余韻
Miles -another day-
振り返る余韻もない。
僕は大きく踏み出したその未来に、君という過去を背負う必要はないのだと、言い聞かす。君もきっとそうだろう。僕のことを忘れようとしているに違いない。
そして僕はそれを悲しくは思わない。
たしかに君は大切な人で、今までの日々を思い出として、抱きしめていたいのは本当だ。
あわよくば、君も同じ気持ちでいてほしいなどと思う。
でも時が変わって、気持ちも変わってしまう日が来るだろう。そんなときに、素直に笑える二人でいたいなんて切に願い。
幸せは人それぞれで、すれ違うことで手に入る幸せもある。離れることで気付く幸せもある。忘れることで思い出す幸せもある。
淡い二人の日々は、君にとって荷物で、僕にとっても荷物だ。心に余裕があったとき、ふと入り込むくらいがちょうどいい程度の。
だから今だけは少しこの風を浴びながら、素直でいたい。痛いなら痛いと、感じたいのだ。
だから今だけはさよなら。でも少し未練がましく。
「君は元気にしてるかな」
何マイル先の彼女に届かない言葉。
Miles -short story collection- またたび @Ryuto52
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