02 サバイバルの始まり
俺はもう一度、地図を確認して、赤い点が近くに居ないか確認する。
すぐ近くと思われる場所に赤い点は見当たらない。
ひとまず冷静に、まずは落ち着ける場所を探さなあかんな。
しばしの間、地図と睨めっこする。
転移盤が使えるのは一か月後やろ?って事はこの島から抜け出すんは、最低でも一か月後かもしくは船か何かで抜け出すくらいか……
いきなりの高難易度な状況にため息が漏れる。
それもこれも日頃の行いが悪かったからバチが当たったんやろうなぁ。
再びのため息の後、両手で頬をパンパンと2回叩く。
「よっしゃー、気合入れてくでぇ~」
さて、気合を入れなおした所で、まずは、この島の地理を確認する。
今居る場所は島の東側やろ?ほんで、東側は海ときたもんよ。
太陽の動きを見ながら地図を見ておおよその方角が分かった。
俺でも太陽は東から登って西に沈むっちゅーんは知っとるで。
ほんで、今は太陽が頭の真上におるから真昼間やで。
西に山林があって、その先はまた海になってるねんな。
北は小さな山があって、その先は断崖絶壁の海で、南は植物があんまり生えてへんで砂浜ばっかりか。
まじ、無人島やね。
人が住んでる気配も無いし、何の人工物もあらへん。
せやけど、ポツンポツンと赤い点が蠢いてるんが、マジでヤバス。
ふと、北側の山と川の間に亀裂が見えた。
もしかして洞窟になってるかも?
淡い期待やけど、何もせんと魔獣に食い散らかされて、俺の人生ここまでっちゅーんは嫌やからな。
地図の赤い点に近づかないように気を付けながら俺は北の山へと向かう。
はぁはぁ、ぜいぜぃ。
結構歩いたよな?
地図で見たら近く感じたのに、実際に歩いてみると結構な距離があるで。
まだ、半分くらいしか歩いてへんのに、すでに疲れてもたわ。
汗もだらだらと流れっぱなしやで。
俺は周りに赤い点が無いか地図で確認しながら、少し休憩する事にする。
”ウォーター”
両手にウォーターの魔法で水分を集め、口を注ぐ。
”ウォッシュ”
ついでに、汗や服の汚れをウォッシュで落とす。
「ふぅ、さっぱりした~。生き返るわ~」
いや、別に死んでへんけどね。
さて、どうしようか?
地図で見たところ、洞窟と思われる所まで、まだ半分の位置やけど、さっきまで真上にあった太陽はすでに沈みかけている。
こりゃいよいよヤバイな。
あれ?そういえば、倉庫にあった物ってほぼ全て持ってこれたんよな?
「なぁ、パーやん。スクリーンにもう一回リストを表示してくれへんかいな?」
「了解です」
返答と同時に、すぐさまにスクリーンにリストが現れる。
えーっと、確かサバイバルキットがあったような、無かったような……。
あっ!あったあった。
これやで、これ。 すぐさまに俺はそれを具現化させる。
「出てこい!サバイバルキット!」
具現化したそれは、俺の身長よりも頭二つ分ほど大きな黒い箱である。
高さは膝の高さよりも高く腰よりは低い。
奥行は高さのそれと同等である。
俺は黒い箱の上蓋を外し中身を確認する。
サバイバル用のナイフと、魔力で光る灯り。
ロープや、つるはしなどのツールに、ろ過の出来る水筒、調理用の鍋。
対魔獣用の片手剣や軟膏などの簡易治療薬と解毒薬。
畳めるタイプの簡易テントに日除け用の陣笠などが確認できた。
とりあえず、必要なんは……
テントにナイフ、灯りと片手剣、寝巻と腰袋くらいかな?
一応回復薬と解毒薬は持っておこうか。
水筒とかはウォーターの魔法で何とかなるし、夜になれば日除けの傘なんかも要らんしな……。
ぶつぶつつぶやきながらも、箱の中から取り出しては地面に置きなおす。
回復薬と解毒薬を腰袋の中に入れていく。
さて、これを指輪に収納するにはどうするんやったかいな?
おーい、パーやん。この箱をもう一回収納してんかー。
「了解です。 それと以後、イメージするのみで収納可能です。」
なんや、そういう事はもっと早う言ってくれや。
「マスターの指示が無ければ私は特に何も行いません。」
さよけ。まぁ、お前が根暗なんは分かったわ。
せやけど、緊急時は頼むで~。
さっきみたいに魔獣に追われとる時とか特に、何か出来る事あったら教えてくれな。
かしこまりました。と言ったあと、すでに黒い箱は収納されているようである。
中身を出した後に収納したらどういう表示になるんやろ?
ちょっと気になって、リストを再度確認したら、
黒い箱(ろ過水筒、陣笠、etc……)と表示されている。
なるほど、箱とかに入ってるものも中身が分かるんか。
ってか、中身を色々出したから名称がサバイバルキットではなくなっとるで。
さてと、もう一つ出すものがあるんよね。
結界石やで。
この結界石を設置したテントの四隅からそれぞれ体一つ分を離して対角に四つ置いて、テントの中心にひと際大きな結界石を置いて魔力を注ぐ。
すると、白い薄い壁のような膜が四つの石を結んで光る。
まるで四角い箱の中にポツンとテントが存在する。外からの見た目はそんな状態だ。
この結界は簡易の結界やけど、自身の魔力以下の魔獣は寄せ付け(入れ)へんし、魔獣からはこちらを感知出来へんから、何かの都合でこの場所を通り過ぎるとか無い限りは安心やろう。
問題は、朝まで、俺の魔力が結界に注ぎ続けなあかんのが欠点かな。
まぁ、これで、ひとまずは魔獣に対しては安心出来るやろうから、これからどうするか、とりあえず作戦を考えなあかんな。
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