第6話運命の魔女
私の名前はリリです。城塞都市の側の、小さな町の産まれです。
平民なので、10歳までは家の手伝いをしていました。力仕事は苦手だけど、それなりに頑張っていたと思います。
10歳になって、ギフトを授かりました。私のギフとは死の予言と言う特殊なギフトです。
過去にも、何度か出現したギフトで、人の寿命が見えるというものでした。
ただ、その精度に問題があって、レベル1だと1000年後まで生きていられるかが解ります。
その結果、視界に入る人全てが死んでいます。と言いたいのですが、例外が何人かいました。
「お、おはようございます」
「あぁ、おはよう」
同じクラスのグリーン君、この人は運命が見えません。不思議です。
隣にいるスティック君は、1000年後に死んでいると解ります。このスキル、レベル2になるとどうなるか解らないのが怖いです。普通、レベルのスキルが上がると、範囲が伸びます。
1が2に、稀に1から10になるとも習いました。私の場合は、10000年後になるのか、100年後になるのか解らないそうです。
過去に同じスキルを持った人は、スキルレベルが2にならなかったそうです。
特殊なギフトによくあることらしいです。
私のギフト、特殊です。ギフトレベルは1ですが、スキルが2つあります。
これは、内緒にしています。他人に言えないスキルなのです。
他にも、ギフトを獲てから変わった事があります。私のステータスです。
リリ レベル 5
種族 魔族
体力 E
魔力 A
基礎 D
幸運 B
ギフト 死の予言
スキル 寿命確認 レベル1 1000年先の生存を確認できる
運命操作 死ぬべき運命を入れ替える 他者限定 自動発動 再発動まで1年
私、人間なのに魔族になっています。これは由々しき問題です。魔力がA判定なのも問題です。
Bランクでも、人外といわれる強いスキルを持った人です。Aランクの魔力なんて、過去の英雄か、魔王です。Aランクは幅があるといわれているけど、その一番下でも、破格といわれています。
Aランクの魔力になったせいか、魔法に関して順応してしまいました。あふれ出る魔力は、完璧に誤魔化しています。スキルの、運命操作も、隠しています。自分に使えないみたいだけど、色々と怖い感じがします。
だから、目立たないようにひっそりと過ごしていました。
そこそこ仲の良い友達は出来ました。でも、それ以上は駄目だと思い、控えています。
魔族は、魔力の多い人。邪悪な存在ではないと言うのが一般的な感覚です。
でも、危険だから排除しろという考えの人もいます。だから、隠れます。
ひっそりと、目立たないように過ごしていました。
5組は、落ちこぼれの組といわれいます。迷宮探索の授業、いきなり問題が発生したのは、偶然じゃないと思います。本来なら、護衛が5人なんてありえない。目立つのは嫌だけど、死ぬのはもっと嫌なので、これでも努力はしています。
他のクラスの実習の様子を、こっそり見学して、対策を考えていました。気配を隠していた事が、意外な形で役に立ちました。
1と2組の時なんて、兵隊さんが囲むように守っていました。後で知りましたが、両クラスとも貴族が混じっているみたいです。後は勇者候補がいるので、安全第一だったらしいです。
だけど、問題が発生した。
魔物が、広場を埋め尽くす。みんなが一斉に逃げていく。
冷静に、状況を見る。ゴブリンの群れ。あれくらいなら、魔法で消し飛ばすことができる。
Aランクの魔力は伊達じゃない。だけど、私は目立ちたくない。だから、逃げ遅れたふりをする。みんなが逃げた後で、こっそり始末すれば良い。
「リリも、速く!」
パーティメンバーのスティック君が、私を抱きかかえて逃げ出した。私の事を知らないから、仕方ない。状況は、まだなんと無かる。
途中で、ガイル君がゴブリンの群れに突っ込んで行った。彼なら、大丈夫だと思う。訓練の様子をこっそり見ていたけど、かなり実戦慣れをしていたと思う。
「速く、逃げて!」
階段の途中で降ろされる。スティック君は、残るみたいだった。彼の力では、役に立たないと思う。
簡単な罠を作るといったけど、服を破いて何をするつもりなんだろう?
見てみたいけど、邪魔になるから階段を駆け上がる。昇りきった瞬間、そこで意識が途切れる。
誰かに殴られた。
後で知ったけど、そこにいた冒険者の仕業らしい。
結局、私は色々と駄目だった見たいです。最後の最後で、油断しました。あの冒険者が、私を殺すつもりおなら、死んでいましたよ。
せっかく、異世界に転生したのに、無駄になるところでした。
ただ、ここで気づきました。運命操作が、発動していました。
あの場所で死んだのは、冒険者と教師とグリーン君。その誰かの命は、誰かのために使われたみたいです。
誰の運命を、変えたのかは解りません。ただ、あの場所ですぬべきではなかった人物が誰だったのかは解ります。
グリーン君、彼が死んだのは、私のギフトの効果です。前世で、殺戮の魔女と呼ばれ、魔王として君臨したから、この転生先では大人しくするつもりでしたけど、無理なのでしょうか?
この先が、不安です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます