05 ステータス

 魔獣を地図で見れるように、もう一度チェックを行った。

 テントの中は安全とはいえ、よくよく見ると結構近くにも魔獣がいる事が分かった。

 これ、結界が無かったら詰んどったな……。

 一人ごちりながら地図と睨めあう。

 んー、せやけど、この魔獣どもの強さも分からんし、どんな魔獣なんかも分からんから、どうやって倒すかも分からんなぁ。

 微妙に赤い点滅が多きかったり小さかったりってくらいやな、分かるんわ。


「では、チェックとサーチを同時に使用してみて下さい。」


 チェックとサーチね。

 チェックはなんとなく分かった。調べるっちゅー事やろ?

 サーチは何やろか?

 とりあえず、違いを知りたいんで、サーチのみ行ってみる。

 ”サーチ”

 唱えた瞬間に指輪からスクリーンが現れ、さっきまでの赤い点にそれぞれ魔獣の名称と思われる情報が記されていた。

 少し大きめの赤く点滅している魔獣の名前と思われるところに触れてみる。

 ”ブゥン”画面が半分に割れ、先ほどまでの地図が左側に、右側にその魔獣の情報と思われるものが、ずらずらと一覧になって表示されている。

 何々?


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 【名 称】アネクネメボア

 【種 族】猛猪族

 【H P】1200

 【M P】50

 【体 力】500

 【魔 力】20

 【攻撃力】1000

 【防御力】600

 【素早さ】5(突進時100)

 【スキル】猛進、疾走、強撃、嗅覚強化

 【弱 点】斬撃、打撃(側面からのみ有効)、頭(眉間)

 ※一般的な個体を100体ほど調べた平均値である。

 ※ネームドはこれに含まない。

 【特 徴】

 人の居住域の生息は確認出来ていない。

 屈強な皮膚を持ち、通常のボア種よりも固い。

 鼻横から伸びる二本の角で獲物を串刺しにしてから鋭い牙で獲物を食す。

 動くものであれば何でも襲い掛かるが、攻撃は直線的である。

 激しく動くものを見かけると集団で囲うように襲ってくる事がある。

 雌の個体は滅多にいない。雄十匹に対して雌が一匹程度。

 特定の繫殖期はないが、交尾により繁殖する。

 魔石は中サイズが多く、火の属性が付与されている事が多い。

 その肉はそのままでも食せるが、焼いて赤身が残った状態で塩を振り食すのが理想的。

 調理方法は以下の通りである。

 1、血抜きをする

 2、皮を剥ぐ

 3、内臓を取り出す

 4、魔石を取り出す

 5、切り分ける

 ※通常のナイフでは切れない。 魔力を付与したナイフか銀のナイフが必須。

 ※背中の部位と、腰の部位は特に極上の肉なので必ず食す事をお薦めする。

 6、焼く

 7、塩を振る

 8、食べる

 ※不要な部位や骨はそこらに置いておけば他の魔獣や魔物が勝手に食べてくれるので放置でよい。彼らは同族の肉も平気で食す。

 etc……

 出典…王都立図書館/魔獣百科

 著者…ナガレ(魔法歴950年~ )


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 んと、どこから突っ込めばいいんか分からんけど……。

 この情報はどうやって、手に入れたんやろか?

 王都立図書館?あそこって許可された人しか入れへんって兄貴に聞いたと思ったんやけど……。

 色々謎が多いけど、こういうもんやと思っとこか。

 とりあえず、魔獣の情報も分かった事やし、調理方法まで事細かく絵柄付きで書いてるんやから、こいつを倒して食べれば動物性たんぱく質やらも取得出来るやろうな。


「って、なんでやねーん!なんじゃこりゃー!」


「HPってなんやねん! 防御力ってなんやねん! スキル?ほんで100体調べて平均値? はあぁん?」


「誰やねんナガレっちゅー奴! どうやって調べたんやっちゅーの!」


「ほんでもって調理方法が現実的過ぎるねん! 絵とか精工過ぎてエグいねん!」


 ぜぃぜぇはぁはぁはぁ……。


 ”ウォーター”

 いつものように掌に水を集めて、ゆっくりと飲み干して心を落ち着かせる。

 ふぅ……。

 落ち着いたわ。

 ついつい一人やというのに、全力で身振り手振りでツッコミを表現してしもたで。

 ほんで?パーやん?これ何やのん?


「ステータスですか? 各能力を数値化したものですが?」


 いやいや、せやから、その能力を数値化?ってかステータスってなんやねん。


「ステータスは通常十歳で教会で取得するものです」


 マスターは十二歳なのでとっくにご存じかと思っておりました。

 とか言われてもね?

 十歳で教会でもらえる?

 あれ?

 俺って生まれてこの方、教会なんか行ったことないで。

 昔っから教会にお前みたいなのは入るなとか言われてたからな。

 いや、確かに兄貴がステータスがどうのこうの言っとったか。

 我が家は魔力が高いとか俺の魔力が多いとか言ってたのは、客観的に分かってたって事かいな。

 んー?

 あぁはぁん?

 ま、まぁええわ。って事は俺にもステータスってのがあって見れるんやな?


「はい。 可能です。」


 ほなちょっと見せてんか。

 そう言って、俺はいつものようにスクリーンを覗き込む。


 【名 前】 サツキ

 【年 齢】 12

 【職 業】 ぼっちな旅人

 【レベル】 3

 【H P】 20/20

 【M P】 48030/56000

 【体 力】 4

 【魔 力】 12000

 【攻撃力】 1

 【耐久力】 3

 【素早さ】 5

 【精神力】 200

 【器用さ】 90

 【スキル】

 魔法(元素魔法LV9、落とし穴生成LV5(土)、ウォッシュLV4(水風火)、ウォーターLV3(水)、隠密LV2(風))

 毒耐性LV3


 うっわー、こりゃまたツッコミどころ満載やで。

 MP?と魔力めっちゃ高っか。

 せやけど、客観的に見たこの数値が能力値としたら、さっきのボア?とガチで戦ったら即死するんちゃうんか?


「はい。 まともに戦えば、一撃で即死しますね。」


 はっきり言ってゴミです。

 とかなんとか言いよったでこいつ。

 さすがにショックやで。

 人をゴミとか言わんといてーな。 悲しゅうなるわ。

 

「ぼっち……」


 おいこらっ!ボソッと言ったん聞こえたで。

 ってか、指輪のくせに追い打ちかけてくるとか、こいつホンマに人間臭いな。

 いつか絶対にしばいたるねん。

 せやけど、こいつ居らんかったらホンマにぼっちやし、多分既に死んでたやろうしな。

 まぁ、許したるわ。

 で、このボアとは戦っても勝てる気がせーへんねんよなぁ。

 他にたんぱく質?になる魔獣は居らんのかいな?


 そうして、俺でも倒せると思われる魔獣を探し始めた。

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