、私も問題を抱えているので、見守るしかない。

「何か、変じゃありませんか?」

 着替え終わったリリが、そう聞いてくる。目をあけてみると、見た目の変化は無い。

「魔力?強化魔法がかかっている気がしますね」

 力場の影響で、そう言う情報は何となくわかるようになりました。

「呪い防止の付与をしました。ついでに、防御力を強化しています。スティックの念では、脱がせません」

「その予定は無いから・・・」

 リリなら、それ位は出来て当然だろう。

「軍服と言うよりも、多分お城。王城、もしくは王都全体に呪いをかけた」

「あの王女、かなり危険な存在ですか?」

「危険になったのかな?ギフトに振り回された結果だと思うの」

 そう言うリリの顔は、物凄く悲しそうでした。見に覚えがあるのでしょう。

「救えますか?」

「・・・わからない」

「そうですか」

 面識が無いので、救いたいとは思えません。個人に出来ることには限度があります。私の念は、おそらくチートと呼ばれる能力になります。それでも、全を守る事は出来ません。最初から諦めるなと言われそうですが、無理な事は無理なのです。

「色々と、動き出したみたいですね」

「あぁ」

 念で周辺を探ると、慌しく動き回る存在がいます。

「レーヤは、ここで物資を守っていてください」

「スティッ君は?」

「初等学校に行って見ます。周辺で、人の動きが多い場所です」

「気をつけて」

「ありがと。リリの事も、守ってくくださいね」

「リリ様、私が守る必要ありますか?」

「リリは、自分が殺されるとわかっても、敵を殺さない。そうならない様に、守って欲しい」

「はい」

 リリの願いを、レーヤは知っている。だから、強く同意してくれる。

 それを見て、私は行動を開始します。

 地上に出ると、所々で、火の手が上がっているのが見えます。よからぬ連中が、行動を開始したみたいです。初等学校には、グリーンが助けた連中がいます。正直、どうでも良い連中ですが、グリーンの命がけの行為が、無駄になっては意味がありません。急ぎましょう。

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