06 とことん調べてやる

 魔獣の強さに恐れおののいた俺は、弱い魔獣を探し中なぅでおます。

 ちなみに、スクリーンに映る魔獣を片っ端から調べてみたおかげで、”サーチ”も”チェック”も既に慣れたんやで。

 今では唱えんでも情報が見れるようになってきたで。

 目線だけでも操作出来るんやで。すごいやろ?

 せやけどな、せやけどやな。

 

「弱っちぃ魔獣なんか居らへんやん!」


 ついつい一人やと言うのに突っ込んでしもたで。

 やって、ホンマに居らんねんもん。

 この島に居る魔獣ったら、軒並みレベル20とかなんやもん。

 俺レベル3とかやで。

 無理やって無理。

 なぁ、パーやん。 魔獣やのうて、普通の動物って居らんのかいな?

 ほら、領でも居ったやん?犬とか牛とかさぁ。


「いますよ。」


 はぁ……。

 出たで。 こっちの求めたもんしか、こいつ実行せんのやもんな、ケチやでホンマに。

 どんだけ必死に弱い魔獣を探しとったんか分かっとるやろ。

 それぐらい、教えてくれてもええやんか。

 もおさぁ、そういうのんえ~から、欲しいって思える情報は教えてぇ~な。

 俺の思考を読んでるんやろ?言いたい事分かるやろ?

 すると、さっきまで、スクリーンには青い点滅と赤い点滅しか映ってへんのに、今度は一気に色々な点滅が増えた。

 ぎゃー、増えすぎ増えすぎ!

 点滅だらけで、なんやもう分からへんわ。

 スクリーンには青、赤、灰、黒、緑と様々な点滅が映っている。

 でも、一応確認しとこうと、植物模様の緑の点滅に触れる。

 相変わらず画面が半分に割れて、情報が出てくる。


 【名 称】 熱帯キナーノ木

 【樹 齢】 130年

 【種 族】 アカネ科

 【効 能】 強壮、健胃、解熱、感染病、HP・MP回復

 【特 徴】

 常緑で高木、淡緑色で大人の親指ほどの大きさの鐘状の花が咲く。

 熱帯地域に多く分布している。

 花の部分は魔力が豊富でポーションに最適である。

 樹皮の部分は生薬として解毒丸、強壮丸とするのが一般的。

 【レシピ】

 解毒丸(健胃、解熱、感染症)

 1.樹皮部分を天日乾燥させる

 2.乾燥した樹皮を乳鉢ですりつぶす

 3.花弁を乳鉢ですりつぶす

 4.2の分量1に対し3の分量2を魔力を込めながら練り合わせる

 5.魔力が飽和すると固形になり完成

 ※練り合わせる時は魔力を一定で流すと良い品質となる

 ※但し、樹齢100年以上である事

 ※強壮丸(強壮作用)は4の分量を逆にする


 ポーション

 1.解毒丸の作成

 2.解毒丸1に対し花弁2を容器に入れる

 3.容器の中身を混ぜながら魔力を練り込む

 4.液状化したら完成

 ※液状化した後は品質の劣化が早いので密封するのが良い

 出典…聖教国立図書館/薬性植物とポーション大辞典

 著者…ナガレ(魔法歴950年~ )


 出たで、ナガレ!

 また出よったで。

 調べるもん片っ端からこいつの名前出てくんねん。

 ほんで、魔法歴950年って千年以上前やで。

 千年以上前にどうやってこんな詳細に調べれるねん。

 950年が生まれ年で死んだ年が書いてないっちゅーんは、まだ生きとるって事か?

 それとも行方不明なんか?

 ちょっとだけ、ナガレ氏に興味が出たで。


 さておき。 

 でもまぁ、解毒丸か……。

 要るっちゃぁ要るよな。

 この島に来て初っ端で腹壊したもんな。

 ポーションもあると多分便利やで。

 今度、時間があったら作ってみよう。

 確か、乳鉢は倉庫にあった調合キットの中に入ってたからね。


 で、他の黒点滅は何やろか?

 ポチっとな。


 【名 称】 熱帯ソーテツ

 【樹 齢】 80年

 【種 族】 ソテツ科

 【効 能】 毒、麻痺

 【特 徴】

 太い幹で枝分かれがほとんど無い。

 葉は幹の天辺に乗せたように丸く半円状に開く。

 葉の中心に白い雄しべがあり、その周囲に朱色の胚珠がならぶ。

 咲いた花は熱を持つ。

 実や花は有毒で食用に適さない。

 特殊な製法で醗酵、蒸留を行えば食用可能だが、手間である。

 ※食用に関しては別途、[ゲテモノ料理の楽しみ方/著者:ナガレ]を参照


 【レシピ】

 毒薬(遅延性)

 1.花または実を乳鉢ですりつぶす

 2.水に丸1日晒す

 3.沈殿したものを取り分ける

 4.3をさらに1日水に晒す

 5.沈殿物を取り出し、乾燥させる

 6.完成

 ※暗殺には粉状のものが望ましい

 ※尚、調合時には口や鼻から吸い込まないように布か何かで保護する事


 麻痺薬

 1.花を乳鉢ですりつぶす

 2.実を乳鉢ですりつぶす

 3.1と2を丸1日水に晒し、半日ほど混ぜる 

 4.水が無くななるまで乾燥させる

 5.乾燥させた粉に魔力を込めながら練り合わせる

 6.固形になったら完成

 ※敵に投げつける等で使用する場合は5の段階で粉状のまま、朱色のものが、白く変化するまで一気に魔力を込めると完成である 

 出典…帝国禁書目録/毒物大全

 著者…ナガレ(魔法歴950年~ )


 これ、俺が食べて苦しんだ奴やね。

 ほんで、もう帝国の禁書やら、ナガレがどうとか突っ込まへんで。

 食用に適さんとか毒物とか、知っとったら絶対に食べんかったっちゅうねん。


 って事は、灰色の点滅が動物かいな?

 無害な動くものって感じ?

 俺は沢山の灰色が集まった場所にある灰色の点滅に触れてみる。


 【名 称】熱帯バーテンウシ

 【種 族】ウシ科 哺乳類

 【レベル】5

 【H P】50

 【M P】5

 【体 力】100

 【魔 力】100

 【攻撃力】100

 【防御力】50

 【素早さ】1

 【スキル】嗅覚強化、猛進

 【弱 点】頭、腹

 【特 徴】

 草食の哺乳類で図体は大きく成人男性八人分の重さ。

 雄一匹に対して雌三匹が標準。そこに子が複数群れる。

 動きは遅く、いわゆる牛と同じ性質である。

 通常の牛と違うのは魔力があるのとスキルを持っている事である。

 脅威を感じると雌、子は即座に逃げ、雄は脅威に対し攻撃的になる。

 骨と皮以外はほぼ食用可能。

 【レシピ】

 好きな部位を好きに食べれば良い。

 焼いて食べるのが理想的。

 内臓は狩った後すぐに食すと魔力回復に良い。


 おほう、予想的中や。

 やっと……。

 やっと食用可能な肉にありつけそうやで。

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