第9話城塞都市防衛戦 その3
「さて、状況を整理しましょう」
1人になって考える。ガイルに伝えた情報は、色々と間違っていた。
レベル 30
種族 人間
体力 D
魔力 F
基礎 C
幸運 F
ギフト 念導 レベル 5
こちらが、今のステータスです。レベルが少し上です。体力はDのままで変化はありません。
これが本当の表向きの数値。問題は、ギフトにありました。
ギフトのレベルは実は5になっています。この成長速度は速すぎだと思っています。
移動は、力場と名前を変えました。
力場 レベル4 1000メートル以内の1000キロ以下の物、1000個を念導の対象にできる。
命令 レベル4 1000個の命令を、念の対象物にかけることが出来る。
強化 レベル3 念の対象物、100個まで強化できる。
変温 レベル2 念の対象物の温度を、±10℃まで変化できる。
念話 レベル1 念の対象物と会話できる。音声のみ
これが現時点のギフトだった。1000個の念を管理するのは、現状無理だった。訓練しないと、上手く作動しない。命令で、常時浮かべるとか、くるくる回るとか、簡単な命令をして、経験値を稼ぐ。
数が多いので、上昇は早い。小さな砂粒を用意して、数だけ稼いだ結果だった。
念話は、相手がいないので上昇してしない。
現時点で、一番有効なのは強化だった。重ねがけが出来るので、自分に常時展開している。全部使うと、逆に制御不能になるので、半分を重ねが消している。
体力 A
魔力 F
基礎 A
幸運 F
この状態で、体力と基礎がAになってしまった。Aとは、人外といわれるレベルだったはずだ。念は魔力を無縁なので、魔力はFのままだった。幸運も、上昇しない。一度、100の状態も確認したけど、粉の場合変化があるのは種族で、魔人になってしまう。今後、れねるが上がって、重ねがけの数を増やしたらどうなるか、少し怖い。
「確認、しておくか・・・」
色々と悩んでいても仕方ない。生き残るための準備をするには、時間がない。
「浮かべ!」
用意しておいた盾の上に乗る。大人用の大きな盾だ。サーフボードのように上に乗り、空に浮かぶ。
念で包めば、こういう使い方も出来る。
「この世界、対空警戒薄いよな・・・」
今までも、何度かこうやって空を飛んだことがある。
「あれかな?」
遠くに、移動する群れみたいな物を見つけた。望遠鏡みたいな便利な物はない。強化された状態は、当然視力も強化されるので、遠くの物がよく見える。もっとも、最初の間は苦労した。
「見た感じですと、まっすぐ王都を目指している気がしますね・・・」
途中にある村や町を飲み込んではいますが、ある一定の範囲を超えてはいません。攻撃されれば反撃したみたいですが、それ以外の場所を攻撃した形跡はありません。
「この調子ですと、手を出さなければ良いようないがしますね」
ただ、この都市の防衛の方針がどうなっているのかはわからない。上からの命令で、戦うように指示されていたら、攻撃する可能性もある。
「貴方なら、全部倒せるでしょ?」
盾の隅っこに、小鳥が止まっていた。強化状態だと、接近する物の気配をだいぶ感じられるのに、まったく感じることが出来なかった。だから、この世界は油断できない。
「リリ?」
「あら、わかるのね」
小鳥の姿が、一瞬歪んで、次の瞬間リリに変化した。
「面白いこと出来るのね」
「何をやっているのか、わかるのですか?」
「魔法ではない、何かの力で浮かんでいる事はわかるわ」
盾の隅っこに腰をかけながら、リリが言う。
「君も、転生者なのか?」
「そうよ、前世では、殺伐の魔女と言われていたわ」
「それ、神話に出てくる魔王の一柱だよね?」
「そうなのよね。伝わっている話は大げさだけど、ほとんど間違っていないのが始末悪いわ」
「だったら、リリにならあの魔物倒せるよね?」
「私は、生まれ変わった事で、やりたいことがるの」
「?」
「もう、生き物を殺すのはうんざりなのよ。出来るなら、直接殺す事はしたくない」
「だったら、何故偵察を?」
「まだ、死にたく無いからよ。前世の最後は、酷いものよ。ああいう終わりになりたくないから、この人生は上手くやりたいの」
「直接じゃな蹴れば、間接的に殺すのか?」
「殺したくは無かったのよ・・・。ギフトって、面倒ね」
「ギフトが誰かを殺したのか・・・」
「運命を変えるギフト」
「グリーンか・・・」
俺達の周りで、死んだのは彼だけだ。
「あのこ、あの時生きのびたらどうなっていたのかな?」
「回復スキルが正しく使えたら、色々な勢力が奪いに来ただろうな。その前にあの2組の担任に・・・」
グリーンは攫われただろう。そのときあの場所にいた俺は、おそらく死んでいた。グリーンが死んだから、あの担任の行動が変化した。
「なるほど、俺も原因だったのか・・・」
「で?」
「で?とは?」
「貴方はどうするの?」
「私は、この世界の事を理解できていません。知らないことが多すぎて、困っています」
「私が、教えましょうか?」
「リリの前世って、神話になるぐらい過去の話ですよね?」
「情報の大切さは、理解しています。魔力と記憶が戻ってから、色々と調べていますよ」
「教えてもらえますか?」
「私を守ってくれるなら」
「良いでしょう、守って見せましょう」
この時私は、この防衛戦の間だけ守るつもりだった。
こうして、長い時間を一緒に過ごす事になるリリと、契約を結ぶ事になったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます