第7話 本日は水色
透視とホーミーで遊びながら過ごしてたから多少は暇を潰せたけど、そろそろ限界になってきた。
ていうかいつまでここにいれば良いの?
ちなみに昨日までの5日間のガチャの結果は以下の通り。
・目が回りにくくなる能力
・白髪が生えなくなる能力
・
・カフェインレジスト
・家の鍵をかけ忘れない能力
全部Fランクスキルだった。
うん、
スキルは上書きするものを選べるけど、例えFランクスキルでも必ず何かを上書きしなければならない。ガチャのキャンセルは出来ないってこと。
ちなみにイケメン騎士の下着の色は、
・オレンジ
・白
・ピンク
・黄色
・白
そして本日の朝は水色といった具合だった。
あ、この情報いらない?
「それじゃ、今日のガチャいきますかー。ガチャー」
良いスキルが出ないもんだからだんだん適当になってきちゃったよ。
まぁ、気合いを入れて良いものが引けるなら、ソシャゲのガチャでも苦労はしないよね。
『上書きするスキル、を選択してください』
鍵をかけ忘れない能力でいいや。そもそも家なんてないし。
この牢獄が家だとしたら、鍵なんてさっさと外してほしいくらいだ。
念じると同時に、適当に掲げた手から紫色の光が放たれる。
お、Bランクスキルじゃん。
『Bランクスキル、異世界言語を、会得しました』
「きたあぁぁぁ!」
これは! これは
これで、これでこの世界の人達と会話ができる!
ようやく牢獄生活もおわりだー!
喜びのホーミーを
イケメン騎士による朝御飯の時間だ。
よし、早速話しかけて見よう!
「あの……」
いや、ちょっと待てよ。
まだ話しかけないで、情報収集した方が良いか?
イケメン騎士は俺にたいして
俺に言葉が通じないと思っているからだ。すこし様子見してみるか。
イケメン騎士はいつものように鉄格子の向こう側に腰をおろす。
「ん? 何か言ったか?」
!
言葉がわかる!
「ウィーーウィーー」
とりあえずホーミーでごまかしておこう。
「気のせいか。お前はいつもウィーウィー言ってるがそれは何なんだ? 声に混じって高い音が聞こえて不気味なんだが……」
あん? モンゴルの伝統文化にケチをつけるんですかぁ?
「はぁ。どうせ言葉は分からないか。ほら、今日のご飯だ」
例によってサンドイッチを手渡される。
今日はサケとアボカドとクリームチーズのサンドイッチだ。
女子力あるねぇ。やっぱり本当は女なのかなこいつ。
「ジーク隊長にお前をどうするか相談しているが、面倒くさがって相手にしてくれないよ。なぁ、お前は何者なんだ? どこの国の言葉とも違う言葉をしゃべり、暇があったらウィーウィー言うだけだ。
まぁ、意味分からん言語をしゃべってホーミーしてる人間なんて理解できないよな。
ジーク隊長ってのはあのゴリラ騎士のことかな。
「私もいつまでもお前に食べさせるわけにもいかないし、森に返すのが一番か?」
子供が拾ってきた野良猫みたいな扱いやめてください。
「まぁとは言っても、私が作った飯をこんなにうまそうに食ってくれるのはお前だけだ。もう少しここにいろ。そういえば、ジーク隊長といえばさ……」
もぐもぐとサンドイッチを頬張る俺にイケメン騎士は話続ける。
なるほどね、いつもこんな風に愚痴ってたわけか。
本当にハムスター扱いだったんだな、俺。
イケメン騎士の話は続く。とりとめのない愚痴を延々と。
やっぱ女だろこいつ。
「……でさ、二言目には『お前には筋肉が足りない』って言ってくるんだよ。仕方ないよなぁ、筋肉がつかないのはさ」
「そうだよなぁ。女性は筋肉が着きにくいから仕方ないよなぁ」
「本当にな。まぁ女性でもすごい騎士はいるから、甘えなのかもしれないな」
「……」
「……ん? お前……今しゃべったか?」
やべ、つい
そっと目をそらす。
「おい! お前! 聞いてるんだろ!? ていうか、なんで女だと知って……なんだ!? お前はなんだ!? えっと……なんなんだ!? 今しゃべっただろ!? おい! 目をそらすな!」
「ウィーーウィーー」
「その不気味な歌をやめろぉ! こっちみろ! おい!」
チラッとイケメン騎士(女)を見る。
顔を真っ赤にして怒っている。こわい。
「……」
「……」
「なんか急に喋れるようになっちった」
テヘペロしながら可愛くいってみる。
「そんなわけ……あるかあぁぁぁぁぁ!」
……
…………
………………
はい。
「話が出来るのであれば話ははやい。お前は何者だ。何故ここにいる?」
「えっと、ですね」
「私には嘘を見破る力がある。適当なことを言うと首を
ひぇーー
「1つずつ質問する。慎重に答えろ」
「はひ」
「お前はどこから来た?」
「日本、という国です」
「二ホン? 聞いたことがないな……嘘は言っていない様だが」
嘘じゃないもん。ほんとだもん。
「その国は、我が国に
「この国が
「そんなバカな国があるものか!」
残念ながらあるんですよ。
「まぁいい。次だ。お前はウィーウィー言っていたが、あれはなんの呪文だ。私に何か呪いをかけたのか?」
「いえ、あれはホーミーというとある民族の伝統的な民謡です」
「あんな気持ちの悪い民謡があってたまるか!」
残念ながらあるんですよ。
「次だ。なぜ喋れるのに今まで話さなかった? 私から情報を得るために黙っていたのか?」
「いえ、今朝から急に言葉を喋れるようになったんです」
「そんなバカなことがあるか!」
残念ながらあるんですよ。
「次だ。なぜ私が女だと知っている? 以前から私をつけていたのか?」
「いえ。話し方や
嘘じゃない、嘘じゃないよ。下着を見たのもあるけど、嘘じゃないよ。
「くっ、言葉が分からないと思って油断してしまったか……」
とりあえずこのイケメン騎士は女で良いようだ。
髪をオールバックにしてたからパッと見分からなかった。
「意味は分からないが、嘘は言っていないようだな……なんなんだお前は……」
なんなんでしょうか。
「まぁいい。
頭のおかしい人扱いやめて。
「それでは最後の質問だ。私の秘密を知った以上、簡単に解放する訳には行かない。だから、ここで死ぬか、私に
「死にたくないです」
「……分かった。私はいつでもお前を殺せることを忘れるな。お前のことはジーク隊長に相談して
「はひ」
俺の首筋からスッと剣が引かれる。
こ、こえぇーー。
異世界
「くれぐれも変な気は起こすなよ」
イケメン男装騎士は乱暴に鉄格子を閉めて出ていきました。
いかんいかん。
今までなんとかなってたからすっかり気を抜いてた。
軍人こえぇよ。
とりあえず言うこと聞いて大人しくしておこう。
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