第10話城塞都市防衛戦 その4
「リリは、鑑定の魔法を持っているかな?」
「相手のギフトを見る魔法は、残念だけど作れなかったわ」
「作れない?」
「そう言うものだと、諦めて」
「相手の能力を奪う魔法か?」
「ギフトを奪う魔法は、無いわよ。ギフトをコピーするギフトあるはず」
「奪うギフトは?」
「存在するわ。貴方が恐れているのは、それ?」
「異世界転移に関して、私のいた世界では色々な物語がありました。その中で、特に警戒しています」
「貴方のギフトも、現状で充分常識外れですよ。強奪系のスキルの場合、相手より強くないと出来ないはずですよ」
「所持者が、敵にならない様に注意します。後、異世界から商品を購入できるギフトはご存知ですか?」
「似たようなギフトの存在は、記録にありますね。現時点で存在するかは不明ですわ」
「なるほど・・・。後は、銃の存在ですね」
「銃?」
「火薬を使って、金属を打ち出す武器と言う所ですか。転生者がいるなら、これを作る人がいそうなのですが?」
「魔法を込めた、魔法銃というものはあります。火薬を使う武器は、一応厳しく禁止されていますよ」
「何かあったのか?」
「火薬の武器を大量に用意した国が、運用を誤って大爆発を起こして、かなりの被害を出した記録がありますわ」
「この世界、転生者って、かなりいるのかな・・・」
「召喚魔法の影響で、世界の敷居が狂った世界ですよ、ここは」
「召喚魔法?」
「過去の話です。私が、殺伐の魔女と呼ばれていたころの」
「今時点で、安全な国はあるのかな?」
「北のほうの国家は、比較的安定していますよ」
「リリは、そこに行かないのか?」
「もう少し、大人になったら行く予定でしたの」
「今のままで、飛んでいけるよね?」
「一緒に行きますか?貴方が行くなら、すぐにでも行きますよ」
「やめておく。安定している国なら、逆に力を集めていそうです。現状、利用されるだけの存在になりたくありません」
外の景色を見ながら、色々と考えます。怖い存在は多いですが、考えすぎても駄目でしょう。
「魔物は、統一されていますね・・・」
「意思のある強い魔物がいるわ」
「会話は通じるのでしょうか?」
「知力の高い魔物は、会話が通じるけど?」
「止めておきます。刺激を与えたくありません」
念話を試してみようと思いましたが、止めます。その代わり、気になる存在を見つけました。空間が微妙に歪んで見えます。
「魔物が通り過ぎた場所、少しおかしくありませんか?」
「ん?防御の結界かな?」
「生存者がいるのですね」
「助ける?」
「それは、わかりませんが、気になるので見てみます」
「だったら、私は戻るね。この状態維持するの、まだ疲れるのよ」
次の瞬間、リリの姿は消えました。後で確認すると、幻影と言うか、魔力を飛ばしていたそうです。
それだけの力があればと思うけど、それはお互い様だろう。空から下を見下ろす。
今の状態で、1000キロの物を移動できる。盾の上に乗り、空に浮かぶ。そこで重量のあるものを見つけてそれ事上昇する。目的地で、落下させるだけで、大規模破壊が可能となった。
命令も細かくなったので、あの敵を狙えと言うだけで、大量の矢を放つ事ができる。物体は、力場を超えてら命令の効果が消える。自在に操る事は出来ないが、運動エネルギーは消えないので、エネルギーが尽きるまで進む。数で圧倒できる。
勝つ方法は、色々と考えているけど、あの魔物の群れを見ると、負けると言うイメージが浮かぶ。どこかに、危険な存在が混ざっているのだろう。
「さて、これが結界かな?」
考え事をしながら移動して、目的の場所に到着した。周辺には、大量の死体がある、貴族らしい、一般人とは違った服装の死体もある。魔物死体もあるので、ここで戦っていたのだろう。
「これって、魔剣かな?」
その中に、不思議な魅力のある剣があった。しかもかなりの量がある。周辺にあるものを、片っ端から念で包み引き寄せる。
「ぐぁ・・・」
その瞬間、凄い力が流れ込んできた。もっと慎重にやるべきだった。魔剣らしいものを見つけて、気分が高まっていたのが駄目だった。一度の失敗で、全てを失いことのある世界だ。
「はぁ、はぁ・・・」
少し待つと、頭痛が治まった。
「こんな所に、賢者の石なんか置いておくなよ・・・」
原因が解り、納得する。散らばっていた物資の中に、賢者の石という貴重なアイテムがあった。知識を詰め込む魔道具で、念で包んだ事で、その機能が誤作動して、その知識が流れ込んできた。膨大な量なので、普通では扱えないが、強化していたので、受け入れてしまった。これで、望んでいた鑑定に使い能力をえら得た。物品限定での、鑑定が念を通じて可能になった。
「第一王子の集団だったのか・・・」
国の象徴である聖剣エターナルがある。見栄えだけは良い飾りの剣だ。炎の剣や、光の鎧など、貴重な物と、大量の金貨と宝石もあった。これは、戦うためでなく、逃げるためだったかも知れません。
これだけ、丈夫な結界があるのに、この人たちは何故外で死んでいるのでしょう?
中に生存者がいるかのせいもあるので、結界を強引に破壊するのは止めておきます。念を飛ばしてみると、中に生存者らしい反応が一つあります。中の様子は、外からだと何もない様に見えるので、この結界は中々凄いです。
「生存者の方ですか?」
驚かさないように注意して、念を飛ばしす。念話可能になったので、声をかけます。
「だ、誰ですか?救援ですか?」
声の主は、私と同年代の少女だと思います。幼い感じがするので、兵士ではないと思います。
「通りすがりの者です」
「魔物は、いませんか?」
「この周辺にはいませんよ」
「えっと、王子様達は?」
「みんな、死んでいます」
家族の可能性もありますが、正直に答えます。相手が、安堵した気配があります。
「解りました。今結界を解きます。
結界が消え、中の様子が見える。そこにいたのは、銀色の髪と赤い目をした女の子でした。
長い髪が美しく、可愛らしい子供ですが、その着ている服はボロボロで、何となく何があったのか理解出来ました。
「ありがとうございます。私の名前はレーヤです。王国軍輸送部隊所属の下級仕官です」
「え?」
「な。なにか?」
「仕官と言う事は、私より年上ですか?」
現在10歳の私よりも、子供に見えるこの人は、仕官と言う肩書きを持っているので、年上と言うことになります。
「こう見えても、妖精族のれっきとした女性ですよ。危うく、純潔を失う所でしたけど・・・」
そうは言うけど、彼女の立場上、王族が死んでいるのは駄目だろう。このまま残った場合、死罪確定かもしれません。
「私は、スティックと言います。城塞都市ファイエル初等学校の一年生です」
「私より、5歳も年下なの?」
そう言って驚くレーヤ。中々面白そうな人材です。出来れば仲間に加えたい。
後日、周りからは優れたギフトを持っていたから仲間にしたと言われますが、それより前に、そう思っていました。信じてもらえないのが、悲しいです。
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